理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
片麻痺患者におけるPCIを指標とした基本動作時の身体適性について
大町 かおり岩月 宏泰岡戸 真由美
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1993 年 8 巻 2 号 p. 67-70

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抄録

片麻痺患者18例を対象に3分間の自由歩行をさせた際の心拍数の変化からphysiological cost index (PCI)を算出し、10m歩行の所要時間、立ち上がり動作時の心拍数変動との比較を行った。
(1)PCI値は片麻痺群が健常群より有意な高値を示し、立ち上がりの回数、10m歩行終了直後の心拍数と安静時心拍数との差(ΔHR1)と有意な負の相関を認めた。
(2)10m歩行の所要時間は片麻痺群が健常群より有意な延長を示したが、ΔHR1では健常群が片麻痺群より高値を示した。
(3)立ち上がりの回数は健常群68回、片麻痺群55回と健常群が有意に多かったが、心拍数の変化は両群間で差を認めなかった。また持久指数は健常群が片麻痺群より有意な高値を示した(P<0.05)。
(4)10m歩行の所要時間は各運動負荷で測定された指標と有意な負の相関を認めた。
以上のことから10m歩行、立ち上がり動作が実用的な運動種目であり、所要時間、立ち上がり回数および心拍数の変動が指標として有用であることが認められた。

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