2008 年 10 巻 4 号 p. 011-020
本稿では,開発した時間指定の出来るオンデマンドバスのスケジューリングアルゴリズムの有効性を実証実験により検証する.バスを運行させる実験を行うにあたり,乗客の予約情報を聞き取る機能,更新される経路情報をバスに伝える機能および正確な移動時間を予測する機能を構築した.千葉県柏市の北部地域にて実証実験を行った結果,支払い意思額の分析によれば,当該実験のデマンドバスのサービス水準は,平均して既存の路線バスよりも劣るという結果となった.しかしながら,運行時刻が正確な事がサービスの評価に対して最も強い影響を及ぼしていること,さらには通勤・通学といった時間的制約の大きな状況下での利用時に,より高い価値を提供できる可能性が部分的にありうることを示唆できると著者は判断した.