2026 年 32 巻 p. 55-60
アユは,河川生態系を代表する水産有用種であり,その生息分布を流域スケールで把握することは,河川の維持管理およびアユ資源管理の観点から重要な課題である.しかし,流域スケールにおいてアユの生息分布を解析した例は限られている.そこで,本研究では,環境DNA濃度および環境DNAフラックスを用いて,環境要因との複雑な関係を深層学習によりモデル化した.また,SHAP分析を導入して各環境要因の予測値への影響度を評価した.その結果,深層学習モデルは,アユの季節的な移動を捉えることができ,GLMと比較して予測精度が向上した.また,深層学習を用いることにより,ポテンシャルマップの低精度区間が改善された.以上より,本手法は高津川流域におけるアユの重点的な保全・整備区間の特定や資源管理などの効率化に有用である可能性が示された.