安全工学
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SIM法による塩化ビニルの環境分析
加藤 龍夫仲山 伸次
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1976 年 15 巻 6 号 p. 387-394

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抄録

化学工場から排出されている有機物蒸気は主として臭気汚染として扱われ,環境分析も進められて来た.塩化ビニルガスもガスクロマトグラフ法によって測定される点についてはすでに問題はない.しかし,近年塩化ビニルが発ガン性物質として注目されるに至って,とくに正確,迅速な環境分析法の確立が求められた.その答として濃縮法とGC-MSの単イオンモニタ法の組合せが最も有効なことを明らかにした.すなわち,工場周辺大気1lを真空びん採取,これを低温濃縮してGC-MSに導入する.このときカラムは中位極性,常温で,m/eは62とした,これら普通の条件で定量限界0.1ppb,応答直線性は106倍まで良好で,妨害は皆無であった.1検体の分析処理時間は,試料運搬時間を別として約15分である.工場周辺3kmまで,30数か所を採取して,汚染分布図を作ることができた.

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© 1976 特定非営利活動法人 安全工学会
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