安全工学
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15 巻, 6 号
安全工学_1976_6
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
安全技術制度について
総説
  • 橋本 邦衛
    1976 年 15 巻 6 号 p. 364-371
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    人間工学とは何か,人間機械系から自動化システムヘの展開の中で考えてみると,人間能力の強化を指向するシステム設計と運用が目標であり,近代工業では作業者の主体性確立の問題に帰せられる.これを化学プラントに応用する場合いくつかの難問があり,とくに目に見えない化学ブロセスとの対話をどうするか.ここに操作ミスの遠因もあるとして筆者の見解を述べた.また大脳生理学の視点から人間の長所と弱点を述べ,人間の人間らしい使い方を安全工学の関係者にも考えていただきたいと願った.

報文
  • 小谷将彦,植竹和也,崎川範行
    1976 年 15 巻 6 号 p. 372-375
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    有機過酸化物の危険性に関する知見を得ることを目的とし,パーオキシエステルの熱分解の温度依存性について調査した結果,加熱条件によりその分解状態が異なることが判明した.そこで情報の少ない爆発的な急激熱分解について検討したところ,特徴的な様相を示すことが観察された.また,品質管理,事故防止などに重要なパーオキシエステルの分析法は一般にヨウ素滴定法が利用されているが,この方法は数多くの分析上の誤差を含む.そこでガスクロマトグラフィーによる分析法を検討したところ良好な結果が得られた.

  • 空気圧縮機油における銅,鉄化合物の影響
    若倉 正英
    1976 年 15 巻 6 号 p. 376-381
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    容積型空気圧縮機の鉱油系潤滑油は圧縮熱と圧縮空気により急激に酸化され,吐出配管での火災・爆発が多い.潤滑油の自然発火温度はこれらの発火危険性と強い相関をもっているが,筆者は昇温法により圧縮機油の発火温度を測定し,吐出配管中のオイルに含まれていると思われる金属塩,酸化物,粉体の影響を検討した.結果を以下に示す. (1)カルボマ酸銅が少量でも在ると,オイルの発火温どをかなり下げた.これは銅塩が燃焼反応の触媒として作用しているためだと推測される. (2)カルボン酸鉄も圧縮機油の発火温度をかなり下げ,実験に用いた金属塩(Fe(Ⅱ),Co(Ⅱ),Co(Ⅲ),Ni,Cu(Ⅱ),Mo)中最も発熱開始温度を下げた.鉄塩は自働酸化の初期反応に有効に作用して,ヒドロペルオキシドを多量に生成させ,その結果発火温度が下がるものと考えられる. (3)銅,鉄以外の金属塩,アセチルアセトネートは発火温度・発熱開始温度に全んど影響を与えなかった.

  • 石内 征夫
    1976 年 15 巻 6 号 p. 382-386
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    可燃性液体の引火点を求める,次の推算式を提出した.

    非会合性:TF={Tb0.119+(0.0656)(N/B)-0.119-0.185}1/0.119

     会合性:TF={Tb0.105+(0.0570)(N/B)-0.105-0.142}1/0.105

    TF:引火点[K],Tb標準沸点[K],B:全圧[mmHg],N:可燃性液体1モルを完全に燃焼させるに必要な酸素の理論モル数. 二成分系以上の場合には,Nの代わりに,ΣyiNiを用いて,上式により推算できる.計算図表を,図1,図2に与えた. 計算値と実測値とは,よく一致しており,有用と考えるが,ハロゲン化合物には,その化学的抑制作用のために適用できない.

  • 加藤 龍夫, 仲山 伸次
    1976 年 15 巻 6 号 p. 387-394
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    化学工場から排出されている有機物蒸気は主として臭気汚染として扱われ,環境分析も進められて来た.塩化ビニルガスもガスクロマトグラフ法によって測定される点についてはすでに問題はない.しかし,近年塩化ビニルが発ガン性物質として注目されるに至って,とくに正確,迅速な環境分析法の確立が求められた.その答として濃縮法とGC-MSの単イオンモニタ法の組合せが最も有効なことを明らかにした.すなわち,工場周辺大気1lを真空びん採取,これを低温濃縮してGC-MSに導入する.このときカラムは中位極性,常温で,m/eは62とした,これら普通の条件で定量限界0.1ppb,応答直線性は106倍まで良好で,妨害は皆無であった.1検体の分析処理時間は,試料運搬時間を別として約15分である.工場周辺3kmまで,30数か所を採取して,汚染分布図を作ることができた.

技術ノート
資料
  • スキの安全限界値に及ぽす諸因子の影響
    牧野 豊
    1976 年 15 巻 6 号 p. 398-403
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    耐圧防爆の容器内で強力なアーク放電を伴う短絡が発生すると,放電によって放出された白熱粒子がスキを通って容器外に飛び出し,周囲の可燃性ガスを着火爆発させるおそれが生じる.近年,諸外国において,このような粒子伝爆に関する各種の実験が行われている理由は,粒子伝爆を阻止するスキの安全限界値が,火炎逸走を防止するスキの値よりはるかに小さく,危険なためである.ここでは,このような文献の中から,電圧,電流等の諸因子が粒子伝爆を阻止するスキの安全限界値に及ぼす影響を取り上げ紹介したものである.

  • 清水久二,上原陽一
    1976 年 15 巻 6 号 p. 404-410
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    安全のための拉術基準の作成には,この中で頻繁に使われる基本概念,およびこれを表現する用語の定義がきわめて重要であり,この選定を誤まると以後の全体構成に無理が生じ,各所に論理性が失しなわれるようである.とくに最近のように技術進歩が急速な時代には,あまりにも具体的な規定は新技術の導入と経済性とを阻害することになろうし,またあまりにも抽象的な規定は安全規制の効果を減ずることになろう.このように大切な用語の一つに危険場所の概念があり,わが国でも産業安全研究所技術指針の中にも使われている.フランスにおいてはこれが石油化学工場の安全技術基準の中核となっており,このような手法も大いに参考となろう,なお危険場所の代わりに,ここではゾーンという用語が使われている.

災害事例分析
  • 駒宮 功額
    1976 年 15 巻 6 号 p. 411-418
    発行日: 1976/12/15
    公開日: 2018/05/31
    ジャーナル フリー

    空気圧縮機は多方面に使用されているが,潤滑油を用いるため高圧高温空気下で火災や爆発事故を起こすことがある.ここでは小型可搬式空気圧縮機の空気槽の爆発と空気配管の激しい大爆発及び空気清浄装置の火災によるガス中毒を紹介し,その原因として点火源は潤滑油の自然発火を,爆発物質は潤滑油の燃焼によるスス粉じんをそれぞれ取上げた.そして従来から説明されている潤滑油ミスト爆発説の矛盾を明らかにし,さらに潤滑油の自然発火を実験的に再現して同種事故の防止をはかろうとするものである.

災害事例
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