本研究では,学習者が,主体的に,文字以外の「話し言葉」や動画・写真等も活用して,授業・学習単位時間当たりの授業・学習時の雰囲気や学習全体を想起しながら,学習者自身で省察する内容を吟味・構成して学びの軌跡をデジタルノート(「学びのストーリーノート」)として創る省察活動手法について提案することを目的とする.具体的には,プレゼンテーションアプリを活用して,授業が展開されているなかで,その日の学習内容に対して重要と思った場面や学習内容,さらに気づき等をメモだけでなく,「動画(学習者自身が気づきや学び等を「話し言葉」で語り録画・録音することも含む)・写真」を撮って省察リソースとして準備する.授業最後の省察活動では,その日の学習内容を想起して,省察リソースを吟味して構成し,省察内容を「学びのストーリーノート」として創作する.本稿では,大学生を対象とした教員養成系学部授業「学習メディア活用演習」の実践について報告し,思ったことや気づいたことを「話すこと」や「動画・写真」で表現する省察形態や「学びのストーリーノート」作成に対する学習者評価の結果について考察した.授業実践を通して,「話し言葉」や「写真・動画」が省察活動の1つの要素として有効性があること,そして「学びのストーリーノート」の創作活動が,自分の学びを記述するために授業内で主体的に省察リソースを撮ったり集めたりする傾向にあり,また,その時点の自分の学びや気づきをその場の臨場感とともに記録し後から省察できることを意識する傾向にあることから,学習者の省察活動の質を向上させる可能性があることが分かった.今後の大きな課題として,提案した「学びのストーリーノート」の教育的意義に対する統計的な分析による検証が挙げられる.
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