抄録
保育学では遊びを深めるための重要な研究が蓄積している。一方で,矢野智司が述べるように,遊びを手段-目的関係に基づいて捉えることは,遊び概念を狭隘化し,一回性の体験である遊びの深さを失わせてしまう可能性もある。本研究では以上の先行研究を踏まえ,遊びを深める子どもの感覚という視点から,遊び論を発展させることを目的とする。その際,中村雄二郎の共通感覚論を手がかりに,臨床教育学的に保育実践を考察する。共通感覚は,五感を超えた感覚,想像力の座,トポスの感覚であり,それらの感覚が遊びを深める過程を明らかにする。最後に,遊びが深まる保育実践理解の視点として「共通感覚のブリコラージュ」概念を提示する。