日本風工学会年次研究発表会・梗概集
2021年度日本風工学会年次研究発表会
選択された号の論文の36件中1~36を表示しています
2021年度年次研究発表会梗概集
  • 染川 大輔, 飯田 有未, 後藤 暁, 小野 佳之, 大塚 清敏
    p. 77-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    大型のファンに比べて非定常な気流の作成を比較的容易に作成できると考えられるマルチファンを有する風洞実験装置を用いて、自然風の変動を再現を行った。風路の壁、天井のない状態では、一様流、粗度区分Ⅲ相当の気流がターンテーブル中心付近以外ではあまり均一にはならないことを示した。ターンテーブル中心付近ではファンの回転数の制御によって自然風の変動を再現できる可能性を示した。

  • 普後 良之, 田村 哲郎, 佐藤 大樹, 勝村 章
    p. 79-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    多点同時風圧計測により層風力評価を行う場合、測定点が離散的に配置されることにより誤差が発生する。その誤差は天秤による実験と比較することで評価できるが、実建物の複雑形状に対しどの程度の風圧測定点を設置すべきか不明である。本報では測定点を比較的密に配置した風圧模型を用いて模型頂部とよどみ点付近の2層に着目し層風力および層ねじりモーメントに測定点密度が与える影響を調べた1事例を紹介する。対象とした扁平形状の建物では長手方向に8点以上の測定点を配置することで精度良い層風力・層ねじりモーメント評価を行うことができた。

  • 榎木 康太, 石原 孟
    p. 81-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    風力発電事業では,風資源量評価やサイト適合性評価のために風観測が実施される.風況観測では様々な要員により欠測データを有することが多い.そのような欠測を補うために,現地観測を代表可能な近傍観測に基づくMCP(Measure ? Correlate - Predict)法がしばしば用いられる.一般に,MCP法の持つ予測の不確かさは把握できるが,部分的にMCP法による補完を適用した場合の最終的な観測精度を推定する手法は明らかでない.本報告では,この最終的な観測精度を簡易に推定するための式を提案し,実測により式の妥当性を検証した.

  • 谷本 大地
    p. 83-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    橋梁の長大化を受け,主塔の耐風安定性が求められている.現在,主塔には隅切り断面(矩形の隅を四角に切り取った断面)が採用されているが,隅切りが主塔の振動を抑制する理由について不明確な点が多くあり,隅切り周りの流れの把握が求められている.本研究では数値流体解析を用いて矩形・隅切り・面取り断面(矩形断面の隅を三角に切り取った断面)を比較検討した.矩形断面と比較して隅切り・面取り断面では剥離流の剥離幅が減少し,上面・後流域での圧力損失が抑制されることが分かった.また,圧力損失の抑制が隅切り・面取り断面の空力安定性に寄与していることが確認された.さらに隅切りと面取り断面の比較を行ったが空力特性の大きな差異は確認されなかった.

  • 西嶋 一欽, 鴨下 諒一
    p. 85-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    現在強風被害分析において、強風ハザード指標としては近隣の風速計で観測された風速や気象モデルによる再解析から推定される比較的広域の代表風速が用いられている。しかしながら、強風被害に直接的に関係する物理量は、飛来物による被害を除くと、建築物各部位に作用する風圧力であるから、風圧をハザード指標として用いることが本来適切である。そこで、本研究では市街地に位置する低層建築物群を対象に、特に屋根形状の再現性に着目し、UAV空撮画像から生成された3次元点群データを用いて3Dプリンタによって風圧測定用模型を作成することで、風洞実験により強風被害発生時の作用風圧力を推定する方法を確立し、その妥当性を検討する。

  • 佐々 浩司, 青柳 百華
    p. 87-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    冷気外出流が上昇流域に貫入する際に形成される竜巻の形成過程を明らかにするため、再現実験を行った。その結果、(1)竜巻生成過程は弱い回転を伴う上昇流の形成、(2)冷気外出流の旋回、(3)竜巻状渦の形成の3ステージに分類されることわがった。これらの過程は海上竜巻の観測結果における各段階とよく対応していた。また、わずかな気流状況の変化により形成過程も影響を受け、竜巻が形成されない場合もあることがわかった。

  • 飯田 有未, 染川 大輔, 後藤 暁, 小野 佳之, 大塚 清敏
    p. 89-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    竜巻などの突風による被害や観測事例が増加しておりその対策の検討が急務である。そのためにはまず竜巻の基本性状を明らかにすることが重要である。

    そこで,竜巻による風速場の基本性状の確認を目的とし,竜巻状気流発生装置により竜巻状気流を再現し,3次元PIVを用いて風速3成分の計測を行った。本研究では,竜巻装置の吸込口高さとガイドベーン角度を変化させることでスワール比の異なる気流を作成し,スワール比と竜巻状気流の風速分布との関連性を整理した。また,竜巻装置を移動させることで,竜巻の移動が竜巻状気流に与える影響を明らかにした。

  • 丸山 敬, 竹見 哲也, 山田 広幸, 山口 弘誠
    p. 91-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    建物被害の原因となる強風特性に関して、これまで地表面摩擦に起因する「風の乱れ」だけを考慮することが多く行われてきた。しかし、観測技術の進歩に伴い、ダウンバーストや竜巻、ガストフロントなど局所的ではあるが激甚な建物被害を引き起こす極端気象現象が明らかになるにつれ、これら積雲対流下の上昇・下降気流に由来する風速の急変を伴う「突風」を考慮した強風ハザード評価が正確な被害予測に不可欠であると考えられる。そこで本研究では、積雲対流による「突風」の影響を明らかにするためドップラーライダーによって観測された前線通過時の記録を紹介し、積雲対流下における接地境界層内の気流性状について考察する。

  • 石川 大, 石田 泰之, 持田 灯
    p. 93-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    着目する市街地の形態変更は,着目する市街地内の風環境のみならず,その風下側に位置するエリアの風環境にも影響する。則ち,着目する市街地で失われる運動量や運動エネルギーが多いほど,その風下側に位置するエリアへ流入する運動量や運動エネルギーは減少する。これまで,着目する市街地がその風下側に位置するエリアの風環境へ与える影響は,運動量の損失を表す抗力や,運動エネルギーの損失を表すエネルギー散逸率で評価されてきたが,これらの意味合いの差異については,十分に整理されていなかった。本研究では,運動量の損失を表す抗力と運動エネルギーの損失を表すエネルギー散逸率の相互関係について考察する。

  • 富永 禎秀, Shirzadi Mohammadreza
    p. 95-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では, RANS(low-fidelityモデル)とLES(high-fidelity)の相補的利用によって、市街地の風速増加への影響を最小化する建物形状最適化手法を提案するとともに、仮想的な街区の風環境問題に適用し、その有効性を検討した。風速増加率K>1.1で評価した場合、RANSとLESによる改善度合い(Incremental performance value: IPV)は非常によく一致した。一方、K>1.3で評価した場合、LESによるIPVがRANSによるそれよりも大きくなる。特に風向0°のときに差が大きい。これはRANSの場合、風上側キャビティおよび建物側面近傍で発生する高風速のピークがSRANSでは再現できていないことによる。しかしながら風向の変化に伴うIPVの変化はよく捉えられている。

  • 銭 国偉, 宋 雲鵬, 石原 孟
    p. 97-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究その1の目的は,制御アルゴリズムと翼回転の影響を考慮した風車後流と運転状況の数値モデルを開発することである。まずトルク・ピッチ・ヨー制御を含む実際の風車制御アルゴリズムを数値流体解析のプログラムに実装すると共に,風速と風向を変化させた場合の数値シミュレーションを行い、スラスト力と発電量は,空力弾性モデルFASTと良い一致を示した.また,風車後流の風速場の可視化とスラスト力のスペクトル解析を行うことにより,ADMで再現できなかった翼の回転による動的特性をALMで再現できることを明らかにした.

  • その2:コリオリ力の影響と実測による検証
    宋 雲鵬, 銭 国偉, 石原 孟
    p. 99-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究その2の目的は、開発した数値風車モデルを実際の風車に適用し、実スケールの後流の特性を再現することである。先ず、洋上風況観測データをもとに3次元乱流場を生成し,数値シミュレーションを実施した.観測塔と風車のSCADAにより計測したデータと比較することにより,風況、制御信号と発電量の時系列を再現できることを示した.最後に,地球回転に起因するコリオリ力効果を考慮した洋上風車後流の数値予測を実施し,LiDARによる観測値とよく一致することを示した.

  • 内田 孝紀, 小野 謙二, 飯田 明由, 吉村 忍, 加藤 千幸, 山出 吉伸, 今村 博, 植田 祐子
    p. 101-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では,スパコン版RIAM-COMPACTを用いた風洞模型スケールから実機スケールまでの風車ウエイクシミュレーションの結果を紹介する.

  • 金 容徹
    p. 103-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    風力発電設備において円断面タワーは従来から使われているが,大型化に伴い局部座屈など,円断面タワーの弱点が指摘されている。その対案として多角形断面タワーが検討されているが, それらの空力特性および風荷重に関する研究はまだ不十分である。そこで,本研究では円断面タワー含む7つの多角形断面タワーを持つ風力発電設備を対象に,風洞実験結果を用いて時刻歴解析を行い,多角形断面タワーが風力発電設備の風荷重に与える影響を明らかにすることを目的とした。

  • 松宮 央登, 垂石 早紀, 石川 智巳
    p. 105-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では,変動風が作用した架空送電線において,動的風荷重および応答変位に与える構造非線形性・空力非線形性および共振成分の影響を明らかにするため,有限要素法を用いた時刻歴応答解析を実施した.構造非線形性・空力非線形性の影響をそれぞれ個別に考慮できる複数の解析モデルを用いて,それぞれが送電線の応答や送電線を支える鉄塔に作用する荷重に与える影響を示した.また,動的応答解析と準静的解析の結果を比較することで,応答の共振成分の影響も示した.

  • 木村 吉郎, 甲斐 リサ, 大幢 勝利, 高橋 弘樹
    p. 107-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    建築物の解体工事で使用されることが多い防音パネル付き足場は,強風が予想される際でも防音パネルがそのまま設置され大きな風荷重が作用するため,空気力分布を風洞実験で測定した。解体前と,「コの字」解体状態の2ケースの建物模型に併設した防音パネルに作用する風荷重をロードセルで測定した.実験結果を指針に対応する形で風力係数の瞬間値として整理したところ,解体前の形状では絶対値は指針よりも小さくなったが,コの字解体の形状では,主に開口部近くにおいて,指針よりも絶対値の大きな風力係数となる位置があった.値や変動が大きくなった風向から判断して,端部からの剥離流れが影響しているものと考えられた.

  • 垂石 早紀, 松宮 央登, 早田 直広
    p. 109-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    降雨による水路が形成された鋼管部材を模した円柱模型の空力不安定振動の発生条件に対する振動方向の影響を評価するために,風洞実験および準定常空気力を用いた1自由度応答解析を実施した.解析結果は実験結果を包含しており,準定常空気力を用いた解析により振動のメカニズムおよび最大振幅を評価可能である.揚力は励振力として働き,その効果は振動方向が風直交方向に近いほど大きい.一方,抗力は減衰力として働き,その効果は円柱が風に向かって斜め上方向に振動する場合の方が小さい.その結果,円柱が斜め上向きに変位するときある程度向かい風となるような条件で空気力による仕事が最大となり,最も顕著な振動が発生する.

  • Yan Yuxuan, 八木 知己, 野口 恭平, 高橋 和暉
    p. 111-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    橋梁の耐風設計において,高欄のような詳細部が空力振動特性に影響することは知られているが,その程度やメカニズムは十分に検討されていない.また,制振効果に優れた高欄を選定することは重要である.このような場合においても高欄が空力振動に与える影響について十分に理解しておく必要がある.本研究ではばね支持自由振動実験を行い,高欄の形状と下流側高欄が橋梁断面の鉛直たわみ渦励振に与える影響について検討した.中間横部材の断面辺長が大きいことには制振効果があることが分かった.また,下流側で壁高欄や格子の細かい高欄を用いると渦励振に対する制振効果があることが分かった.

  • 須山 望, 山口 弘志, 井上 浩男
    p. 113-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    風力発電用の風車は、発電量の最適化及び安全を保つため、ローターやブレード迎角を制御している。様々な手法が検討されており、暴風時の風荷重低減を目的とした制御により、ブレードの後縁が風上側に来る特徴を持つものも存在する。近年風車は大型化の傾向にあり、今後、このような制御方式の採用も進む可能性がある。一方、翼後縁を上流にした状態における空力特性は、公開情報が少ないのが現状である。そこで本研究では、標準翼(NACA0012)と非対称翼(NB18)の2次元模型を用い、ばね支持試験を実施し、迎角172°、180°、188°における空力特性を確認した。フラッター発現の有無や限界風速の比較に加え、標準翼について、ねじれ1自由度、迎角180°における特徴的な動的耐風特性を確認したので、その結果を報告する。

  • 野田 博, ミッタル ラジャット, セオ ジャンギ, メノン カルテック
    p. 115-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では,2次元角柱の強制加振振動の数値流体計算から振動時のエネルギー収支を計算し,そのエネルギー収支から渦励振やギャロッピングなどの角柱の空力不安定振動の性状について考察する。また、エネルギーマップに基づいて空力不安定振動の振動振幅の予測を行う。対象とした角柱は辺長比2の2次元角柱である。

     角柱振動時の風力から振動物体に加わるエネルギーの正負は,風力係数の速度同相成分の正負と一致する。また,風力と応答変異の位相差の正負にも概ね一致する。これら3つの物理量は概ね同じ情報が提供される。エネルギーマップより,構造減衰が0の場合の空力不安定振動の振動振幅を予測することが出来る。

  • 宮元 鴻, 八木 知己, 野口 恭平, 山本 宗一郎, 髙田 篤史
    p. 117-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    バタフライウェブ橋を模したB/D = 2の矩形柱において、側面開口部が空力振動特性に影響を与えることが知られている。そこで、側面に開口部を設けた矩形柱の空力振動特性及びそのメカニズムの解明を目的として、一連の風洞実験を行った。模型は開口部を有するB/D = 2の矩形柱を用いた。開口部形状としては、側面のスパン方向に開口部と閉塞部が交互に分布した開口部形状と構造的な三次元性を排除した二次元的な開口部形状を用いた。その結果、どちらの開口部形状も、開口率が大きい程ギャロッピング発現風速が高風速になること、また、ある開口率でギャロッピングの励振力が極大をとることがわかった。また、ギャロッピング発現風速が高風速側に移動するメカニズムは、両者で異なることが明らかになった。

  • 酒井 佑樹
    p. 119-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    現在の建築物の耐風設計では、風荷重を静的に与えた場合の安全性を確認する等価静的設計手法によって弾性設計されており、変動風力による繰返し荷重やその作用時間を考慮した設計が行われることは少ない。近年の建築物は高層化、長寿命化の傾向があるため、建築物の供用期間中に常に外気に曝される外装材については、繰返し風荷重に対する疲労損傷評価が今まで以上に重要になると予想される。本研究では、台風シミュレーションとLESに基づいて建築物外壁鉛直フィンの供用期間100年を想定した疲労損傷評価を実施する。また、LESで得られる変動風圧に対してPOD解析を行い、再合成波形の疲労損傷度への影響を確認することで、外装材の簡易的な疲労損傷評価法構築のための一助となることを目指す。

  • 小野 佳之, 田村 哲郎
    p. 121-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では、三次元角柱の空力特性に与える風上領域に設置したラフネスブロックの影響を明らかにすることを目的とし、境界層乱流中における三次元角柱まわりのLES解析を実施した。その結果、風上にラスネスがない場合には、下部の風直交方向の層風力の変動が増大することが明らかとなった。その要因を検討したところ、ラフネスブロックがない場合、下部で乱れが減衰し、せん断層の乱流化が促進されず、後流の影響を受けて、負圧の作用する領域が広がり、大きな風力が作用するものと考えられた。

  • 松田 一俊, 加藤 九州男, 重富 堅太, 曹 納徳, 横田 菜
    p. 123-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究は,Vcr=0.83B/Dから発現する自己励起型渦励振に着目し.B/D=4の矩形断面をベースに面取り角度θを徐々に変化させたとき,断面形状変化が渦励振応答特性に与える影響を実験的に検討したものである.その結果,θ5deg.の場合,断面上下面に前縁剥離渦が生成され自己励起型渦励振が発現するが,θ=10, 15deg.の場合,前縁剥離渦の生成が弱まり,代わりに後縁から生じるカルマン渦が徐々に強まることに起因してカルマン渦励振に変化することが分かった.

  • Dao Thu, 八木 知己, 野口 恭平, 福島 温樹, Do Tung, 桑原 彰吾
    p. 125-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    12本の突起を螺旋状に設けたスパイラル突起付きケーブルでは,突起を有さない普通円柱ケーブルと比べ,大幅に低いレイノルズ数Re=1.3x104-2.3x104で抗力の急減(ドラッグクライシス)がみられる.本研究では,スパイラル突起付きケーブルの表面圧力を計測することで,突起の影響を受けたケーブル周囲の流れが如何にして抗力急減を引き起こすかを明らかにすることを目的とした.結果,カルマン渦放出の抑制が抗力の急減と密接に関連していることが示された.また,抗力が急減するRe域を超えても,抗力は一定にも関わらず,ケーブル周囲の流れは時間的・空間的に大きく変化することが明らかとなった.一方,流下方向に対しケーブルが偏角を有する場合,圧力変動が抑制され,ケーブル周囲の流れが2次元性をとり戻すことが示唆された.

  • 坪倉 佑太, 野口 恭平, 八木 知己
    p. 127-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    国内における大気中の塩分量の評価には,木枠にガーゼをはめ込んだ装置を用いて塩分量を計測する,ドライガーゼ法が頻繁に使用される.しかし,ガーゼ繊維による粒子の捕集効率は未解明であり,ドライガーゼ法によって得られる塩分量と実際の大気中の塩分量との関係は不明である.本研究ではドライガーゼ法の捕集効率を算定することを目的として,ガーゼ繊維を円柱としてモデル化し,十字状に配置された円柱周りの流れ場解析および粒子飛散解析を通じて円柱による粒子の捕集効率を算定した.その結果,十字状に配置された円柱による粒子の捕集効率は,円柱群を流体が通過する際に生じる圧力損失量から推定できることが示唆された.

  • 後藤 崇文, 八木 知己, 奥西 智也, 松宮 央登, 野口 恭平
    p. 129-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    ブラフボディに生じる水平・鉛直・ねじれ3自由度空力自励振動現象は、高無次元風速域においては大振幅を許容した状況下で、相対迎角と相対迎角速度により決まる空気力によって説明できる可能性がある。筆者らはこれまで一定速度で連続回転中の空気力を計測することでこの空気力を求め、ねじれ1自由度振動現象が説明できることを示した。本研究では鉛直1自由度振動現象について、一定速度で連続回転中の空気力により表せることの妥当性およびその範囲を、断面辺長比B/D = 2矩形断面を対象に、高無次元風速域から低無次元風速域まで含めて検討した。その結果、高無次元風速域及び低無次元風速域の大振幅域において、妥当性が示された。また、低無次元風速域・小振幅域でも、振動中の空力特性は相対迎角と相対迎角速度によって説明可能であることが示された。

  • 野口 恭平, 津田 悠希, 坪倉 佑太, 八木 知己
    p. 131-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    橋梁の維持管理においてはあらかじめ付着塩分量を把握しておくことが望ましいが、大気中の塩分粒子の輸送過程や壁面への付着機構については十分に検討されているとはいえない。本研究では、様々な断面辺長比の矩形断面を対象に、CFDを用いて部位別付着塩分量を算出すると同時に、どのような流れの影響を受けて粒子がその部位に至るのか検討を行った。その結果、断面形状・部位の違いによって粒子が付着に至るまでの輸送機構は異なるため、断面ごとに特徴的な付着分布が得られることが判明した。さらに、簡便な腐食環境評価を念頭に、矩形表面の平均圧力係数の面方向勾配を調べたところ、付着塩分量を精度よく評価できる可能性が示された。

  • 中藤 誠二
    p. 133-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    矩形断面柱の後流域に鉛直スプリッタープレートを設置し,軸方向の位置を変化させて,風圧特性に与える影響を調べた.B/D=1では鉛直板が2つの圧力点の中央付近に位置するときに,コヒーレンスが小さくなる傾向が見られた.B/D=3では模型との間隔が狭い場合には空間相関に影響が見られたが,間隔を模型高さとした場合にはほとんど影響が見られなかった.軸方向の相関には,後流域の流れ場の相関の寄与は小さく,模型周りの流れ場の影響が大きいことが示唆された.

  • 伊藤 修一, 野田 稔
    p. 135-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    2020年の台風10号における「これまでに経験したことのないような災害」の発生という表現に疑問を感じ,情報の受け取り手が住んでいる場所や人生の長さによって過去の経験は異なるため,情報を正確に伝えることはできず,この問題を解決するには,予想される風速の発現頻度を分かりやすく伝える必要があると考えた。そこで,本研究では,建築荷重指針で提供されている100年再現期待風速マップと500年再現期待風速マップをGISのポリゴン情報としてデジタル化し,ある風速の発現頻度を再現期間マップの形で提供することを提案する。

  • 山田 雛野, 野田 稔
    p. 137-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では,風向を64方位に分割し,丘陵地帯における特定の地点の流れ場に対する周辺地形の影響について,RANSに基づく標準k-εモデルを用いた数値流体解析による検討を行った。その結果,丘や谷の存在が流れ場に対して影響していることを確認した。また,風向を細分化することで,風向変化に対する詳細な風速比分布の変化を求め,代表的な2種類の風速比分布を確認することができた。さらに,基本的な風速比分布は半径1km以内の地形によって特徴づけられていると考えられる結果が多く得られ,特定の風向において遠方の地形が風速比に強く影響する場合があることが分かった。

  • 尾田 春雄, 益子 渉, 友清 衣利子, 野田 稔
    p. 139-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本研究では,2018年に発生した台風21号における大阪府南部の強風被害分布に対し,最弱リンクモデルに基づくワイブル分布の適用を検討した。被災地域を直交格子状に分割し,分析を行った結果,住宅密度毎の最大風速二乗値による累積被害確率はワイブル分布に沿い,各ワイブルパラメータと住宅密度に関係性があることが分かった。また,この関係を用いた被害確率モデルは実際の累積被害確率によく一致することが示された。この検討においてワイブル分布に乗じたは,発災から航空調査までの期間が影響したものと思われ,そのほかのパラメータも含め,住宅密度との関係性について理論的説明を加え,より正確な被害確率モデルの構築を目指す。

  • 畔上 泰彦, 田中 英之, Doan Quang-Van, 日下 博幸
    p. 141-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    2019年19号台風の再現実験と疑似温暖化手法を用いて将来気候下における数値実験を行った。その結果、将来気候下では千葉県などの沿岸地域において現在気候(再現実験)よりも地上風速が10m/s以上増加する可能性があることが分かった。また、東京駅周辺地区においては、地上風速の最大値が現在気候ではほとんどエリアで10m/s以下であるのに対し、将来気候下では10m/sを超え、場所によって16m/sを超える風が吹走する可能性があることが分かった。これらの結果から、将来気候下においては台風による強風被害が現在よりも増加する可能性があり、事前の強風対策がさらに求められていくと考えられる。

  • 髙舘 祐貴, 喜々津 仁密, 奥田 泰雄
    p. 143-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    国土交通省では,令和元年房総半島台風等による住宅の屋根瓦等の被害に関する検証結果等を踏まえ,昭和46年建設省告示第109号を改正し,令和4年1月1日以降に新築される建築物の屋根瓦については全数緊結を義務付けることとした。また,増築又は改築時に既存部分の屋根瓦については平成17年国土交通省告示第566号を改正することで,直ちに新基準の適合を求めないこととした。さらに,平成12年建設省告示第1454号を改正することで,都市計画区域内外で異なっていた地表面粗度区分を統一し,都市計画区域内外に関わらず全ての区域で地表面粗度区分ⅠやⅣを定められることとした。本論文ではそれらの内容について概説する。

  • 友清 衣利子
    p. 145-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    本報告では,雨台風と風台風による住宅および人的被害の特徴を検討した。1991年以降の台風に着目したところ,住家被害および人的被害は近年でもあまり減少しておらず,特にいわゆる風台風の時に負傷者が増大することが分かった。降雨の少ない風台風では,暴風下であっても屋外で活動を行う人がおり,そのことが人的被害の拡大を招いていることから,強風下で身を守るためには屋外に出てはならないことを広く啓蒙する必要がある。

  • 佐藤 宏樹
    p. 147-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
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    竜巻は陸上のみならず水上でも発生し、その中には上陸するものも一定数存在している。陸上と水上では粗度高が異なることから、上陸によって強度・構造が変化する可能性があると考えられる。本研究では、海上で発生した竜巻が上陸する際の変化を調べることを最終目標として、底面粗度が領域内で異なる海岸線を模した場での竜巻様渦数値実験を行った。これにより、底面粗度が非一様な場合には軸が傾斜し、またスワール比が小さい場合には渦中心軸を構成する流体は主に低粗度領域を通過した流体によって占められるという結果が得られた。底面粗度の小さい領域を通過した流体は損失水頭が小さく、これが粗度の大きな領域に流入することで旋衡風平衡に影響を及ぼしたものと考えられる。

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