2008 年 74 巻 4 号 p. 660-670
2005 年 2 月に播磨灘から備讃瀬戸に至る香川県沿岸域で大型珪藻 Chaetoceros densus のブルームが形成され,2 月中旬には播磨灘で最高細胞密度 9 万 cells/L を記録した。本種の急激な増殖に伴い海域の栄養塩が急減し,播磨灘のノリ漁場を中心に,本種の増殖によるノリ色落ち被害が日本で初めて確認された。ブルーム形成期の塩分は平年より著しく低く,栄養塩はブルーム形成まで平年並みか平年より高かった。従来報告されていた以外の種でも,ノリ色落ちの原因藻となりうる可能性があり,ブルームの予測にはプランクトンの注意深いモニタリングが必要である。