学術の動向
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感染症をめぐる 国際政治のジレンマ ─科学的アジェンダと政治的アジェンダの交錯─
COVID-19ワクチンへのアクセス
──国際的な公正さは?
勝間 靖
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2023 年 28 巻 2 号 p. 2_66-2_70

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抄録

 COVID-19ワクチンをめぐる国際協力のためにCOVAXファシリティが設けられた。しかし、ワクチンが無償で供与されているはずの低所得国では、接種率が低いままである。その原因に、ワクチン需要が供給を上回るなかでの、高所得国の「ワクチン・ナショナリズム」や、低所得国に住む高所得者の「ワクチン・ツーリズム」がある。自国民優先という短期的な視点と、世界の「すべての人が安全になるまでは、誰も安全ではない」という中長期的な視点とをバランスした公共政策が必要である。ワクチン・ツーリズムのほか、新興国による「ワクチン外交」については、国際的な倫理ガイドラインが求められる。また、ワクチン製造技術など、研究・開発から生じた知的財産権について、国際的な共有を求める声が高まっている。HIV/エイズで議論されたことが、COVID-19で再び俎上に載っている。対象や期間を限定せず、医薬品アクセスの国際的な公正さへ向けて、正面から議論を続けるべきであろう。

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