2026 年 32 巻 p. 61-66
本研究は,緑川本流と支流の御船川を対象に,アユの環境DNA濃度と炭素・窒素安定同位体比を用いて河川間におけるアユの環境DNA濃度差に及ぼす要因を評価した.環境DNA濃度は御船川で有意に高く,緑川の約1.9倍であった.一方,水温,流速,懸濁物濃度などの水質項目には河川間で有意差は認められなかった.また,付着藻類量や餌資源への寄与率も両河川で同程度であり,餌資源の量および利用様式は生息量の差を説明できなかった.これらの結果から,本研究で評価した水質および餌資源の範囲では,緑川本流と御船川におけるアユの環境DNA濃度差を説明する明確な要因は認められなかった.今後は,放流履歴,産卵場,河床材料,流量,河川の縦断連続性を含む複数の要因について,詳細に検証する必要がある.