【要旨】当院の内分泌・糖尿病内科では,2009年3月より本格的にフットケアを開始し2018年6月までにのべ2,000件のフットケアを実施している.その対象患者のなかには,身体機能の低下,足白癬治療の自己中断,内服薬の飲み忘れ等,認知症が疑われる患者が見受けられるようになったことから,当院内分泌・糖尿病内科外来,循環器内科外来に通院中の患者のうち同意を得られた50名に対し服薬状況のアンケートと65歳以上の患者に認知機能検査(MMSE:Mini-Mental State Examination)を実施した.今回の検討では,年齢,認知機能に関係なく内服・注射治療の遵守率は高い傾向であったのに対し足の観察および足白癬治療の遵守率は不十分な傾向であることが示された.また,認知機能の低下の有無にかかわらず「内服,注射を忘れない」,「足白癬治療を忘れる」と回答した患者が有意に多かった.内服・注射を忘れることが少ない背景として長期治療による習慣化,家族の協力,訪問看護による内服・注射の支援といった要素があり,足白癬治療を忘れることは認知機能の低下によるものではなく,疾患治療に対しての教育不足の可能性が示唆された.
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