日本情報科教育学会誌
Online ISSN : 2434-6845
Print ISSN : 2189-0668
13 巻, 1 号
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論文
  • 下地 勇也, 福井 昌則, 掛川 淳一, 森山 潤
    2020 年13 巻1 号 p. 35-43
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/07/14
    ジャーナル フリー
    本研究では,2018年告示高等学校学習指導要領から共通教科情報科で拡充されるデータサイエンスに関する学習内容について担当教員の意識を把握した.O県の共通教科情報科担当教員41名を対象に,数学科の統計に関する学習内容を知っているか,情報科のデータサイエンスに関する学習内容に対して指導のイメージができるかについて,具体的なキーワードを挙げて回答させる調査を実施した.その結果,数学科のキーワードに対する既知率は,数学Ⅰ:43.2%,数学A:33.3%,数学B:17.6%と低い水準に留まった.一方,情報科のキーワードに対する指導のイメージができる割合は,情報Ⅰ:34.3%,情報Ⅱ:21.3%と低い水準を示すとともに,数学科のキーワードとの間に強い相関が見られた.また,情報の科学的理解育成に対する重要性の認識は,データサイエンスに対する指導のイメージに影響していなかった.これらの結果に基づき今後の教員研修の在り方について考察した.
  • ‐ニュージーランドの統計教育カリキュラムとの比較を中心に‐
    古賀 竣也
    2020 年13 巻1 号 p. 45-54
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/07/14
    ジャーナル フリー
    従来,数学科を中心に展開されてきた統計教育は,今後情報科でも重視される.本研究では,日本の統計教育の課題を踏まえ,統計教育における情報科の役割について検討した.まず,先進的な統計教育を実施しているニュージーランドに着目し,NZQA(New Zealand Qualifications Authority)が発行している資料と,高等学校学習指導要領解説の数学編理数編と情報編をもとに,高等学校段階の統計教育について両国を比較した.その結果,日本の統計教育においては,「文脈を統合する活動」,「質問項目の検討や実験デザインに関する内容」,「統計的リテラシーに関する内容」がそれぞれ不十分であるといった課題があることを見出した.最後に,これらの課題への対応として,カリキュラム・マネジメントの視点から,情報科と総合的な探究の時間や論理国語との連携,メディアリテラシーと統計に関する内容の連携の必要性について指摘した.
  • 若杉 祥太, 藤上 真弓, 嶋本 雅宏, 鷹岡 亮, 加藤 直樹
    2020 年13 巻1 号 p. 55-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/07/14
    ジャーナル フリー
    現在,様々な情報をネットワークやクラウド上に蓄積・整理して,それらの情報を関連するグループやチームのメンバーとともに自由にアクセスして活用できるマルチアクセス環境が整いつつある.一方,これからの変化の激しい社会では,個人として知識やスキルをキャッチアップし,また,複合的な課題を不完全にせよ解決策を導出しさらに良い解を他者とともに多面的に検討していくことが求められている.学校教育においては,ICTを活用したアクティブラーニングを繰り返し行うことを通して,児童生徒の協調的課題解決力を身につけさせることが狙いとなっている.
    本研究では,先行研究である『豊かな学び(1)』の促進を目指し「①学習課題等に対する学習者の知的好奇心を刺激する課題意識や見通しに対する情報提示や学習活動,②知識や情報を拡げたり,他者とともに吟味したり,新たな知識やモノを創造する学習活動,③自己評価や他者評価等を通した省察活動」の3つの学習プロセスに整理して,その学習プロセス上でマルチアクセス環境(タブレットPCやLMS等)を活用した授業実践を1年間実施した.その結果,LMSを通じて各プロジェクト学習で得られた学習の成果物を共有することで他者との意見交換などによる学びが自身の学びへとつながり,『豊かな学び』の促進へ向かうことが示唆された.
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