特定高齢者を対象に閉じこもり改善に関連する要因を明らかにすることを目的とした.分析対象者は,厚生労働省介護予防継続的評価分析支援事業で収集されたデータベースから,初回調査時に基本チェックリストによって,外出頻度が週1回未満と判定された閉じこもり高齢者(n=274)とし,1年後の追跡調査時に閉じこもりが改善していた改善群(n=168)と非改善群(n=106)に分類して用いた.分析の結果,閉じこもりは,基本チェックリストのその他の要介護リスクである「運動器の機能向上」では約8割,「認知症予防・支援」「うつ予防・支援」とはそれぞれ約5割が重複していた.多重ロジスティック回帰分析の結果,具合が悪いときにいっしょに病院へ行ってくれる人がいること,認知的活動得点が高いこと,通所型介護予防事業(運動器の機能向上)への参加が閉じこもり改善に寄与していた.一方,訪問型介護予防事業(運動器の機能向上)への参加は,閉じこもり改善と負の関連が認められた.以上から,閉じこもり改善においては,通所型介護予防事業をより積極的に展開していくことに加え,訪問型介護予防事業における新しいプログラム内容の検討が示唆された.