経済学論集
Online ISSN : 2434-4192
Print ISSN : 0022-9768
82 巻, 4 号
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論文
  • 塩見 由梨
    2019 年 82 巻 4 号 p. 2-21
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/30
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    本稿は,ジェイムズ・ステュアート『経済の原理』の読解を通して,ステュアートにおける利潤論の構造と,その体系的意義の再検討を試みるものである.ステュアートの主著『経済の原理』では,二つの離れた章──第二編第四章と第八章──で異なる内容の利潤の定義が与えられている.従来の研究では,この二つの議論の関係をいかに理解すべきかが課題とされ,なぜ二つの定義が別の場所で論じられたのか,その理由は検討されてこなかった.それに対して本稿は,なぜ利潤を定義する章が二つあるのか,それぞれはどのような文脈で展開されたのかという点から再解釈することで,二つの利潤論は私人が市場で追及する利潤と,公共の総資財を増やす為政者からみた利潤という異なる次元の概念を論じていることを示す.かかる利潤論理解は,『原理』がもつ自由や競争を評価する面と,市場への為政者の介入を積極的に主張する面との関係性を理解するうえでも有益な解釈である.

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