運動疫学研究
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チェックリスト方式による身体活動環境評価の有用性 ―長野県東御市の行政職員による環境評価―
岡田 真平 井上 茂鎌田 真光北湯口 純朴 相俊下光 輝一
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2011 年 13 巻 2 号 p. 137-145

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抄録

目的:個人の健康行動の変容を支援する環境の整備は重要である。本研究の目的は,地方自治体の行政職員がチェックリスト方式で行う身体活動環境評価の有用性を検討することとした。

方法:長野県東御市役所職員49名(男32名,女17名,43.2±10.1歳,勤続18.0±11.7年)が,下光らの「健康づくり支援環境質問紙」の身体活動・運動10項目を改変したチェックリストを用いて市内5地区(小学校区に相当)の環境評価を行った。各項目のスコアについて5地区全体の平均と標準偏差から各地区の偏差値を算出し,その特徴をレーダーチャートで示した。また,偏差値の最大と最小の差を地区間の環境格差とし,項目ごとにその程度を示した。

結果:すべての項目から回答が得られた者は34名だった。レーダーチャートから,生活の利便性,運動施設・場所へのアクセスなどの項目で各地区の特徴が示された。5地区間の環境格差を示す偏差値の最大と最小の差は,徒歩での買い物(21.2),公共交通機関の利便性(19.0)で大きく,自転車の安全性(3.6),治安の状態(3.7),歩行の安全性(4.0),地域の景観(4.4)で小さかった。

結論:行政職員による,チェックリストを用いた身体活動環境評価から,市内各地区の環境の特徴と,地区間の環境格差が示された。今後,環境整備への本手法活用のために,評価実施上の改善や,信頼性・妥当性の検証等が必要である。

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© 2011 日本運動疫学会
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