2018 年 58 巻 4 号 p. 393-402
本研究では, 科学系博物館の常設展示物の一つである人体模型に着目し, その見学前後の心臓の位置に対する小学生の認識状態の変容を把握するための評価シートを考案して試行した。その結果, 得られた主な知見は以下の通りである。①見学前, 評価シートに回答した計263人の小学生のうち, 約40%が「心臓は胸の左側に位置する」という誤概念を保持していた。②見学後, この誤概念を保持している小学生は10%未満に減少した。③見学前に心臓の位置を正しく認識できた小学生は約20%であったが, 見学後は約60%に増加した。そして, 評価シートの試行結果や表出した問題を踏まえながら, 評価シートのさらなる活用を目指して, 計5点(評価シートの構成と内容, 見学方法, 展示物の展示方法, 人体模型, 及び学校理科などの教科との連関)から検討を加えた。