抄録
小児患者には適切に評価された医薬品が投与されるべきであるが,現在,小児患者のために適切に評価され小児患者に適応を持つ医薬品は限られている.EUと米国では,小児用医薬品開発のための規制が制定され,一定の成果をあげている.一方,本邦では,小児医薬品開発のための規制は存在せず,その開発は基本的には製薬企業の自主性に依存している.厚生労働省は,このような問題を解決するために小児での開発を計画した場合の再審査期間の延長や,公知申請制度,医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議の設置等の方策を取ってきた.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)もまた,小児医薬品開発を推進するためにいくつかの取り組みを実施してきた.2011年11月には小児ワーキンググループを設立し,過去の審査・相談事例の調査と整理,海外規制当局との連携,国内のステークホルダーとの意見交換及びPMDA内部での小児医薬品開発に関する意見聴取・問題意識の共有等を行っている.また,大学,研究機関,ベンチャー製薬開発企業のための新たな治験相談である,薬事戦略相談も小児医薬品開発案件の進捗に役立っている.今後は,新薬の承認申請の時点で臨床試験データの電子的な提出を要求することを計画しており,将来において小児分野における有効性,安全性,及び用法・用量の予測への応用が期待される.