日本情報科教育学会誌
Online ISSN : 2434-6845
Print ISSN : 2189-0668
10 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
論文
  • 鎌田 敏之, 恩田 健司, 本多 満正, 兼宗 進
    2017 年10 巻1 号 p. 33-44
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
    本論文が対象とする自動化システムは,産業用ロボットを導入した生産システムのみならず,自動運転車のように,計測と制御を高度かつ有機的に結合する情報技術により実現される機械及び装置を含む.現代社会を生きる中学・高校生に対する普通教育において,自動化技術を適切に評価できる力の育成が,重要な課題の一つと考える.そこで本研究では,センサを搭載したコンピュータ制御を題材としたハンズオン教材と,プログラムによる課題解決とによって,計測・制御を並行処理する自動化システムの仕組みを認識させる指導法の開発を行った.この教育効果を測定するため,中学生を対象とした実験授業を行った結果,大半の生徒が 1)センサの値をコンピュータが逐次読み取る処理と,設定した条件に応じた制御の実行が並行処理されていることの認識の形成,2)身の回りにある同様な仕組みの機器に対する認識の形成を示したことで,開発した教材と指導法の効果が認められた.3) 一部の生徒が中学生の一般的理解程度を超える条件判定を考察できたことから,並行処理概念に関し高等学校での発展的学習に可能性を示した.
  • 丸山 浩平, 森本 康彦, 中谷 幸裕, 蛯子 准吏, 松原 雄一, 馬場 正一
    2017 年10 巻1 号 p. 45-57
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
    本論文では,長野県内公立高校における生徒の暮らす信州を題材とした探究的な学習において地域経済分析システム「RESAS」を活用した学習(以下,RESAS活用学習)の効果を明らかにすることを目的とする.具体的には,RESAS活用学習を計画して実践を行い,実践終了後の質問紙調査の結果に対して探索的因子分析と因子間相関分析により,RESAS活用学習の与えた効果を統計的に分析した.その結果,RESAS活用学習全体を通して,地域のことに興味・関心を持って取り組み,自分が難しいと感じたことはわかるようになるまで挑戦しようとし,最後まで一生懸命取り組むようになる可能性が示唆された.そして,RESAS活用学習は,「学びに向かう力」,「ICT(情報)を活用した学習」,「対話的(家庭・地域)な学習」,「信州学の授業内容に対する評価」,「対話的(友だち・先生)な学習」,「地域を理解しようとする姿勢」の因子から構成され,これらが効果を与えていることが明らかになった.
レター
  • ‐Webページ作成を通して責任ある情報発信の態度を育成するまとめの学習指導‐
    笹川 清喜
    2017 年10 巻1 号 p. 61-70
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
    共通教科情報・科目「社会と情報」の「まとめの学習」において,Webページ作成を通して,ウェブアクセシビリティの取り組みの一つである画像タグにAlt属性を設定する代替テキストの提供方法を習得させる指導を行った.この結果,情報を提供する立場の体験から高齢者や障がい者を含め様々な閲覧者の存在を想像させ,Webページの閲覧者への配慮の意識を高める効果を確認できた.また,Webページ作成は,作成の場面で掲載する画像が適切かどうかを深く考えさせるため,Web上で写真を扱う際の注意点を意識させる情報モラル教育にも有効であることが示唆された.
  • 鷹岡 亮, 奈良崎 雄郁, 嶋本 雅宏, 横山 誠, 加藤 直樹
    2017 年10 巻1 号 p. 71-79
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,学習者が,主体的に,文字以外の「話し言葉」や動画・写真等も活用して,授業・学習単位時間当たりの授業・学習時の雰囲気や学習全体を想起しながら,学習者自身で省察する内容を吟味・構成して学びの軌跡をデジタルノート(「学びのストーリーノート」)として創る省察活動手法について提案することを目的とする.具体的には,プレゼンテーションアプリを活用して,授業が展開されているなかで,その日の学習内容に対して重要と思った場面や学習内容,さらに気づき等をメモだけでなく,「動画(学習者自身が気づきや学び等を「話し言葉」で語り録画・録音することも含む)・写真」を撮って省察リソースとして準備する.授業最後の省察活動では,その日の学習内容を想起して,省察リソースを吟味して構成し,省察内容を「学びのストーリーノート」として創作する.本稿では,大学生を対象とした教員養成系学部授業「学習メディア活用演習」の実践について報告し,思ったことや気づいたことを「話すこと」や「動画・写真」で表現する省察形態や「学びのストーリーノート」作成に対する学習者評価の結果について考察した.授業実践を通して,「話し言葉」や「写真・動画」が省察活動の1つの要素として有効性があること,そして「学びのストーリーノート」の創作活動が,自分の学びを記述するために授業内で主体的に省察リソースを撮ったり集めたりする傾向にあり,また,その時点の自分の学びや気づきをその場の臨場感とともに記録し後から省察できることを意識する傾向にあることから,学習者の省察活動の質を向上させる可能性があることが分かった.今後の大きな課題として,提案した「学びのストーリーノート」の教育的意義に対する統計的な分析による検証が挙げられる.
資料
  • 古賀 竣也
    2017 年10 巻1 号 p. 83-89
    発行日: 2017年
    公開日: 2020/03/27
    ジャーナル フリー
    統計教育に対する関心が高まっている中,本研究では,高等学校共通教科情報の学習指導要領解説で具体的に明記されていない統計に関する学習内容を,学習指導要領解説に基づいた検定教科書の内容分析を行うことで明らかにした.検定教科書16冊(「社会と情報」10冊・「情報の科学」6冊)の中から統計に関する学習内容を抜き出し,類似している内容ごとに分け,統計情報の「生産者」と「消費者」といった視点から,どのような学習内容が記載されているのかを調べた.その結果,統計に関する内容が各教科書によって,取り上げる内容もページ数も大きく異なっていることや,「生産者」に必要な内容として,調査全体の流れを把握する学習が充実していないこと,「消費者」に必要な内容として,特に統計情報に対して批判的に解釈することができるような人々の育成を考慮した学習内容がほとんど含まれていないことが明らかになった.
feedback
Top