抄録
本研究は,小学校4年生を対象にしたプログラミング教育実践を通して,小学校プログラミング教育における問題解決プロセスと思考言語化との関係モデルを提案することである.これは,プログラミング教育のカリキュラムを作成する上で,一貫した方略を用いることで学年や学校種間で系統的な学習に繋がることを示唆している.これまでの実践と本研究から,思考を言語化することで問題解決の過程が可視化され,一連の問題解決プロセスが複雑に絡みながら解決の糸口となる関係を示した.認知過程次元や知識次元は,学校種が上がるほど高度化・構造化する.しかし,プログラミング学習では,同じように段階的に捉えられていた認知プロセスが問題を解決する過程で場面ごとや問題の内容,学習の形態によって全ての要素が関係していることが判明した.