2019 年 85 巻 3 号 p. 305-313
魚道の設置がサクラマス個体群に及ぼす効果を明らかにするため,魚道設置の前後計10年間,幼魚の生息密度や体サイズ,産卵床の分布や数の変化を調べた。魚道の設置以前は,魚止めの落差工よりも下流に産卵床が集中的に分布し,幼魚の生息密度は高く低成長であった。魚道設置後は産卵域が上流へと拡大し,下流域での幼魚の高密度状態が解消して成長率が上昇し,秋期に尾叉長8 cm以上のスモルト候補サイズに達する個体の割合が高まった。魚道設置から3世代目に当たる年級の産卵床数は,1世代目と比べて平均で2.8倍に増加した。