耳石に ALC 標識を付けたニゴロブナ種苗の放流・再捕調査により,琵琶湖での本種の効果的な放流技術を検討した。その結果,標準体長が概ね 16 mm を超え稚魚期に達した種苗をヨシ帯に放流すると生残率が向上した。ヨシ植生のない水域への放流,琵琶湖の人為的操作による水位低下に伴う水ヨシ帯の奥行きの減少,冬季の過度な刈り取り管理による春先のヨシの成長遅滞,ヨシ帯への過多な種苗放流により,放流種苗の生残率の低下がみられた。これら問題点を克服した稚魚放流やヨシ帯に依存しない種苗放流が今後の課題と考えられた。