2021 年 5 巻 2 号 p. 93-103
2008年から始まった経済連携協定(EPA)は、介護福祉士候補者(EPA候補者)が来日し、就労しながら介護福祉士資格の取得を目指すものであるが、国家試験の合格率は全平均で46.5%と低い。長期的就労を望むEPA候補者と施設も少なくないが、そのためには、介護福祉士の取得が必要である。文献研究とインタビュー調査を通じて、施設での研修について現状と課題を考察した結果、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)の学習支援を柱としつつも、各施設が独自に研修を行っていること、施設、法人、先輩外国人介護職員、外部機関が役割分担をしながら、学習支援にあたる体制を構築しつつあることが明らかとなった。また、外国人介護職員が、職員としての役割を着実に果たしており、施設運営の面から資格取得および施設内研修の重要性がさらに高くなると考えられる。今後の課題として、他施設や他法人および外部機関と連携した研修体制の構築の推進、教材やカリキュラムの開発、EPA候補生の学習状況を共有する仕組みづくりがあげられる。