主催: 日本霊長類学会
会議名: 日本霊長類学会大会
回次: 37
開催地: オンライン開催
開催日: 2021/07/16 - 2021/07/18
p. 47
ゴリラの社会システムは単雄複雌群を基本とするが,しばしば複雄群が観察されることが報告されている。 このような社会構造の多様性は,オスの出自群からの移出の有無や時期といった生活史パタンの変異によって生じる。本研究では,オスゴリラの生活史に変異をもたらすプロセスを明らかにすることを目的として,成長過程における内分泌動態を調べた。ガボン共和国ムカラバ—ドゥドゥ国立公園において,2011年10月から2018年3月まで断続的に調査を行った。 調査区内を遊動域とするニシローランドゴリラの群れオス(出自オスおよび核オス)および単独オス計21 個体から新鮮便を採集し,コルチゾル濃度およびテストステロン濃度を測定した。また,対照として,メス10個体についてもコルチゾル濃度を測定した。糞便試料はDNA解析により個体識別を行った。解析の結果,オスではブラックバック(11〜14歳)のコルチゾル濃度は,コドモ(4〜7.5歳),サブアダルト(7.5〜11歳),ヤングシルバーバック(14〜18歳)およびシルバーバック(18歳以上)より高かった。 また,コルチゾル濃度が上昇する時期は,対象群においてオスが出自群から移出する年齢(平均14歳)とほぼ一致した。いっぽう,メスでは成長に伴う変化はみとめられなかった。したがって,オスでは性成熟にともなって繁殖をめぐる父子間の葛藤が生じ、これにより出自群からの移出が促進される可能性があると考えられる。発表では,テストステロン濃度の変化についても報告し,オスの性成熟のタイミングとの関連についても考察する。