東北理学療法学
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34 巻
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巻頭言
目次
研究論文
  • ~理学療法国家試験からの実態調査~
    阿部 裕一
    2022 年 34 巻 p. 1-8
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】理学療法国家試験問題から,徒手検査法に関連する問題を抽出し,出題頻度,出題関節の傾向,出題検査法とその傾向の3点を明らかにすることを目的に調査を行った。

    【方法】国家試験の全問題3200問から徒手検査法に関する問題を抽出し,実施回数,問題番号,徒手検査法の名称,該当する関節を分類した。

    【結果】出題された問題数の中央値は3,徒手検査法数の中央値は8.5であった。最も出題数が多かったのは第54回で,7問出題されていた。徒手検査法について,最も多かったのは第54回で17種類が出題されていた。一方,最も少なかったのは第56回で,問題数1,検査法数1であった。膝関節が54回と最も多く,Lachmanテストが11回,McMurryテストが10回と膝関節の徒手検査法が多く出題された。

    【結語】徒手検査法に関する問題は毎年ある一定数出題され,出題傾向としては膝関節に関する徒手検査法が最も多く出題されていた。

  • ―情意領域に着目した検討―
    桂 理江子, 長井 真弓, 黒後 裕彦, 小林 武
    2022 年 34 巻 p. 9-16
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,臨床実習に代わる取り組みとして実施した学内実習における学生の情意領域の特徴を捉え,その効果と限界を知ることを目的とした。対象は学内実習を履修した学生55名とし,学内実習の初日および最終日に情意領域評価表を用いた自己評価を実施した。その結果,総合点の中央値は実習前の66点から実習後83点と有意に増加し,学内実習であっても情意領域の向上が得られることが示された。実習後に顕著な増加がみられた評価率および得点率は「インフォームド・コンセント」「対象者の尊重」の 2 項目であり,学生は学内実習であっても対象者を尊重し,同意を得る態度で接することの重要性に気づくことができたという特徴が明らかとなった。それは自己評価に留まるものか,実習指導者による他者評価でも同様な特徴がみられるのかはわからず今後の課題となった。

  • -動特性と動作パフォーマンスに着目して-
    五十嵐 直樹, 鈴木 誠, 鈴木 博人, 我妻 昂樹, 松坂 大毅, 藤澤 宏幸
    2022 年 34 巻 p. 17-24
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】筋疲労は,理学療法を展開していく上で,重要な要素として捉えられてきた。動作パフォーマンスとの関連に着目すると,筋力発揮における静特性,動特性双方に着目する必要がある。しかし,先行研究では,動特性にほとんど着目されていない。そこで,本実験の目的は,筋疲労による筋動特性の変化および動作パフォーマンスとの関係性を調査することとした。

    【対象】被験者は健常な若年男性 9 名(年齢21.9±1.5歳,身長170.9±7.8cm,体重68.6±10.7kg )であった。対象筋は,股関節外転筋とした。

    【方法】疲労課題として,最大努力の股関節外転運動100回を実施し,その前後でパフォーマンステストを実施した。

    【結果】筋疲労によって,静特性に加え,動特性の低下が示されたが,パフォーマンスに疲労の影響を認めなかった。

    【結語】結果に関して,さらなる検討を進めていくには,より筋疲労の影響を受けると予想できる高齢者や中枢神経疾患患者などの被験者選定が必要であることが示された。

  • 工藤 健太郎, 川口 徹, 新岡 大和, 篠原 博, 吉田 司秀子, 遠藤 陽季
    2022 年 34 巻 p. 25-32
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】積雪期に高い身体活動量を有する地域在住女性高齢者の特徴を明らかにすることを目的とした。

    【対象】地域在住女性高齢者55名(年齢74.3±5.5歳)を解析対象とした。

    【方法】加速度計を用いて中高強度身体活動( moderate-to-vigorous physical activity:MVPA )を評価し,継続時間10分以上の MVPA( long-bout MVPA )を算出した。WHO の身体活動ガイドラインが推奨する 1 週間150分以上の long-bout MVPA の基準により達成群と未達成群に群分けした。

    【結果】達成群は14名(25.5%),未達成群は41名(74.5%)であった。未達成群と比較して,達成群は日常的に雪かきを実施する者の割合および 2 ステップ値が有意に高く,抑うつ度が有意に低かった。

    【結語】積雪期において 1 週間150分以上の long-bout MVPA を実施している地域在住女性高齢者は,日常的に雪かきを実施しており,2 ステップ値が高く,抑うつ度が低いという特徴があった。

  • -下肢運動力学に着目した検討-
    村山 大河, 木元 稔, 斉藤 結奈, 岡田 恭司
    2022 年 34 巻 p. 33-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】急な歩行停止における片脚での停止動作の運動力学的な特徴を明らかにすることである。

    【対象】健常者29名とした。

    【方法】計測には三次元動作解析装置 (VICON 社製) および床反力計 (AMTI 社製) を用いた。歩行停止条件は,両脚で行うもの (両脚条件) と,片脚で行うもの (片脚条件) の 2 つとし,歩行停止サインが出現した場合に停止動作を行わせた。計測項目は停止サイン出現から停止までの時間 (停止時間),床反力前後成分,停止時の股関節・膝関節・足関節のモーメント・角速度・負のパワーの最大値とした。

    【結果】片脚条件では両脚条件よりも,停止時間が有意に長く,停止時の床反力後方成分,関節モーメント,角速度,負の関節パワーが有意に低かった。

    【結語】片脚での停止は,停止時に両脚支持から単脚支持への移行を伴うため,両脚支持の際にモーメントや角速度を大きく発生させず,単脚支持へ移行する過程で関節周囲の力を吸収していると考えられた。片脚での停止は停止のメカニズムが両脚のものとは異なることが明らかとなった。

  • 吉田 司秀子, 川口 徹, 新岡 大和, 篠原 博, 工藤 健太郎, 遠藤 陽季
    2022 年 34 巻 p. 41-48
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】へき地医療拠点病院一般病床でリハ介入を行った患者を対象とし,生活機能,人的環境,社会的環境に着目し再入院を予測する因子を検討する。

    【方法】外ヶ浜中央病院で2018年 4 月 1 日から2021年 3 月31日の 3 年間にリハ処方が出された全535ケースのうち,重複,転院,死亡退院,施設への退院を除外した自宅に退院した患者133名を解析対象とし,診療カルテおよびリハビリテーション実施記録から後方視的にデータ収集を行った。

    【結果】自宅退院した患者は24.8%が再入院しており,再入院群と対照群とを比較すると,再入院群でリハ開始時点での移動能力が有意に低かった。また,同居家族のいる患者が有意に多かった。独居の群の再入院率が低く,同居家族の有無で FIM の得点とかかりつけ医までの距離を比較すると,独居の場合で FIM の得点が有意に高かった。また,かかりつけ医との距離が有意に遠かった。

    【考察】へき地において独居が可能な場合は在宅生活を続ける十分な機能を有していることが予想され,同居家族の有無は自宅退院の可否にも再入院の有無にも大きく影響すると思われる。

  • 沼田 純希, 黒後 裕彦
    2022 年 34 巻 p. 49-55
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】靴着用の有無および製甲部の固定が立位バランス能力に与える影響を,姿勢安定度評価指標(IPS)を用い検討した。

    【対象】健常成人男女25名(男性10名,平均年齢21.2±0.6歳)とした。

    【方法】ベルトストラップを用いた靴製甲部の固定本数により 3 条件( 0 本:非固定, 1 本:中度固定,3 本:最大固定)を定義し,裸足条件を加えた 4 条件で測定を行った。対象者に重心動揺計を用い,直立位で10秒間の測定の後,前後左右へ身体を最大限傾けた姿勢で各10秒間の測定を行った.IPS および,その構成要素(安定域面積,平均重心動揺面積)について条件間で比較検討を行った。

    【結果】IPS に条件間の差を認めなかった。構成要素である安定域面積および平均重心動揺面積に有意差を認め,靴の着用および固定強度の増大により低値を示した。

    【結論】靴製甲部の固定は重心動揺を減少し安定域面積を狭小化させた。

その他
  • 佐藤 瑞騎, 小林 千夏, 佐藤 瑛実, 小松 憲祐, 加藤 健太郎, 坂田 徳隆, 鈴木 真純, 嘉川 貴之, 阿部 利樹
    2022 年 34 巻 p. 56-62
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】急性期における腰髄損傷不全麻痺患者に対する歩行再建に向けた積極的な運動療法により,歩行能力向上および自立の可能性に繋がったため報告する。

    【症例】 34歳男性で 5 ~ 6 m からの落下により受傷し,L1破裂骨折のため同日手術施行された。初期評価時,下肢 ASIA motor score が 6 点,改良 Frankel 分類が C1,神経学的残存高位は L1で日常生活は全介助であった。目標を「(歩行補助具の使用は問わず)屋内歩行自立以上」と設定した。

    【方法】早期離床と歩行練習を念頭に運動療法を施行し,歩行能力向上に伴い歩行速度および耐久性改善のため部分免荷型トレッドミル歩行練習を施行した。

    【結果】転院時(術後24日),下肢 ASIA motor score が24点,神経学的残存高位は L3に改善し,歩行速度向上および歩行距離延長が認められ見守りにて前腕支持型歩行器歩行が可能となった。

    【結語】早期からの部分免荷型トレッドミル歩行練習を含めた積極的な運動療法により歩行能力が改善した。

  • 高橋 純平, 北宮 千秋, 多喜代 健吾, 山田 基矢, 則包 和也, 工藤 麻理奈, 田中 真, 若山 佐一
    2022 年 34 巻 p. 63-66
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー

    【目的】東日本大震災による復興支援プロジェクト活動として「職員の健康相談とリスクコミュニケーション事業」を実施した。その中で,身体健康支援の一環で行った体組成評価に着目し,これまでの活動内容について紹介し,身体組成データを用いてその効果について検証を行った。

    【対象】体組成評価を複数回実施した自治体職員32名とした。

    【方法】支援内容は体組成や血管年齢評価等の身体評価,メンタルヘルスに関する個別相談等を,多職種チームで活動した。体組成評価は,初回評価時と最終評価時のデータを採用し,得られたデータの比較を行った。

    【結果】評価間の日数は平均714.2日であった。いずれの項目も有意差は認められなかったものの,身体計測への参加者の増加や身体機能に関する相談の増加がみられた。

    【結語】体組成計測への参加をきっかけに運動機会の増加がみられた者もおり,本事業が身体健康の促しの一助となった可能性がある。

  • 2022 年 34 巻 p. 67-85
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル フリー
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