2016 年 82 巻 5 号 p. 774-776
群馬県赤城大沼で釣獲した放射性セシウムを含むワカサギを用いた飼育実験により,放射性セシウムの減衰過程を経時的に測定して生物学的半減期(Tbio)を算出した。その結果,実験期間を通じたワカサギのTbioは350-366日と推定された。また,2012年3-4月に繁殖行動が確認されたことから繁殖期前後でTbioを算出したところ,繁殖期前で181-195日,繁殖期後で389-440日となり,明らかな差異が認められた。このことは,繁殖期前後で放射性セシウムの代謝速度が変化していることを示唆した。