日本知的資産経営学会誌
Online ISSN : 2758-7355
Print ISSN : 2758-6936
2019 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Sansan 株式会社の場合
    安井 肇
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 5-9
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 迫り来る食糧価格高騰時代に備えて
    實野 孝久, 浜部 薫, 實野 雅太
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 10-21
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    現在の76 億人と言われる世界の人口を養っているのは,「緑の革命」と呼ばれる機械化,大規模化と肥料,農薬を大量投入する現代農法であるが,その工程のすべてが石油を大量に消費しているため,農産物の価格が石油価格に追随する事態を招いている。今後の石油コストの上昇が続けば,食料価格の上昇を生じ,途上国の貧困な地域の住民が食料を得られない「経済的な飢餓」を生じることが予想される。また,温暖化や寒冷化などの気候変動により食料生産に支障が出る可能性もあり得る。そこでまだ農地として活用されていない乾燥地の太陽エネルギーに着目し,太陽熱で塩水などを淡水化し,高度な節水が可能な農法と組み合わせれば,石油価格の上昇や気候変動があっても,乾燥地帯の住民の生活を支えることが可能となると考えられる。また,現地の植物残渣から肥料や農薬を生産して,省力化農法と組み合わせれば,物資の運搬が困難な僻地でも農業生産を行える。本稿ではわれわれが開発してきた太陽熱淡水化装置と,ストーンマルチを用いた省力化農法,水中放電によるリグニンの肥料化などによる乾燥僻地でも可能な淡水化農法について報告する。
  • 田坂 公
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 22-40
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本論文の目的は,原価企画の論点のなかから,原価企画活動の発展段階をどのように捉えることができるのかについて,1960 年代から現在そしてこれからの新しい環境変化を踏まえて,原価企画の変容と展望を検討していくことにある。  原価企画は,わが国で独自に開発された管理会計手法である。その起源は1960 年代に遡る。1963 年に原価企画という用語が誕生したと捉える場合,現在まで56 年が経過した。また,1980 年代半ばから原価企画が管理会計手法として位置づけられたと捉える場合,現在まで30 余年が経過した。今日では,世界各国の加工組立型産業を中心に原価企画が適用されている。  この30 余年間に,日本だけでなく世界の社会経済環境は大きく変わってきた。いかに優れた機能を有しているとしても,あらゆるシステムは時代の進展とともに変革を迫られるのは世の常である。原価企画についても例外ではなかろう。現在の原価企画は,変革期に位置づけられる可能性が高く,まだ形がみえておらず,その進展は現在進行形である。本論文では,変革期にある原価企画のステージを「顧客価値提案型の知的資産経営の遂行」と呼称した。
  • 田口 貢士
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 41-48
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 梅田 充
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 49-68
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本論文はエーザイの事例をとりあげ,インタンジブルズによる価値創造とコミュニケーションとの関係性を検討したものである。本論文の発見事項は次の3 点である。 第1 に,価値創造プロセスを4 つのタイプに分類した点である。先行研究から創造される企業価値には株主価値をステークホルダー価値にあり,企業価値と資産の関係には構成要素を記述するタイプとドライバーを記述するタイプがあることが分かった。  第2 に,リスクに関するマテリアリティの考え方を明らかにした点である。同社では,発生可能性ではなく,マテリアリティを長期投資家にとっての関心で捉えている。つまり,発生可能性が高く価値創造に影響を及ぼすリスクが明らかにされていない。そこで,Kaplan(2009)のリスク・スコアカードを用いてリスクの優先順位を付けることを提案した。また,優先順位の高いリスクについては,南雲(2006)のCOSO ERM 統合型BSCのように,リスク管理を戦略マップに取り込むことを提案した。  第3 に統合報告は,戦略企画室といった戦略を策定する組織が中心となって作成すべきことを明らかにしたことである。統合報告は,価値創造や戦略に関する情報からなる。したがって,戦略を策定する戦略企画室が主導することで,戦略に沿った一貫した情報をステークホルダーに提供することができる。さらに,価値創造プロセスを戦略マップで作成している場合,戦略企画室が主導になることで戦略管理にも有用な戦略マップになる可能性がある。
  • DKSの事例を用いて
    李 会爽
    2019 年 2019 巻 5 号 p. 69-88
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本論文は,オクトパスモデルよりもより優れた価値創造プロセスの可視化の手段があるのではないかという仮説について検討し,第一工業製薬株式会社(DKS)の事例を用いて検証したものである。本論文では,次の3 つの発見事項がある。  第1 に,統合報告および統合報告が登場する以前から存在している6 つの価値創造プロセスのフレームワークについて内容を比較検討することで,それぞれの特徴と限界を明らかにした。本研究の場合,3 つのメルクマール,すなわち,①インタンジブルズには人的資産,情報資産および組織資産がある,②非財務情報と財務情報が因果関係で結びついている,および③戦略と結びついている,を満たしたときに,価値創造プロセスが網羅性と戦略性が満たされるかの点から考察した。  第2 に,情報開示および開示情報の内部利用の観点から価値創造プロセスの可視化を検討した場合,現時点で最も優れたモデルは,オクトパスモデルと「BSC(Balanced Scorecard:バランスト・スコアカード)による戦略マップ」を融合するモデルを構築することで価値創造プロセスを可視化することに帰着することを明らかにした。  第3 に,DKS の統合報告書を分析し,訪問調査を行うことで,統合報告の本質を検討することを試みた。その結果,価値創造プロセスの中心に戦略マップを据えることで,統合報告書は,当該企業の情報開示だけでなく戦略策定のための情報利用の手がかりにもなり得ることを,図表を用いて明らかにした。
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