日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
選択された号の論文の811件中201~250を表示しています
学術講演集原稿
  • 市原 優, 櫃間 岳, 相川 拓也, 升屋 勇人
    セッションID: M8
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    ヒバ漏脂病は樹幹から樹脂流出し樹幹変形する病害である。本病は人工林、天然林を問わず発生するが、立木密度が低いほど発病率が低い傾向が認められている。しかし、漏脂病は若齢期から長期にわたり発病し続けるため立木密度との関係は明瞭でなく、立木密度を調節した試験設定による発病率を検討する必要がある。そこで、青森県のヒバ林(天然更新、約25年)を半分に分け、2014年秋に間伐区(ヒバの一部と広葉樹を全て伐採)と無間伐区(広葉樹を全て伐採)を設定し、発病の推移を調査した。また、両区の林内の1.5m高に風速計を設置した。外樹皮の含水率を木材水分計により測定した。処理3年後の2017年秋の調査において、間伐区では無間伐区に比べ、新規の樹脂流出の本数が少なく、樹脂流出が停止する本数が多い傾向が認められた。このことは、間伐による環境変化がヒバ漏脂病の発病に影響した可能性を示唆している。林内の平均風速と外樹皮の含水率は間伐区の方が低かったことから、通気性の向上による外樹皮の乾燥が、漏脂病の発病を抑制している可能性がある。この間伐処理の結果は処理後初期段階であるため、今後長期間の継続調査により影響を確認する必要がある。

  • 酒井 康子, 伊藤 俊輔, 秋庭 満輝, 佐橋 憲生
    セッションID: M9
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    南根腐病は,Pyrrhoderma noxiumにより引き起こされる熱帯・亜熱帯特有の多犯性の樹木病害である.本病に適用可能な農薬はなく,感染木および土壌の除去が防除方法として示されているが,労力がかかることと除去した土壌の処理が問題となっている.そのため、効率的な防除方法として薬剤による防除技術が求められている.今回は,これまでに高い効果が示されたクロルピクリンとダゾメットについて、農薬登録を目的とした薬剤効果試験を実施した.森林資源研究センター圃場と南部林業事務所苗畑に1m×1m×45cmの穴を開け,南根腐病菌を感染させた3樹種(カンヒザクラ,ホルトノキ,モクマモウ)の切枝を15cmと45cmの深さに各10本埋め込み,薬剤処理した後にシートで被覆してくん蒸処理を行った.対照区は薬剤処理を行わずシートで被覆した.各処理区につき3反復とした.処理6~8週後に感染枝を回収し,各20片の木片を切り出して培地上で本病の再分離を行った.その結果,薬剤処理区は対照区に比べて分離率が低く,クロルピクリンおよびダゾメットとも土壌中の南根腐病菌の密度を低減させる効果が高いことが明らかとなった.

  • 松田 陽介, 今枝 寛太, 谷川 東子
    セッションID: M10
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    陸上植物の根には,明らかな病徴を示さずに生息する菌類が内在する.健全なスギ細根にはアーバスキュラー菌根菌が定着するが,それ以外の真菌類が生息するか知られていない.本研究の目的は樹木細根に生息する内生菌群集を理解するため,スギ細根から分離・培養された菌株のDNA解析を行い分類属性と群集構造を調べた.調査は2017年6月から8月に中日本の1府4県(大阪府,三重,兵庫,福井,石川県),7林分のスギ人工林で実施した.各林分に設定した1 ha内の3から5地点から土壌を採取し,そこに含まれるスギ細根の1次根,2次根別に過酸化水素水で表面殺菌してから,ポテトデキストロース寒天(PDA)培地上に静置した.分離・培養に成功した菌株を内生菌とみなして,ITS領域の塩基配列を決定した.その結果,全調査地のスギ細根から次数根に関わらず内生菌が分離された.現在,得られた内生菌のDNA解析を進めている.以上より,スギ細根には内生菌が広く分布すると考えられた.今後得られる菌株のDNA情報も踏まえて,スギ細根に関わる内生菌群集の構造特性を考察する.

  • 岡田 経太, 松田 陽介
    セッションID: M11
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    マツ科トガサワラは絶滅危惧II類(VU)であり,紀伊半島と高知県東部にのみ分布する.トガサワラの細根には外生菌根菌(以下,菌根菌)が定着しており,その中でもトガサワラショウロは本樹種に高い特異性があると示唆されている.そのため,本樹種の実生定着やその後の成長に菌根菌の感染は重要である.三重県大又の林分では調査した50×340 mの全範囲の土壌から菌根菌が検出され,トガサワラショウロは,トガサワラ林内か隣接する人工林内かによらず一定の広がりをもって検出された.そこで本研究では,トガサワラの更新に関わる菌根菌の群集と空間分布を明らかにすることを目的として,紀伊半島で三重県以外に残存するトガサワラ林で菌根菌群集を調べた.調査は和歌山県川又観音と奈良県三ノ公川のトガサワラ林で実施した.隣接するスギ・ヒノキ人工林を含めた帯状プロットを設置し,そこから土壌を一定間隔で採取し,釣菌法に供試した.採取した土壌にダグラスファーを播種し,形成された菌根の顕微鏡観察による形態類別とDNA解析にもとづき菌種を推定した.本発表では過去の結果を踏まえ,紀伊半島のトガサワラ林に関わる菌根菌とその空間分布様式を議論する.

  • 安井 瞭, Helbert Helbert, 寺嶋 芳江, 奈良 一秀
    セッションID: M12
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    外生菌根菌(以下菌根菌)は樹木の根に共生し、土壌中の無機栄養分を樹木に供給する菌である。琉球列島において広く分布する固有種の「リュウキュウマツ(Pinus luchuensis)」の根には、菌根菌が共生していることが明らかになっている。琉球列島の島々はその形成史の違いにより2つのタイプに分けられる。古期岩類や火山活動によって形成された山地を有する島で、海進時にも海没しなかった「高島」と、琉球石灰岩からなる低平な島で海進時に海没したとされる「低島」である。高島のリュウキュウマツは自生のものであるが、低島のリュウキュウマツは1680年代以降に沖縄本島から移入されたものである。このように高島と低島では地史やマツ林の形成過程に違いがあり、これらの違いが菌根菌群集に影響している可能性が考えられる。本研究では琉球列島の低島に成立しているリュウキュウマツ林において、土壌中に埋土胞子群集として存在している菌根菌を分析し、これまでに調べられている高島のデータと比較することで、菌根菌群集の違いやその要因について考察する。

  • 宮本 裕美子, Alexander Kononov, Trofim Maximov, 杉本 敦子
    セッションID: M13
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    北東シベリアには広大な永久凍土上にダフリアカラマツ(Larix cajanderi)の優占するタイガ林が形成されている。近年の急激な気候変動は本地域の森林炭素循環に大きな影響をもたらすことが懸念されているが、カラマツの生育に不可欠な菌根菌についてはほとんど知見がない。そこで本研究では北東シベリアのカラマツに共生する外生菌根菌の種多様性と群集構造を明らかにすることを目的とし、北緯60度のタイガ林から北緯70度のタイガ-ツンドラ境界(北方森林限界)の4ヵ所で調査を行った。菌根の形成された根端を回収し、PCRによりITS領域およびtrn領域を増幅し菌種と宿主を特定した。その結果、カラマツにはショウロ属(Rhizopogon)の一種が優占していることが明らかとなった。これまでショウロ属はマツ属やトガサワラ属で確認されているが、本研究により初めてカラマツ属で確認された。ショウロ属は森林火災後に更新する実生にいち早く感染する生態戦略を持つことが知られているが、高頻度で森林火災が発生する本地域において、ショウロがカラマツの更新および森林の形成に重要な役割を果たしている可能性が考えられる。

  • Helbert , Maman Turjaman, Kazuhide Nara
    セッションID: M14
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    Ectomycorrhizal fungi (EMF) are critical to forest establishment or recovery after disturbance. While native dipterocarp forests in Southeast Asia poorly regenerate after clearcutting or forest fires, this may be related to the availability and composition of EMF in the disturbed sites. Here, we investigate EMF communities from Tristaniopsis secondary forests in Kalimantan Island. We collected 150 samples from five locations. EMF tips in the soil were collected and subjected to molecular analyses to identify both EMF and host species. Of 84 EMF species identified, 47 were observed on Tristaniopsis sp.. The fungal composition was significantly separated by sites, where soil and disturbance types were different. Moreover, the ECM fungal communities on Tristaniopsis sp. were similar to those on Shorea sp.. Our results indicate that pioneer Tristaniopsis sp. may facilitate the establishment of Shorea sp. and the recovery of dipterocarp forests by providing compatible EMF after disturbance.

  • 手代木 徳弘
    セッションID: N1
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    「会津桐」は福島県を代表する林産物であったが、近年、キリを植栽する林家が激減し、桐材の蓄積も減少の一途をたどっている。しかし、全国的な桐材出荷量の減少にもかかわらず、一部の優良材には根強い需要がある。今後、福島県会津地方を中心とする産地の火を消さないためには、地域においてキリ植栽を進めることが重要となる。販売単価がスギに較べ極めて有利なキリの植栽意欲低下原因として、一時期の相場高騰時よりも現在の価格が下がっていること、キリ栽培不適地に集団的に植栽し失敗したことがあげられる。しかし、最大の原因は、植栽手間と獣害防止や施肥管理等、植栽者の負担が大きいことと思われる。そこで、キリ植栽時における獣害防止等の対策が不要で、簡単に植栽でき、初年度の成長量(一番玉)4m程度を期待できる「玉植苗」(地上部切除苗)を開発したので報告する。

  • 古川 仁, 片桐 一弘, 山田 明義, 山中 高史
    セッションID: N2
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    マツタケの収量と降水量の関連については過去から多くの報告があり、古川ら(2016)は9月下旬の降水量と収量に正の相関があるとしている。しかし近年の気象変動は激しく、この9月下旬という期間も変動する可能性がある。そこで今後の持続的マツタケ生産のため、より詳細な検討が必要と考え、これまでのマツタケ収穫開始日と降水量との関連性を解析した。用いたデータは、長野県南部の豊丘村試験地における37年間(1982年~2018年)のマツタケ収穫記録と降水量についてである。毎年の秋のマツタケ発生期に、最初に子実体が収穫された日を「初日」、最も収穫本数が多かった日を「最多日」とし、それぞれの日から80日前まで10日ごとの総降水量と総収穫本数について関連性を検討した。この結果最多日から30、40、50日前までの総降水量と、総収穫本数との間にそれぞれr=0.6程度の有意な正の相関が みられた。発生前の、この期間はシロからマツタケが発生する重要な形態変化する期間であり、多量の降水が発生には重要であることが再確認された。

  • 孫 鵬程, 柴田 昌三
    セッションID: N3
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    近年、竹材とタケノコの需要低下による、放置竹林面積の増加、有用竹材の生産と需要の低迷が続いており、竹資源の持続的利用が重要な課題となっている。本研究は、今後の鹿児島県の竹産業の活性化を考えるための基礎的な研究として、県内における竹・タケノコの加工と販売を行う関連業者を調査対象に、アンケートによって竹材・タケノコの利用および製品の生産・流通の現状を把握、竹産業構造の変化および地域的特徴について検討したものである。調査は平成30年9月に、県内全地域合計49社に調査票を配布した。その結果、回収率は59.2%であり、有効回答率は46.9%であった。解析の結果、竹製品加工業者は少量づつ生産された手作り製品と機械量産型製品との中間に位置する製品の生産方式により経営を維持してきたが、現在では多種類の製品の量産と新製品の開発を中心に経営を維持している傾向が見られた。また県内の竹材資源の調達は過去には県内産を加工用に、県外産を農業・漁業用によっていたが、現在では県内産が中心でパルプ、竹炭、日用品など加工用の需要が多い状況に変化していることが明らかになった。

  • 牧島 京右, 芳賀 大地
    セッションID: P1-001
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    平成25年度から国内クレジット制度とJVER制度が一本化され、Jクレジット制度が開始された。既往研究では、石井、佐藤(2013)は、JVERが地域振興に与える影響とJVER運用の課題を明らかにするとともに、鳥取県が、他県に比べ県が主導となり県内の制度活性化のために様々な取り組みを行っていることを指摘していた。 そこで、本研究では、鳥取県内において森林管理プロジェクトを行う地方公共団体や森林組合を対象に、聞き取り調査と資料収集を行い、鳥取県の取り組みが制度活性化に与える影響と森林管理プロジェクトにおける運用の課題を考察した。調査の結果、鳥取県にのみ存在する、クレジットの売買契約を仲介するコーディネーターがクレジットの販売促進に大きな影響を及ぼしていた。クレジットの販売先として仕事上の取引先の企業にクレジットを販売するケースが多かった。そのため、同じ地域内のプロジェクトにおいても地方公共団体に比べ、仕事上の取引先の少ない森林組合等民間の団体においてクレジットの売れ残りが多数存在していた。そのため、今後はコーディネーターによる民間団体への企業の紹介件数の増大が期待される。

  • 峰尾 恵人
    セッションID: P1-002
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    日本の林政・林業経済学の歴史は、19世紀末のドイツ語圏からの林政学(Forstpolitik)の導入に始まる。20世紀に入ると、北海道帝大の小出や京都帝大の服部らによって林業経済学の教育・研究が行われるが、主流は依然として「林政学」であったし、彼らの早逝と戦争が相まって戦前の林業経済学が戦後に与えた影響は限定的であった。戦後、山林局OBを中心とする林業経済研究所と若手・中堅研究者らを主体とする林業経済研究会(後の林業経済学会)の2つが組織され、以後の林政・林業経済学分野は「林業経済学」を旗印に展開する。一方、1990年頃から、林業の低迷と森林をめぐる問題の多様化、マルクス経済学の退潮に起因して「林業経済学」という名称と実質の乖離が顕在化し始め、2000年代には林業経済学会で学会の名称・あり方に関する議論が行われたが、「林業経済学の『コア』と『スタンダード』の喪失」という重大な問題を提起して議論は途絶した。現在の林政・林業経済学分野は、ポストの減少とアイデンティティの喪失という深刻な課題に直面している。いかなる名称を旗印とし、どのような内実をもつ学問としてあるべきか、森林科学のあり方とも関わらせた議論が必要だろう。

  • 韋 珉傑, 石橋 整司, 安村 直樹, 齋藤 暖生
    セッションID: P1-003
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    現在の中国の森林所有形態は国有林と集団林に大別できる。中国では国有地以外の土地はすべて集団所有することが規定されているので、集団林の所有権は農村に在住している住民集団にある。本研究の目的は、文献調査とデータ収集により、集団林制度の歴史と現状を把握して、集団林改革の問題点をまとめることである。集団林制度の成立は、政治的な意図に影響されたものであるが、集約化がもたらす経済効果も考慮されている。しかし、1960年代前後に進められた急激な改革に伴い林業の発展が停滞した。その解決策として林権(森林資源の所有権等)に関する一連の改革が行われ、生産請負制度が確立した他、一部の地域で林業株式合作経営など多様な経営形態も試行された。こうして「集約化経営または請負制を用いて林業生産の担い手を確保して林業生産の安定化を図る」および「集団内の農民の収入を増加させ、収入格差を抑える」という集団林制度の二つの基本な役割が現在確立されている。改革の結果として、集団林が主な森林所有形態である南方10省の林業GDPと農民PDIは増加した。その一方で、都市と農村の格差は大きいままであり農村内部の収入格差を是正できないケースもあった。

  • 石原 皓, 古井戸 宏通
    セッションID: P1-004
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    「市民の森」制度は,無秩序な開発により緑地が減少する中,地方自治体が独自に緑地の保全を図る制度として捉えられてきた。中でも,横浜市のものについては先駆事例として制度・課題に関する報告が多く,他地域との比較分析で多く挙げられる。一方で,横浜市の「市民の森」制度では愛護会が保全管理の担い手として明文的に指定されているが,愛護会自体や,これを含めた多様な利害関係者の関係について,詳細な分析は寡聞にして知らない。本研究では,2018年から横浜市環境創造局と新治市民の森愛護会に対するインタビュー調査を行った。その結果,周辺住民主体の新しい型の愛護会が増え,保全管理に関係して意見集約・調整を行う保全連絡協議会が新設されるなど,多くの変化が明らかになった。一方,所有者に対するインタビューは実現できておらず,また横浜の「市民の森」は,面積や中心市街地からの距離,歴史的経緯といった状況がそれぞれ大きく異なるため,今後さらに情報収集を進める必要がある。これにより,行政・所有者・愛護会の3者の相互の関係を念頭に「市民の森」制度整備の一連の経緯と,制度運用開始前後での3者の関係の推移を把握することが可能となる。

  • 池淵 博之, 芳賀 大地
    セッションID: P1-005
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    前田ら(2008)は旺盛な素材生産量を背景とする九州地域を対象とし、原木市売市場の原木需要の大規模化に対応する機能変化を報告している。鳥取県は近年合板用材需要が拡大しているが、その増加には地域差を含む。本研究は鳥取県全域を対象に原木市売市場であるI社、K社、Y社の3社及び原木市売から撤退したT会を対象に聞き取り調査を行い、市売市場の変化要因を考察した。県東部にあるI社、県西部にあるY社についてはそれぞれの周辺地域に優れた集荷圏を有していた。対して県中部のK社は周辺地域を限られた集荷圏とした小規模な事業を行っていた。また出荷先について、I社は県内製材工場を中心としつつも自社で原木買い取りを行い合板会社に販売する量を増やし、K社は合板用材需要向けの大きな椪を用意しつつも地域の零細な製材需要に対する出荷を中心とし、Y社は県外の製材工場向けの出荷を中心とした従来からの経営の維持といった特徴がみられた。T会については競り売りをやめ休市とし、協定販売を中心として合板工場やバイオマス発電所向けの材供給を行っていた。以上から集荷圏の大きさと出荷先の規模や状態が原木市場の在り方に大きく影響を与えると考えられた。

  • 石川 智代, 野村 久子
    セッションID: P1-006
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    三重県中部地域の原木流通の主流である優良材の多品種小ロット流通において、川上側と川下側の間で需給情報のやり取りはほとんど行われていない。そこで当地域に適した需給マッチング方法を探るため、松阪市内の原木市場における市売り状況の調査を行った。調査は、2017年及び2018年の4月から12月にかけて開催された合計20回の原木競り市でのスギ及びヒノキの原木取引を対象として、スギ6,879件、ヒノキ8,590件の取引に関する出荷者、規格(材長、径級等)、買い方、落札価格のデータを得た。調査結果から当該市場における取引の特徴として、材長は4mが主流であること、規格・等級は元玉が3分の2を占めること、取引の約半数が単木単位で行われることが明らかになった。また、主な買い方の需要傾向について、落札した原木の径級、落札単価、落札本数及び単木取引数をまとめたバブルチャートは、買い方ごとの取引状況の違いをわかりやすく表現できた。出荷者や買い方、市の開催時期、出荷原木の規格等の条件を限定して集計すれば、出荷者に向けた取引結果のフィードバックや、買い方の需要情報を提供する際の資料として有効に利用できると考えられた。

  • 村井 敦史
    セッションID: P1-007
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    近年公共建築物等の木造・木質化等による地域製材品の大口需要が増加しており、林業・木材業の振興の機運が到来しているが、中小規模の製材工場ではその対応が難しく、業界振興のためには製材品の供給体制確立が課題の一つである。これに対し、木材の供給体制としてSCMなどをはじめとする川上から川下をつなげる構想(垂直連携)が提案されてきている。しかしながら、これら構想では製材工場は大規模なものを想定しているなど前提が多く、大規模製材工場が存在しない地域においては、中小規模の製材工場同士の連携(以下、水平連携)が最も重要になると考えられる。実際的には地域業界の中核となる事業体(森林組合、製材工場等)がこれらの連携をまとめていると考えられるが、報告はみられない。本報では、地域内の水平連携が発展している静岡県内の事業体に対し聞取り調査を行い、水平連携体制の成立要件を考察し、水平連携の有用性について論ずる。

  • 泉 桂子, 金野 成海
    セッションID: P1-008
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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     岩手県内の素材生産量は震災以前120万m3前後であったが、震災を機に2011年は100万m3を下回り、2016年に147万m3に達した。製材工場は木材加工・流通の要としての役割を担っている。そこで本研究は岩手県内の中~大規模製材工場5事業体を対象として、第1に東日本大震災津波の影響の実態、第2に製材工場の原木集荷の実態を明らかにすることを目的とした。研究方法は文献調査と製材工場・素材流通事業体・自治体への聞き取り調査によった。調査対象とした製材工場は、出力数150~1,000kw超、年間素材消費量1万~20万立米であった。第1に、対象の5工場は東日本大震災津波による直接の被災はなかったが、製品販売先の被災や、運送費の高騰、東京電力福島第一原子力発電所事故による製品販売先の喪失や風評被害など、間接的な影響があった。先行研究で指摘された「被害による木材の出口の喪失」「受入先の不在」が見られた。復興需要の影響はないか、あっても限定的であった。また、素材集荷圏は、5工場のうち3工場が、岩手県を中心に隣県に範囲を広げていた。しかし県をまたいだ集荷は、必ずしも製材規模拡大によって形成されたものではなかった。

  • 小山 泰弘, 諸田 和幸, 渡邊 麻友
    セッションID: P1-009
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    地域には、重要文化財や天然記念物のような指定文化財のほか、産業界で認定する土木遺産や農業遺産など多くの遺産が存在する。こうした遺産の多くは、認定されることで一時的に脚光を浴びるだけで認定後の利活用に課題がある。長野県南部の伊那谷は、南アルプスジオパークなどの地域を包括する遺産認定を受け、地域内の文化遺産や自然遺産に加えて、文献や口承などの情報資産を含めた集約化を進めている。これらは、スマートフォン用のアプリとして、観光、地域学習用デジタルマップとして整備し、町歩きなどで活用することで地域を訪れる人への利活用をはかっている。2017年度には伊那谷で2か所の林業遺産(遠山森林鉄道と進徳の森)が認定されたことから、これら林業遺産も新たな情報資産としてアプリへ組込むとともに、組込作業そのものを地域住民らと創り上げることで町歩きツールの充実を図っている。こうした活動を通じ、知名度がなかった林業遺産に対する認識が深まると共に、地域住民への理解も進み、認定時に判らなかった新たな資源の発掘につながるなど、山村地域を支えてきた主産業である林業の存在に気付いてもらうきっかけになっている。

  • 高柳 敦
    セッションID: P1-010
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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     シカとイノシシによる被害は、いまだに農林業に大きな損失を及ぼすだけでなく、生態系被害と呼ばれるほど自然を大きく変え、都市部でも様々な問題を引き起こしている。この問題を解決するため、現在、個体数を減らして昔のような被害の少ない状態を実現しようという施策が環境省を中心に進められている。一方、国産ジビエ認証が昨年から始まるなど、近年、ジビエ振興策が農林水産省を中心に進められているが、これは多くのシカやイノシシが捕獲できる状況、つまり個体数が多いことが望ましい施策であるとも言える。このように野生動物に関して相反する方向性を持つ施策が国によって進められていることは、地方自治体や農山村に混乱を招きかねないし、関係者にとっても将来ビジョンを描きにくいのが実情であろう。 本研究では、このような現在の二つの施策の方向性が実現するであろう状況を“縮小均衡”と呼び、多くの課題やリスクを抱えていることを指摘する。それに対し、防護(防除)により被害を確実に除去した上で、狩猟を介したシカとイノシシの資源管理によって問題の解決を図る保護管理システムの利点を説明し、そのために必要な施策とプロセスについて検討する。

  • 木村 健一郎, Bounpasakxy Khampumi, Xayalath Singkone
    セッションID: P1-011
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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     熱帯地域の開発途上国では多くの住民が森林からの生態系サービスに依存している。非木材林産物(NTFP)は、食料、薬、日用品などに使われる他、付加価値の高いNTFPを販売することによって現金収入源としている場合が多い。後発開発途上国であるラオスは、森林資源が豊富であり、農民は様々なNTFPを利用している。 ラオス中部のビエンチャン県N村は、中山間地の農山村であり、一般的な土地利用が見られる。2012年はホウキグサ(Thysanolaena maxima)が主要な現金収入源の一つであった。しかし、近年、外国からの投資が増加し、開発の圧力が高まり農村のNTFP利用は急速に変化しつつある。 NTFP利用の変化を明らかにするため、2017年7月から2018年6月にかけてNTFP採集量を調査した結果、ホウキグサの採集量は6,802kg(風乾重)で、85世帯の農家が採集していた。2012年は、87世帯とほぼ同数の世帯がホウキグサを採集していたが、採集量は1,593kg減少していた。この原因の一つとして、地方農山村でも就労機会が増加したことが原因と考えられた。

  • 田中 伸彦
    セッションID: P1-012
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    1991年、ニュージーランド(NZ)は、土地や大気、水資源等の自然資源の持続的な管理のために資源管理法(RMA: Resource Management Act)を制定した。そして法に基づき、各々国家環境基準(national environmental standards)、地域計画(regional plan)、地区計画(district plan)等を制定し、国土の管理を行っている。また同法では土地分割や土地利用変化などを伴う特定の行為について資源利用承認(resource consent)を得ることを定めている。そして、NZは2017年に資源法制改正法(Resource Legislation Amendment Act 2017)を制定した。本法は、NZ国内の住宅等の供給の適正化や経済・雇用の発展、環境管理の向上等を念頭に置き、クライストチャーチやカイコウラなどで起きた地震・津波等の自然災害リスクに対応可能な資源利用承認方法の変更等を盛り込んだ。この変更により、従来対象外だった林業地等にも承認の必要が生じた。本発表はその改正の現状を資料調査と現地聞き取り調査によりまとめ、報告する。なお本報告の一部は科学研究費基盤C(16K02080および16K02083)の助成を受けて行った。

  • 陳 元君, 石橋 整司
    セッションID: P1-013
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    海南省は熱帯亜熱帯地域にあり、生物多様性とその生物を利用する知恵の宝庫といわれる。先住民である黎族は自然に関する知識が豊富である一方、経済的には貧困である。海南省政府は自然保護区管理の人手不足の解消と貧困改善の策として、先住民を自然保護業務の現場に携わる護林員に雇用する制度を促進している。本研究では先住民護林員の実態を知るため、海南省鸚哥嶺自然保護区の207名護林員の内78名に対して聞き取り調査を行った。その結果、先住民にとって護林員は地元で得られる貴重で魅力的な仕事であり、経済的利益よりも地元の自然保護への思いが入職動機としては強いことが分かった。また、個人の持つ知識や先住民への影響力を活かしてフィールド研究に不可欠な存在となっていること、先住民と自然保護区管理機関との間のトラブル対応や先住民への自然教育を自発的に行い、自然保護区の活動の緩衝役となっていることが分かった。一方、護林員制度実施の元となっている公益林補助金はその用途が必ずしも自然保護区管理業務と一致していない。多様な護林員の仕事への管理機関の評価は不十分であること、護林員制度にはまだ問題が多数なあることも明らかになった。

  • 高田 弥生
    セッションID: P1-014
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    京都市北区中川地区は、樹種や林齢が異なる林分がモザイク状に分布し、枝打ちされた北山杉が整然と並ぶ林業景観が特徴である。連綿と続いてきた生業から生まれたこのような景観は、文筆家や画家にも取り上げられ、今日では重要文化的景観としての価値が評価されるようになった。しかしその一方で、当該地域の主産業である林業の衰退が危惧されており、優れた景観の維持も大きな課題となっている。本研究では、中川地区の林家が保有する林地ごとの利用形態を詳細に把握し、北山林業の景観を構成する林分の特徴を明らかにした。調査方法は、文献調査、聞き取り調査及びGISによる解析であり、北山林業や北山杉に関する変遷、所有形態、2000年以降の林分利用とその変化、北山杉の伝統的な施業方法、現状や課題などを把握し、各林地の細分利用の実態を分析した。その結果、所有形態や林分の細分利用の特徴には大きな変化がみられなかったが、それぞれの小林分における管理内容が、徐々に省力化の方向で変化していることが明らかになった。北山林業の景観を維持するためには、今後新たな森林管理のあり方を考える必要があることが示唆された。

  • 大野 朋子, 森地 一夫, 石井 一毅, 吉田 美生, 松岡 達郎, 田畑 智博
    セッションID: P1-015
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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     神戸市に近接する六甲山は、アクセスの良さも相俟って戦前からハイキングやスキーなど様々な娯楽、景勝地として利用されてきた。このような豊かな森林と観光資源を有する六甲山だが、かつての過度な伐採、植林による森林保全の歴史を辿り、森林資源量と質に着目すると、その変動は大きい。現在の六甲山の植生は、照葉樹林化が進みつつあり、森林が未成熟であった時代の森林景観とは異なるものと予測される。そこで本研究では、六甲山の森林を観光、景観資源として捉え、観光客の森林に対するイメージを明らかにし、六甲山の景勝地など観光資源の変遷を捉えながら今後の森林管理のあり方を考察することを目的とした。 六甲山から神戸の市街地が展望できる六甲山ガーデンテラスにおいて201人の観光客から六甲山の望ましい森林景観についてアンケート調査を行なった結果、立木密度の低い落葉樹林をイメージした森林を好む観光客が最も多く、常緑樹林をイメージした森林はあまり好まれないことが明らかとなった。この結果は六甲山の森林の現状とは異なるものであり、今後の観光、景観資源としての活性化を踏まえた森林管理計画が望まれる。

  • 平塚 基志, 竹内 大悟
    セッションID: P1-016
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    埼玉県三芳町上富地区は、平地林、農地、そして宅地が短冊状に配置されており、平地林で収集される落葉を堆肥化し、隣接する農地に投入する落葉堆肥農法が江戸時代から継続的に行われている。平地林はコナラ等の落葉広葉樹で構成され、1960年代までは十数年間のサイクルで伐採され、切株からの萌芽更新がなされてきた。しかし、1970年代以降は薪炭林として利用されなくなり、結果として平地林ではバイオマス量が大きくなるとともに、平均林冠高が高くなり地域景観を変化させるに至っている。また、継続的に落葉堆肥農法がなされずに管理放棄される平地林も増加傾向にある。本研究では、1960年代からの上富地区における平地林の動態(面積変化及びパッチ化)について分析した。また、林冠高の変化及び下層植生の繁茂状況について観察した。加えて、継続して落葉堆肥農法の対象になっている平地林と放棄されて40年程度が経過した平地林の双方を対象に、平地林内の土壌有機物を分析し、平地林への人為影響(落葉の収集・持ち出し)がどの程度の影響を与えているか評価した。以上より、過去、現在、そして将来の平地林利用の持続性について考察を加えた。

  • 神宮 翔真, 伊藤 太一, 佐方 啓介
    セッションID: P1-017
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     里山における多様な土地利用・森林植生がモザイク状に分布する環境は,レクリエーションの場として高いポテンシャルを持つ。そのような点から,里山の多様な景観をゾーニングによって保全し,市民に利用される公園緑地とする事例が見られる。一方で,森林植生が織り成す景観の管理には多大な労力が必要で,管理リソースを適切に配分するための景観の定量的な評価手法が求められる。そこで本研究では,公園緑地のトレイル上で撮影された全天球パノラマ画像を用いた解析から,空隙率や画像中の樹木数などによる定量的な景観評価を実施し,実際のゾーニングとの関係を明らかとした。事例地である牛久自然観察の森において,360枚の全天球パノラマ画像を撮影し,解析した。その結果,植生に手を加えないゾーンにおいて低い空隙率と樹木の密生が確認されながら,手を加え特定の植生を維持するゾーンにおいてはその逆の傾向があるなど,ゾーニングに対し定量的な景観評価がある程度一致する傾向を得ることができた。この手法は従来と比べ比較的簡便に評価を得ることができるものであり,様々な場所での応用が可能と考えられる。

  • 小林 徹哉, 川上 夕依, 大野 朋子
    セッションID: P1-018
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     人口減少・少子高齢化が進むなか、利用者にとって魅力ある公園施設を維持するには、公園利用者の利用形態やニーズを把握し、施設内容とその管理のあり方を検討する必要がある。本研究では、神戸市立森林植物園をフィールドに、利用者の年齢層など属性を把握するとともに、公園の利用目的による利用行動を視覚化・数値化することで、現在の公園のニーズと利用形態を明らかにし、施設内容および今後の管理のあり方について検討する基礎的な知見とすることを目的とする。 調査は2018年2月・6月・11月に、利用者の属性や利用目的を把握するアンケート調査およびGPSロガーを用いた利用エリアの調査を行い、利用目的によって利用エリアがどう異なるのかを解析した。併せて、利用者の属性による利用エリアの差異を解明することで、施設内容が利用者のニーズに合致しているのか考察した。 その結果、利用者の属性は、2月は60歳以上が69.6%、6月は54.8%、11月調は43.2%となった。また、平均滞在時間は、2月は149分、6月は68分、11月は66分となり、時期によって年齢構成と滞在時間に差があることが分かった。今後、利用目的と利用エリアについて解析していく。

  • 早川 尚吾, 三好 基, 杉浦 克明
    セッションID: P1-019
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    近年,世界的に関心の高まっている環境教育は,教育対象とするものが非常に幅広く,活動内容も多岐にわたる。日本環境教育学会発行の学術誌「環境教育」での研究報告は,様々なフィールドを対象とした研究がなされており,森林に関わるものもある。そこで,本研究の目的は,「環境教育」で報告された既住報告に着目し,研究の変遷から森林環境教育の位置づけを明らかにすることである。対象期間は1991年から2017年までとし,分析の対象はタイトルとした。方法はKH Coderを用いたテキストマイニングによる解析を行った。その結果,研究対象として「学校」や「教材」を含むタイトルが多かった。時代の変遷の中で,様々なキーワードに変化がみられたものの,「環境教育」,「環境」,「教育」といったキーワードは継続的に多かった。空間に着目すると「自然」,「地域」に続き,「森林」を含むタイトルが18件と多かった。タイトルの中で「森林」の単語と教育がつながる言葉として,森林環境教育が2件,森林・林業教育が1件,森林教育が1件あった。本研究の結果から,様々な研究が行われている中で,森林は環境教育の中でも重要な教育場所として位置づけられていると考えられた。

  • 北村 芽唯, 木幡 修也, 蒔田 明史
    セッションID: P1-020
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     近年、現代社会における人と自然の関わり合いは減少傾向にある。秋田県のように緑地が身近である地域においても日常的に自然と触れ合う頻度は減っている。本研究では、保護者の自然体験の程度や自然体験に対する意識が、子供の自然離れに与える影響を解析し、その解決策について考察することを目的として、秋田県五城目町の小中学生451人とその保護者に対してアンケートを実施した(回収率 子供:72.1%、母親:73.9%、父親:67.8%)。子供には現在の自然体験や習い事の状況などを、保護者には自身の子供の頃と現在の自然体験の状況、子供の自然体験に対する考えや意識などを質問した。その結果、現代の小学生は保護者の時代と比べ明らかに自然体験の頻度は減少していた。保護者の約9割がこのことを認識しており、自然体験の減少が問題であると考える保護者は全体の約7割であった。子供の自然体験には保護者の意識や行動が影響している可能性があり、クマや不審者の出没等の不安要素も示されたことから、安心して自然体験できる環境の整備と親子で参加できるイベント等の取り組みが必要だと考えられる。

  • 小川 高広
    セッションID: P1-021
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    全国に林業大学校が設置され、新設が続いている。林業大学校のさらなる発展には量的拡大とともに教育の質を高めることが不可欠である。そのためには、林業大学校における学生の成長や意識を把握し、教育の改善につなげることが重要である。そこで本研究では、2年制の林業大学校4校において、入学決定時に重視したこと、入学後の学生生活、教育を受けて向上した知識・スキル等について、卒業時学生を対象に質問紙調査を実施した。さらに、調査対象校のうち1校においては、学年間の違いを見るために1年次修了時の学生に対する調査も併せて実施した。調査の結果、卒業時学生の回答からは、多くの学生が林業の知識・スキル、資格等の習得を入学決定時に重視していること、入学後の学生生活では教職員の親身さや資格習得支援の充実を実感していること等が明らかとなった。その他、知識・スキルの向上は作業時の安全意識といった林業関連の項目において顕著であった。また、1年次学生と卒業時学生の比較からは、学年が上がるにつれて林業関連の知識・スキルの向上を実感する傾向があり、林業のことが好きだという気持ちも学年の進行に伴って向上していたこと等が確認された。

  • 牧野 純也, 早川 尚吾, 杉浦 克明
    セッションID: P1-022
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,全国の高校生が,森・川・海の名人を訪ね,一対一で,その知恵や技,ものの考え方や生き方を「聞き書き」する「聞き書き甲子園」に着目した。そこで,本研究は,聞き書き電子図書館に所蔵された森林に関する作品の感想を対象に,名人と触れ合った高校生の着眼点を解明することである。調査対象は,聞き書き電子図書館に2018年11月時点までに所蔵されている第1回から第15回聞き書き甲子園の「森をつくる」分野の作品とした。研究方法はKH Coderを用いたテキストマイニング解析を行った。その結果,最頻出単語は「名人」であり,他の単語に比べて多かった。その他の単語は,クラスター分析の結果6つに分けられた。その一つのクラスターは,「思い」,「考える」,「持つ」などの高校生の考えに関係する単語で構成されていた。その一方で,他の3つのクラスターでは名人に関係する単語で構成されていた。このことから,高校生は名人にという人に対して主眼を置いており,仕事内容よりも人に関心が向く傾向が示唆された。しかし,高校生ごとに学んだ内容や各名人が用いた専門用語が異なっているため,仕事に関する用語が低くなった可能性がある。

  • 大前 勝利, 中島 皇, 岡本 亮, 伊藤 雪穂
    セッションID: P1-023
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     アズビル株式会社が取り組んでいる環境保全活動の1つであるアズビル京都森林環境教育プログラムは大学、NPO法人、企業の三者協働で行っている森林教育プログラムである。プログラムの内容は主に京都大学で作成しているが、三者で話し合い最終的なプログラムを決定している。 アズビル京都は山林の一部を自治体が造成した場所に工場を建設した。NPO法人アースウォッチ・ジャパンによって京都大学が紹介され、指導を受けながら森林の検討を始めた。2013年からazbilグループ社員とその家族から参加者を募集し、毎年春と秋に自然観察や樹木の調査、環境整備作業を敷地内で実施している。活動を通じ、森林の今後を考えること及び周辺の森林や環境の理解を目的としている。  2017年までに10回実施しており、プログラムの内容は森林に関する講義や野外調査、森林整備活動、ワークショップなど多岐にわたる。本プログラムは森林を継続的に見ていくために1回で完結しないプログラム構成となっている。今回の発表ではプログラムの概要と特徴について考察する。

  • 松岡 佑典, 有賀 一広, 田坂 聡明
    セッションID: P1-024
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    現在、自然観察や植栽、下刈りといった林業作業、工作、スポーツなど多岐にわたる活動が森林環境教育の一環として実施されている。多くの森林環境教育は森林や指導員が必要であり、すべての地域で森林環境教育の可能なフィールドがあり、指導員の数が足りているとは言い難い。したがって人と場所に限定されない森林環境教育の場が必要である。 そこで、VR(Virtual Reality)技術を用いた森林環境教育ができないかと考えた。 本研究では森林の観察用VR空間構築を目的として林地の3Dモデルを作成し、ゲームエンジンの3次元空間において1人称視点の設定を行いVR空間に再現された林地を自由に移動できるシステムを構築した。なお、林地の3DモデルはiPhone7のカメラで撮影した写真とフォトグラメトリソフトウェアのReality Captureを用いて作成し、一人称視点の設定はUnityを用いて行った。林地の3Dモデルは林冠や枝葉が再現されなかったが、地面や低い位置の樹幹の形状は再現されていた。今後はUAVやレーザースキャナ等の機器を用いた林地の3Dモデル作成や目的に応じてどのような森林体験をVR空間内に取り入れていくかを検討していくべきだろう。

  • 上甲 夏子, 井上 真理子, 大石 康彦, 杉浦 克明
    セッションID: P1-025
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    森林・林業の専門教育では学科の統合や再編が行われ,従来の「林学」から「森林科学」に変化してきた。本研究は,大学教育における森林科学の教育内容を明らかにするために,森林・林業の学科をもつ大学での専門科目の内容を整理し,森林科学の学問の全体像を把握することを試みた。調査対象校は,森林科学(林産科学を含む)を総合的に学べる私立大学2校(東京農業大学森林総合科学科と日本大学森林資源科学科)とした。森林科学の専門科目は,日大が74科目(必修19,選択55),農大が58科目(必修21,選択37)あった。科目名が多様で比較することが困難なため,シラバスをもとに教育内容を分類した。分類では,森林・林業教育の内容を網羅している『森林・林業実務必携』と日本森林学会の部門も参考に,内容とキーワードを整理した。その結果,森林・林業教育の内容には,9要素14項目(動物・昆虫,生態,造林,立地,防災,利用,経営,林政,教育,風致,林産)が挙げられた。2大学の必修科目では「遺伝・育種,風致,教育」の3項目を除く11項目の内容が含まれ,選択科目を入れると全項目が網羅されていた。森林科学には多様な科目が存在し,内容が複雑に関わっていた。

  • 松岡 幸司
    セッションID: P1-026
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    2018年の本学会では,(森林を含む)環境教育における「文学」の意義について,主に「森・自然への誘い」という点で文学が果たす役割に重点を置いた報告を行った.それに続き今回は,「森林意識の研究と醸成」という側面について解説と考察を報告する. 森林は文化的所産であるという菅原の指摘*)から考えてもわかるように,森林は,歴史を通じて人間との関係によって形成されてきた.つまり森林に対する意識と森林の姿には関連があるということだ.その歴史的変遷の結果として,現代の森林の姿と森林意識がある.本報告では,まずこの点について概説した後,グリム童話に関する考察を行う.ヨーロッパにおいて人間と森林の関係が大きく変化した19世紀初頭に収集されたこの民話集は,その転換の前後の意識をつなぐ役目を担っている.この観点から,「文学から森林意識を読み取る」意味,および森林意識の醸成について考察し,文学を通した(森林)環境教育に関するさらなる意義についての報告を行う.*) 菅原聰:森林環境に対する住民意識の国際比較.―伊那とHannover・Göttingen―信州大学農学部演習林報告第18号別冊.1981年.p.1

  • 成田 周平, 山本 一清
    セッションID: P1-027
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     現在の日本では間伐遅れの人工林が数多い。間伐は森林の有する多面的機能を支えるのに不可欠な作業であり、また地球温暖化対策のためのCO2吸収源を確保する上でも重要な作業である。そのため間伐を推進するために様々な補助事業が実施されているが、補助金の給付に必要な現地検査(間伐木の確認など)に多大な労力を要しており、省力化が求められている。 そこで本研究では、名古屋大学大学院生命農学研究科附属フィールド科学教育研究センター稲武フィールド内の間伐予定地を対象に、間伐実施前後のUAV空撮画像による間伐施業評価への利用可能性を検討することを目的とした。そのため、間伐前後にUAVを用いて間伐予定地を空撮し、得られた空撮画像からSfM手法を用いて3次元点群を生成し、さらに単木抽出を行った。また、間伐予定地内のスギ、ヒノキ人工林に設定した3つの試験プロット(半径10mの円プロット)において、森林3次元計測システムOWLにより間伐前後に計測した立木位置座標をもとに、空撮画像による単木抽出結果と比較することにより、空撮画像による単木抽出精度及び間伐木の抽出可能性について検討した。

  • 青木 千咲, 米 康充
    セッションID: P1-028
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    測量は多大な時間、経費、労力のかかるコストの高い作業であり、その解決の為には新しい方法を検討していく必要がある。その中にUAVを活用する方法がある。UAVの利点として広範囲を短時間で記録できること、写真や動画を撮ることで三次元モデルの作成が容易であること等が挙げられる。これらの利点を測量に活用することで簡略化が可能であると考える。前報告においてUAVのGNSS情報のみでは標高が全く異なる値になるが、RTKを用いることで誤差のばらつきが減少し、精度向上が可能であることが分かった。しかし当初予想していた数cmオーダーまで誤差を抑えることは出来ず、更なる向上には課題が残された。そこで本研究ではより精密なレンズキャリブレーションの実行及びトータルステーションを用いた測量を行い、精度検証と考察を行った。調査地は前報告に引き続いて隠岐の島造林地、そして新たに急斜面や皆伐地等条件の異なる場所も加え、計5ヵ所で行った。一般的な民生用UAVを用いることを想定し、地上参照点を利用した方法、UAVのGNSS情報を利用した方法、UAVのGNSSと離陸場所からの気圧高度を利用した方法、RTK GNSSを利用した方法を用いて計測を行い、精度を比較した。

  • 米原 太一朗, 飯塚 浩太郎, 伊藤 雅之, 小杉 緑子
    セッションID: P1-029
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    森林のバイオマス推定に際して、巻尺を用いて胸高直径(以下、DBH)を計測する従来の方法は労力と時間を要していた。そこで本研究では、無人航空機(以下、ドローン)を用いて撮影した画像から樹冠を検出し、DBHを算出する手法を模索した。これにより、より高い時間解像度で、より広い面積を対象としたバイオマス推定に役立つと考えられる。本研究では、滋賀県南部の桐生水文試験地(面積5.99ha)のヒノキ林を対象とした。本手法はまず、ドローンを用いて上空から森林を撮影する。撮影画像をもとに対象領域の三次元モデルを作成し、数値表層モデル(DSM)およびオルソ画像を構築する。一方で、GISソフトを用いて、オルソ画像を構成するRGB画像それぞれで閾値となるピクセル数を設定する。これをマスク画像として、先ほどのDSMとかけ合わせた画像にガウシンアンフィルタ処理を施し、Watershed Segmentation処理を行うことで樹冠を自動検出した。この自動検出した樹冠に対応するDBHを、「オルソ画像上で手動検出した樹冠径と実測したDBHとの関係式」から算出する。以上の手法を基に、試験地南東のヒノキ約100本に対して樹冠検出およびDBH推定の精度および問題点を検証した。

  • 浦野 陽平, 中川 太人, 藤平 光希, 加藤 正人
    セッションID: P1-030
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    日本の広域や奥地林での森林調査では人手不足を原因とした調査精度の低下や労力と費用を要するといった問題が生じている。近年では、調査の省力化と正確な森林資源情報把握を図れるとしてリモートセンシング技術の利用に期待が寄せられている。本研究では比較的安価な普及型ドローンを用いた計測による樹種判別を試みた。調査地は長野県上伊那郡南箕輪村信州大学農学部校内演習林に設定した。実験期間は2018年11月の紅葉から落葉までの時期に設定し、高度100mから二秒に一度の連写速度での空撮を三週間行った。この空撮で得られた結果の違いから樹種判別の可能性を検証した。

  • 森岡 佑介, 米 康充
    セッションID: P1-031
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

     森林管理の分野において、リモートセンシングを用いた植生分布状況の把握や森林の多様性の評価などが求められている。これまでリモートセンシングを用いた植生観測についての研究では衛星画像や航空画像が用いられてきた。しかし一般的に人工衛星画像は1画素あたりのピクセルの大きさが最小10〜30m程度であることや回帰日数の問題、航空写真の撮影日時の関係から即時に情報収集できないなどの問題がある。対して、UAVによる空撮では高分解能画像を必要なときに効率的に情報収集が可能である。一方で、このような高空間解像度の画像に対応した地物抽出手法にはオブジェクトベース分類、ピクセルベース分類、バンド間の差分による変化検出などの方法がある。ところで近年、画像解析分野においては深層学習による画像分類や物体検出が行われており、従来の手法を上回る性能を発揮している。そこで本研究では、小型UAVを用いて空撮した高解像度画像を深層学習の一つであるCNNを用いた画像認識を試み、高解像度の画像に対応した新たな植生分類システムの構築を行うことを目的とした。

  • 岡田 耀一郎, 青木 千咲, 米 康充, 高田 研一
    セッションID: P1-032
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    台風第21号は2018年9月4日,日本に上陸した。関西地方で最大瞬間風速50m/s以上を記録し,調査対象地である京都市北部の山林でも多くの風倒木被害をもたらした。現場は深い谷間であるため地上からの観測では被害の全体像の把握は困難であった。早急な被害程度の把握のため,UAVを用いて倒木被害の状況を観測し解析した。 調査対象地は京都市左京区にある貴船神社周辺で,今回のUAVによる撮影で網羅できた範囲は,民有林と国有林あわせて340.7haであった。撮影に使用したUAVはDJI社のPhantom4及びMavic Proであった。撮影によって得た画像はPhotoscan Proを使用して,三次元モデル,オルソフォトを作成した。風倒被害地の地理条件を明らかにするため,風倒被害地の分布を調査した。分布の把握は,オルソ画像を目視判読することによって行い,被害範囲・針葉樹広葉樹判断・被害割合(残存樹冠率を四段階)・倒木方向を抽出した。また倒木した林地の樹種や管理状況との関係性も明らかにするため,過去の航空写真や,レーザ計測データを入手して被害前林分の状況解析を行う。

  • TRAN DINH TUNG, 清野 達之, 和田 直也
    セッションID: P1-033
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    日本の森林面積の約4割を占める人工林のうち、カラマツはスギやヒノキについで3番目に多い有用樹であり、全人工林の約1割を占めている。さらに、同属のダフリアカラマツはユーラシア大陸亜寒帯に広がるタイガを構成する主要樹種であり、このようなカラマツ林の分布密度や個体サイズを精度よく測定し資源管理につなげることが、木材生産の観点だけでなく森林が有する多面的機能の保全策を講じる上でも重要である。近年、森林資源量の推定を行う上で、簡便・迅速・安価な計測が可能な、小型の無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle)を用いた写真測量の技術が注目されている。立木の材積量を推定するためには、対象とする樹木の樹高(H)と胸高直径(D)のサイズ情報を入手する必要があるが、UAV写真測量ではHと樹冠面積(CA)のみ計測可能であり、直接的にDを計測することはできない。従って、樹木が示す相対成長関係を利用し、Dを推定する必要がある。本研究は、長野県に位置する筑波大学八ヶ岳演習林のカラマツ人工林を対象に、UAV写真測量によるH及びCAの計測、さらにDの推定についての精度を検証した結果について報告する。

  • - Kyaw Thu Moe, Toshiaki - Owari, Sadeepa - Jayathunga, Naoyuki Furuya ...
    セッションID: P1-034
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
    会議録・要旨集 フリー

    Single-tree selection cutting is a common silvicultural practice for managing mixed conifer-braodleaf forests in Hokkaido, Northern Japan. To select candidate trees with a large size and high value from vast area of mixed forests is a challenging task for forest managers. In this study, we quantified individual tree parameters of large-size high-value trees using unmanned aerial vehicle (UAV) imagery to assist single-tree management of high-value tree species. We used data from permanent plots at the University of Tokyo Hokkaido Forest. UAV images taken over permanent plots were used to derive three-dimensional point clouds and orthoimages. Canopy height models (CHMs) were derived using UAV and airborne laser scanning data. Emergent trees were specified on the CHMs and identification of high-value species were performed using orthoimages and CHMs. We estimated the individual tree parameters such as tree height, and diameter at breast height of emerging high-value trees.

  • Jimy Kalther, Akemi Itaya
    セッションID: P1-035
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    Coastline changes in form of erosion and accretion have been occurring in the coastal area of Subang City. Its severity might increase due to sea level rise and climate change, and it is necessary to understand the magnitude of changes that have been happening. The purpose of this study was to assess the coastline changes and its impact in Subang City using satellite images. Landsat images of 1990 and 2018 were used in the extraction of the coastline and the classification of land cover/use. As a result, the highest accretion was found in Sub-District Blanakan with 1,695.61 m, and the highest erosion was found in Sub-Distric Legon Kulon with 2,361.46 m. Most of the eroded areas were used as fishponds which were also covered by important coastal vegetation, mangrove.

  • 志水 克人, 太田 徹志, 溝上 展也, 吉田 茂二郎
    セッションID: P1-036
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    人為的撹乱による森林内の変化が問題となっており、その定量化が求められている。森林撹乱を高精度かつ広範囲で把握するためには衛星画像が有用だが、撹乱後の植生回復が速い熱帯林においては、従来行われてきた2時期の衛星画像の利用では撹乱の見落としが発生しうる。加えて、雨季の雲の被覆によって光学衛星の観測が限られるという課題がある。そこで雲を透過して地上の観測が可能な合成開口レーダの時系列推定への応用が近年注目を集めている。本研究では、光学衛星としてLandsat 8、合成開口レーダとしてSentinel-1を用いた撹乱の時系列推定をミャンマー熱帯季節林で検討した。解析期間内の全てのLandsat 8とSentinel-1画像について、それぞれの観測時点での森林撹乱の有無をRandom Forestで推定し、森林撹乱の確率を算出した上で、時系列的な森林撹乱の推定モデルを作成した。Landsat 8とSenitnel-1の森林撹乱の有無の推定では、Landsat 8でより推定精度が高かった。時系列的な撹乱推定モデルでは、Landsat 8のみ、Sentinel-1のみの場合よりも両者を用いた場合で推定精度が高くなり、光学衛星と合成開口レーダを利用することは森林撹乱推定に有用であると考えられた。

  • 辻 藤也, 村上 拓彦
    セッションID: P1-037
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    現在、西日本で竹林の管理放棄が問題となっている。その対策として各自治体では、余剰な竹林を伐採し、竹林を資源として有効活用するなどの対策が取られている。その中でも山口県では、余剰な竹林をバイオマス燃料として利用し発電する「竹専焼バイオマス発電所」が建設されており、竹林の有効活用に力を入れている。このように資源としての竹林に注目すると、竹林がどこにどれだけ存在するのかを把握し、今現在資源としてどの程度の竹林が利用可能なのかを解析することが重要となる。本研究の目的は、山口県全域を対象に、リモートセンシングデータを用いた竹林のマッピングを行うことである。今回、使用データとして山口県全域をカバーするLandsat8/OLIデータ、参考データとして環境省植生図データを用いた。画像分類方法として最尤法を採用した。

  • 篠原 朋恵, 村上 拓彦
    セッションID: P1-038
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    新潟県内にはかつて薪炭林として利用されたブナ林が存在するが、半世紀前の家庭用エネルギーの化石燃料への切り替えによりそれらの多くが利用されず管理放棄されてきた。現在、旧薪炭ブナ林を用材林として活用する動きがあり、ブナ林の資源量推定が必要とされている。しかし、林相が不均一な天然林ではサンプル調査のみでは的確な資源評価が難しいことに加え、全域を満遍なく地上調査することは事実上不可能である。そのため、広域スケールでの資源量推定において、人工衛星や空中写真などに代表されるリモートセンシング技術に期待が寄せられている。そこで本研究ではテンプレートマッチングという手法に着目し、その用途に特化したソフトウェアを用いて空中写真から樹冠の抽出を試みた。また、ディープラーニングの技術のひとつである「物体検出」がテンプレートマッチングとして応用できるかどうかについても可能性を模索した。樹冠を円で近似した場合と正確に描画した場合でそれぞれ算出される推定材積にどの程度の差異が出るのか検証し、樹冠抽出を自動化した場合でも樹冠面積から材積を算出することが妥当であるか評価した。

  • 岩附 慶大, 山本 一清
    セッションID: P1-039
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    近年、航空機LiDARを用いて森林調査を簡易に行う方法が注目されている。中武ら(2018)では航空機LiDARデータを用いた単木樹冠単位での樹種分類手法について、分類に有効な特徴量とその組合せについて検討を行った。しかし、この研究で分類に有効とされた特徴量は純林状態の樹種判別においては高い分類精度を示す一方、林分境界近くの立木や混交状態の立木においては、相対的に分類精度が低下することが示唆されている。そこで本研究では、中武ら(2018)が提案した手法による分類結果から、純林境界部の樹冠について隣接樹冠や隣接林分の特徴量との関係から再分類を行う手法を開発し、その効果について名古屋大学大学院生命農学研究科附属フィールド科学教育研究センター稲武フィールドを対象に評価を行った。また分類精度の更なる向上のために樹高や点群密度に関する特徴量等による再分類結果の比較から、再分類に適した特徴量についても検討を行った。

  • 越河 一樹, 溝上 展也, 山本 一清, 井上 昭夫
    セッションID: P1-040
    発行日: 2019/05/27
    公開日: 2019/05/13
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    近年、地上レーザ・スキャナ(TLS)による効率的な森林調査に対する関心が高まっている。TLSに関する先行研究を概観すると、(1)現行のTLSによる精度の検討;(2)TLSの適切な配置とその間隔(点数);(3)樹幹抽出のためのアルゴリズムの開発の3つに大別できる。しかし、これらの研究がどれだけ発展しても、また、レーザの性能がどれだけ向上しても、樹冠によってレーザが遮断されるために樹高が過小評価される問題は解決できない。本研究では、正確な点群データを取得できる枝下以下の樹幹形から、樹高を推定する理論を構築し、その妥当性を検証した。国内外で収集されたスギ、ヒノキ、カラマツおよびバンクスマツといった針葉樹の伐倒木・樹幹解析木データを用いた(n = 654)。これらのデータをもとに枝下以下での樹幹形の法則性を明らかにし、その法則をもとに樹高を推定するための理論を構築した。この理論を検証した結果、樹高の推定誤差は ± 2.5 mの範囲にあり、TLSによって枝下以下の樹幹形が正確に計測できるなら、樹高の推定誤差を大幅に小さくできることが示唆された。

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