日本風工学会年次研究発表会・梗概集
平成18年度日本風工学会年次研究発表会
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • - 風災害研究会の活動 -
    野村 卓史
    p. 87-92
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    強風災害低減は日本風工学会の主要な活動目的の一つであり,1998年に発足した風災害研究会は常置の学術研究会としてその役割の一端を担ってきた.本稿は研究会の今日に至る活動を要約したものである.被害調査活動や社会貢献活動の実績を網羅的に示すとともに,被害調査活動を円滑に実り多く実施するための情報伝達システム方法,風観測データの獲得方法,調査マニュアルの作成,学会による経費支援策,社会貢献のあり方,国際協力などについて,発足当初の構想と現状を対比して報告し,今後のあり方を考えるための題材を提供する.
  • 小林 文明
    p. 93-98
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    「強風災害の低減に向けて何ができるか?」というパネルディスカッションのテーマに対する議論の材料となるべく、以下の3点に関して話題提供を行う。1)気象災害が頻発した2004年の具体的事例から強風被害における問題点を挙げる。2)気候変動と気象災害について近年の災害がどのような位置付けになるのかコメントする。3)気象擾乱研究会の活動を紹介する。
  • 西村 宏昭
    p. 99-108
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    2004年はこれまでの最多の台風がわが国に上陸し,各地で甚大な被害をもたらした。日本風工学会風災害研究会では2004年の台風被害をまとめて報告書として発行した。これらの被害を振り返り,日本風工学会が強風被害の低減に貢献する方法を議論する。
    一部の被害については調査が行われ原因の追求もなされているが,強風被害の全体の統計は十分ではなく,全体を集約する方法が必要である。被害を低減するためには,被害の全容を把握すること,被害の原因を明らかにすること,それらの情報を共有して対策を広く講じていくことが必要である。
  • 成田 健一
    p. 109-114
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    ヒートアイランド緩和施策として注目されている「風の道」について、これまでの研究成果をふまえながら基本的な考え方についてまとめた。ドイツでは、夜間の斜面冷気流を大気汚染対策として市街地に導入する施策として都市計画に活かされているが、わが国では暑熱緩和を目的に日中の海風利用が注目されており、導入の目的も利用しようとする自然現象のスケールにも違いがある。海風は斜面冷気流に比べはるかに厚さがあるため、連続的なオープンスペースの確保や流れを遮断しない向きに建物配置を誘導するというドイツ的な発想に固執せず、上空風の積極的な取り込みなど市街地の換気効率を面的に向上させるという観点からの利用が重要であることを指摘した。
  • 足永 靖信, 河野 孝昭
    p. 115-120
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    本研究では、地球シミュレータを都市環境問題に初めて活用することにより、個々の建物を解像したヒートアイランド解析に取り組んだ。今回は新たに解析モデルを開発し、都市部の熱環境解析の一例として、水平5mメッシュの解像度で汐留の再開発エリアを含む5km四方領域の熱環境解析を実施した。そして、超高層ビル群による熱環境の影響について考察を行った。超高層ビル群がある場合は、超高層ビル群の前方から後方の広範な領域で風速5m/s以下であり、特に下流側では風速2m/s以下に風速が低下した。これに対応して、広い範囲にわたって気温が上昇した。本解析では、超高層ビル群による影響がビル高さの数倍に相当する風下1kmの広範な領域に及んでいることが示された。
  • 富永 禎秀
    p. 121-126
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    風環境(いわゆるビル風などの歩行者空間の風環境、建築内部や街路の換気・通風、市街地における温熱環境や汚染質拡散等を対象とする)問題をCFD解析により予測・評価する立場から、メソ気象解析との接続の可能性、課題について述べる。メソ気象解析とミクロ解析の結合は、特に拡散や換気・通風等の弱風問題の解明や予測等のように境界条件の非定常な変化が結果に大きな影響を及ぼす解析対象においては、極めて有効な手法となると考えられる。
  • 大塚 清敏
    p. 127-132
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    メソスケールとミクロスケールの接続について、局所的風況予測モデルLAWEPSの開発事例を中心に、その技樹的な着目点や課題について論じている。複雑地形の風速分布におけるメソスケールとミクロスケールの考え方に言及し、LAWEPSにおける気象スケールからミクロスケールへの領域ネスティングの仕様や考え方を紹介した。LAWEPSでは気象モデルと工学モデルという従属変数の種類や数が異なるモデル間の接続であるため、データを円滑に接続するための工夫がされている。プロジェクトにおいてLAWEPS開発のためのテスト領域として設定された潮岬周辺に対して、ネスティングの検証計算を行い風況観測およびドップラーソーダ観測と比較した。その結果、LAWEPSでは領域間でのデータ接続は適切に行われており、風況予測において実用上十分な精度を有することが示された。
  • 近藤 裕昭
    p. 133-136
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/09/23
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    メソスケールモデルから見たミクロスケール現象の取り扱いについて、地表面過程、大気境界層乱流の2つの話題を中心に述べた。1格子内における地表面の不均一さから来るフラックスの積み上げについては、各土地被覆が一様に拡がっている場合フラックスにそれぞれの面積比を乗じて足し合わせたフラックスで置き換えることがよく行われている。また、メソスケールモデルの水平格子間隔が大気境界層の厚さよりも小さくなってきた近年生じてきた大気乱流の取り扱いに関する問題点について紹介した。
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