イランにおける地熱開発の関心は, 1974年国連の地熱専門家J.R.McNitが同国を訪問したことから始まった。1975年に, イタリアのENELとイランのTBとの間で, イラン北西部の地熱開発についての契約が結ばれた。その結果, 1983年には, 有望地域として, サバラン, ダマバンド, コイ・マクおよびサハンドの4地域が抽出された。1996年から1999年にかけて, 国家規模の地熱資源量調査がエネルギー省のイラン再生可能エネルギー機構によって行われ, さらに10カ所の有望地域が抽出された。以上の14地域のうちで, サバラン地域が精密調査のための最初の地熱地域に選ばれた。1996年以降, 調査掘削および地熱貯留層評価のためのフィージビィリティスタディがニュージーランドのKMLによって行われた。2001年から2004年にかけて, 地下地質構造の把握, 地熱貯留層評価および生産に伴う貯留層状態変化の予測シミュレーションのため, 3本の深い坑井が掘削された。それらのうち, 2本は成功し, 最高温度240℃ (3200m深) が記録された。地熱貯留層シミュレーションの結果, 55MWの規模の地熱発電所が, イラン最初の地熱発電所として, サバラン地域に計画された。必要な蒸気量を生産するために, さらに13本の生産井と還元井が計画されている。現在, 坑井掘削基地の建設が行われている。2007年遅くには掘削が開始される予定である。
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