本稿では、2023年9月に開催された日本混合研究法学会(JSMMR)の年次大会における招待講演および方法論教育クロストークの概要を整理し、振り返る。招待講演では、能智正博氏(東京大学)を講師として迎え、2020年に出版された『APA論文作成マニュアル(第7版)』に記載された論文執筆基準について、「APA論文執筆基準のインパクト」という演題でお話いただいた。また、方法論教育クロストークでは、講演に基づき、「Publication Manual of APA 7th editionに質的研究法と混合研究法が記載されたことが日本の心理学教育に与えるインパクトについて」というテーマで、ディスカッションが行われた。APA論文執筆基準が果たす意義を踏まえ、心理学や他の学問領域における研究方法論教育の課題や今後のあり方について考察する。