2006年10月に道路運送法が改正され,定期定路線ではない乗合旅客運送に関する規制緩和が始まると,これまで認可が困難であったオンデマンドバスが注目されるようになった.発生する乗客について時刻や経路を弾力的に設定しながら運送する新しいオンデマンドバスに対する高効率運行への期待は大きいが,時間指定ができないことから時間制約のある移動の需要には対応できないという技術的問題がある.本稿では,従来とは異なった時間指定の出来るオンデマンドバスのアルゴリズム開発について述べ,シミュレーション実験によりその性能を評価した.
本稿では,開発した時間指定の出来るオンデマンドバスのスケジューリングアルゴリズムの有効性を実証実験により検証する.バスを運行させる実験を行うにあたり,乗客の予約情報を聞き取る機能,更新される経路情報をバスに伝える機能および正確な移動時間を予測する機能を構築した.千葉県柏市の北部地域にて実証実験を行った結果,支払い意思額の分析によれば,当該実験のデマンドバスのサービス水準は,平均して既存の路線バスよりも劣るという結果となった.しかしながら,運行時刻が正確な事がサービスの評価に対して最も強い影響を及ぼしていること,さらには通勤・通学といった時間的制約の大きな状況下での利用時に,より高い価値を提供できる可能性が部分的にありうることを示唆できると著者は判断した.
本研究では,SCGEモデルによる国際物流需要の分析手法を提案する.特に,将来の貿易変化を時系列的に予測することを可能とするために,1時点における各市場の需給均衡を表現する「均衡モデル」と,5年毎の資本移動を表現する「資本移動モデル」の2つのモデルから構成される準動学的SCGEモデルを構築する.このことにより,既存のGTAPモデル等では表現できない時系列的な資本蓄積を考慮した貿易予測が可能となる.また本モデルを用いて我が国における港湾整備の便益評価を行い,便益帰着構成表を作成する.
本研究では,交通インフラの整備の進展が産業立地構造にどのようなインパクトを与えるかについて分析を行った.具体的には,港湾・道路等の交通インフラの整備がもたらす輸送コストの削減に焦点を当て,主にこの輸送コストから地域別の生産額の変化を説明するモデル(産業立地ポテンシャルモデル)を構築した.これにより,将来の港湾,道路等の交通インフラの整備が今後の産業立地構造に与える影響を分析でき,物流ネットワーク整備のあり方や産業立地政策の検討にあたり大いに参考になると考えられる.
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