アジア民族文化研究
Online ISSN : 2435-4961
Print ISSN : 1348-0758
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  • 草山 洋平
    2020 年 19 巻 p. 1-17
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

     沖縄では墓は死者の家と言われており、墓を移動させることは良いこととはされていなかった。しかし、近年では沖縄本島の人口増加や定住化に伴い、各地から墓を移す事例がみられる。こうした墓移しには当事者の利便性を求める“想い”と、故郷や土地との関係が断たれることへの“想い”が交差することが報告されている。本稿は石垣島北部の戦後開拓集落での墓移しについての報告である。当該集落では、以前は崖にできた横穴を利用して墓を作っていた。しかし、集落内に共同墓地が作られてからはこうした墓は使われなくなり、移されていった。本報告事例の最終的な墓の移動先は沖縄本島である。しかし、沖縄本島の墓は死者が出ない限り開けることがないという習慣にあわせ、一時的に仮墓をつくって移しておくという方法がみられた。また、墓を移す契機にスピリチュアルな理由があった。そこから、石垣島と沖縄本島に暮らすそれぞれの遺族の語りを元に“夫婦は同じ墓に入るものである”という観念が墓移しの合意形成にかかわると考えられた。

  • ――中国雲南省蘭坪普米(Pu mi)族の死者儀礼――
    飯島 奨
    2020 年 19 巻 p. 19-46
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

     中国雲南省怒江傈僳族自治州蘭坪白族普米族自治県の普米族(以下蘭坪プミ族と表記)は「七月半」と呼ばれる、死者の魂を迎えてともに過ごし、また送り出すという儀礼を行う。この儀礼は同じプミ族でも蘭坪以外の地域、例えば寧蒗のプミ族では見られないが、蘭坪における他の民族、例えば白族でも行われており、七月半は蘭坪における死者儀礼の特徴の一つと言ってよい。ちなみに、白族は蘭坪以外の地域でも行っている。蘭坪プミ族の七月半の最大の特徴は、死者の親族の女たちによって哭き歌が歌われることであり、これは蘭坪地域の白族(以下ペー族と表記)の七月半では確認されず、また蘭坪以外の地域のペー族でも今のところ確認されない。哭き歌の内容は、例えば「あなたがいなくなってから私たちはどうしたらよいのかわかりません」というような生者の術なさなどがあり、これは蘭坪プミ族の葬儀でも確認される歌表現である。

  • 温泉場での歌垣歌(1998年1月)
    遠藤 耕太郎
    2020 年 19 巻 p. 47-184
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

     本資料は1998年旧正月1日、2日(1月29日、30日)に、中国雲南省怒江州瀘水県の露天温泉の周りで行われた歌垣で中心になって歌っていた男2名、女2名に依頼し、旧正月3日にその歌垣を再現してもらった映像を、国際音声記号、中国語逐語訳・大意、日本語逐語訳・大意、脚注を付して資料化したものである。

  • 工藤 隆
    2020 年 19 巻 p. 185-222
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • ―曖昧なる天皇の超越性―
    岡部 隆志
    2020 年 19 巻 p. 223-241
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー

     七、八世紀に掛けて天皇は神という超越的存在となったが、その超越性の実質は曖昧なるものであった。その曖昧性は大嘗祭において確認できる。大嘗祭は、新嘗儀礼と天皇の皇位継承儀礼(神性の継承儀礼)の二重的性格を持つが、何故二重性なのか合理的に説明できない。また、天皇も祭る者でありながら祭られる神でもあるという曖昧な性格を持つ。実は、こういった曖昧性にこそ大嘗祭という祭祀の本質がある。アミニズム的自然神を基層に持つ神々の神性を、近代的律令国家を超える天皇の神性へと創り上げていくとき、どうしても曖昧さを抱え込む。その具体例が大嘗祭なのである。大嘗祭は秘儀であることが重要であった。何故なら、その曖昧性を、触れ得ぬ神秘性(秘儀)で覆うことによって、天皇の超越性を演出したからである。従って、天皇の超越性は曖昧性を実質とする。それは現在においても変わってはいない。

  • 工藤 隆, 岡部 隆志, 遠藤 耕太郎
    2020 年 19 巻 p. 243-258
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2023/05/01
    研究報告書・技術報告書 フリー
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