混合研究法
Online ISSN : 2436-8407
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学会報告
寄稿
  • より有意義なポスター発表に向けての小さな取り組み
    八田 太一, 成田 慶一
    2024 年 3 巻 2 号 p. 299-303
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/14
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、2023年度日本混合研究法学会年次大会の振り返りとして、オンライン環境でのポスター発表の有意義な実施方法を模索した取り組みを紹介する。COVID-19の影響によりオンライン開催が増えポスターの視認性や認知性が低下する中で、口頭発表との境界が曖昧になる問題に対処するため、査読プロセスで生じた発表者と査読者の対話を可視化し混合研究法として議論すべき点を明確化した。このようにして、参加者と発表者が方法論的議論を行う場を提供することを目指した。

  • 能智 正博
    2024 年 3 巻 2 号 p. 304-316
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/14
    ジャーナル オープンアクセス

    アメリカ心理学会(APA)の作業部会が2018年に発表した質的研究の論文執筆基準(質‐JARS)は、APAの論文作成マニュアル第7版に記載されるなど、よりよい研究論文を書こうとする際の指針として、混合研究法の研究者の間でもよく知られるようになってきた。本稿は、研究論文をコミュニケーションの形であるとした上で、その観点から質‐JARSの全体像とその特徴を紹介し、解説を加えたものである。まずはこの基準が制定された経緯について説明した上で、基準が前提とする質的研究の定義、および量的研究と対比した際の対等な位置づけについて述べる。次いで質‐JARSの全体構成と、これまでの基準とは異なる「方法論的整合性」の概念についてその意味とそれを論文のなかで示す方法について述べ、また、反省性の指標についても解説する。最後に、APAの論文執筆基準が質的研究の実践に対してもつ貢献だけではなく、量的研究と対等に位置づけることの陥穽についても考察する。

  • 髙木 亜希子
    2024 年 3 巻 2 号 p. 317-325
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/14
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では、2023年9月に開催された日本混合研究法学会(JSMMR)の年次大会における招待講演および方法論教育クロストークの概要を整理し、振り返る。招待講演では、能智正博氏(東京大学)を講師として迎え、2020年に出版された『APA論文作成マニュアル(第7版)』に記載された論文執筆基準について、「APA論文執筆基準のインパクト」という演題でお話いただいた。また、方法論教育クロストークでは、講演に基づき、「Publication Manual of APA 7th editionに質的研究法と混合研究法が記載されたことが日本の心理学教育に与えるインパクトについて」というテーマで、ディスカッションが行われた。APA論文執筆基準が果たす意義を踏まえ、心理学や他の学問領域における研究方法論教育の課題や今後のあり方について考察する。

短報
  • 村田 知佐恵
    2024 年 3 巻 2 号 p. 326-330
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/14
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    混合研究法は新たな研究方法として発展途上にあり、研究者が利用しやすくなる方法についての議論を深めるためには、研究実践の事例を基に検討することは重要であると考える。本稿は、筆者自身の看護分野における研究について、混合研究法を選択した理由や研究デザインの概要などを紹介するとともに、研究実践を通して浮かび上がった混合研究法を活用する意義と課題をまとめたものである。意義としては【信頼性を高める】【解釈に役立つ】【視座を明確にする】【潜在的な課題を探る】ことが見出され、課題としては【混合研究法への周囲の理解】【研究期間の長期化】【論文の文章量・情報量の制約】が挙げられた。これらは一事例で得られた限られた視点に過ぎないが、今後、量的・質的アプローチの統合で期待できる意義を明確化し、課題への対応策を検討・提示できれば、研究者が混合研究法を積極的に選択することが可能になると考える。

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