本稿の目的は、中小企業経者を対象とした生命保険法人契約(以下「経営者保険」)の需要に関わる決定要因の分析を通じて、中小企業におけるリスク管理やその準備に資する生命保険業界の健全な発展のために示唆を得ることにある。
経営者保険の需要は、経済合理的な一貫性を持つ経済準備必要性と、経営者の持つ価値観双方の影響下にある。
考察の結果、以下のことが確認された。
経済準備必要性は、経営中断リスク対処、退職金対処、予防的対処の3つに分類され、経営者保険の需要に正の影響を与える。
価値観については、不確実性の回避と集団主義の影響が確認された。
不確実性の回避は、加入者において需要へ負の影響を与え、集団主義は、未加入者において正の影響を与える。
本研究から得られた主要な示唆は、価値観やその価値観が表れる顧客企業の経営方針等によるセグメント別コミュニケーション戦略の必要性である。