日本知的資産経営学会誌
Online ISSN : 2758-7355
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2016 巻, 2 号
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  • 國部 克彦
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 3-16
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    21世紀のサステナビリティ情報開示は、GRI ガイドラインやIIRC フレームワークに代表されるように、経済・環境・社会情報の統合的な報告を中心に展開してきた。そこでは、企業経営の中心である経済に環境・社会問題を結びつけようとする意図がある。しかし一方で、かえって環境・社会問題が経済に還元されてしまう危険性も指摘されている。この問題を克服するためには、多様なステイクホルダーの要求が企業経営の場に入り込むことが必要であり、そのためには、どのようにすれば私的組織である企業を外部へ開くことが可能なのかを検討しなければならない。本稿では、このような問題関心のもとで、闘技多元主義/民主主義の理論を会計に応用しようとしているブラウンやディラードの議論を参考にして、統合報告と多元主義をつなぐ方法を考察し、信任法に根拠をもつ経営者の受任者責任という法的根拠とそれを前提にした無限のアカウンタビリティに基づく実践的展開が必要であることを論じる。
  • 越智 信仁
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 17-29
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 村本 孜
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 30-42
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 榊原 茂樹, 譚 鵬
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 43-58
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 和憲
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 59-74
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • 松本 浩一郎
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 75-85
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    日本企業の活動がグローバル化することに伴い、知的財産の管理も必然的にグローバル化せざるを得なくなっている。本稿では、特許行政年次報告書2015 年版のデータを参照しながら、主に特許権について日本企業の活動を概観し、後半ではグローバル知財管理、特に本社で集中管理をする場合における管理上のいくつかの課題について検討を行った。
  • 外国出願のコストに着目した特許出願戦略
    藤田 尚
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 86-96
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    新規医薬品の開発を主な事業とする創薬系バイオベンチャー(以下、「創薬系BV」)は、通常、基礎研究段階で起業するため、創業時には利益を生み出す商品(すなわち、医薬品)が存在しない。一方、製薬業界では1 つのパイプラインがスタートして医薬品が上市されるまでに、最低でも約10 年はかかるといわれるように、医薬品の開発には長期間を要する。したがって、創薬系BV の事業は、利益の出ない状態(いわゆる死の谷)が創業時から長期間にわたって続くという特徴を有する。また、医薬品の研究・開発には莫大な費用がかかるため、創薬系BV が単独でそれらの費用を賄うことはほぼ不可能であることから、大手製薬企業とアライアンスを組み、ある時点から開発は大手製薬企業に任せることが必要になる。  製薬企業が医薬品開発に要した莫大な費用を医薬品の上市後に回収し、かつ利益を上げるためには、医薬品候補化合物が特許権により保護されていることが不可欠である。その点、他の産業分野と比較して、特許の重要性が極めて高いことも製薬業界の事業の特徴の一つである。有望な医薬品候補化合物については日本のみならず米・欧の主要国を始め、その他多数の諸外国においても特許出願することが多く、必然的にこのような特許の取得および維持には多額の費用がかかる。一方、創薬系BV にとって、特許出願は、まだ利益の出ていない段階から行わなければならないことから、特許出願にかかる費用(コスト)は大きな財政的負担となり、創薬系BV の経営を逼迫させ得る。  そこで本稿では、このような避けることのできない特許出願のコストの問題に対して、創薬系BV が取り得る方策を、典型的な創薬系BV の収益モデルを前提に提案する。特に、特許出願のタイミングを大手製薬企業とのアライアンスの可否によって調節することによって、上記問題に対処することを提案する。
  • 日本企業の統合報告書をもとに
    西原 利昭
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 97-109
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は、日本企業の統合報告書(2014 年版)の文献調査、三菱重工業株式会社、株式会社ローソン、株式会社野村総合研究所3 社へのインタビュー調査を通じて、インタンジブルズの可視化に向けた統合報告の役立ちについて考察することである。インタンジブルズとは、企業の技術やノウハウ、従業員の知識やスキル、顧客や取引先とのネットワーク、コーポレート・レピュテーション(評判)など、貸借対照表上に表れない無形の価値源泉をいう。インタンジブルズの可視化は、企業が自社の価値創造の源泉となるインタンジブルズを特定し、それを見える形で示すことで、インタンジブルズのマネジメントを効果的に行うために必要である。  また、統合報告とは、国際統合報告評議会(IIRC)が、2013 年12 月に公表した国際統合報告フレームワークの基本概念(価値創造、6 つの資本、価値創造プロセス)を取り入れた統合報告書をいう。はじめに、日本企業の統合報告書が、国際統合報告フレームワークの基本概念をどの程度踏まえて作成されているのかについて文献調査により現状を把握したところ、フレームワークの基本概念に準拠した統合報告書を公表している企業が10 社あることがわかった。次に、3 社のインタビュー調査と統合報告書の開示情報をもとに、インタンジブルズの可視化に向けた統合報告の役立ちについて考察した。その結果を踏まえ、統合報告がインタンジブルズの可視化に役立つ可能性があると結論づけた。
  • 梅田 宙
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 110-122
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は、インタンジブルズの負の側面をいかにマネジメントすべきかを明らかにすることである。従来、インタンジブルズの研究は価値創造に焦点が当てられており、価値毀損についてはあまり注目されてこなかった。インタンジブルズの負の側面は多様な見解があり理論が確立されていないため、これらの見解を整理する必要がある。  最初に、インタンジブルズ自体に関する先行研究をレビューする。インタンジブルズの定義はさまざまあるが、本稿では、企業の競争優位を生み出す無形の源泉と定義する。インタンジブルズのマネジメントについては、インタンジブルズを複合的に管理する必要性、目的に合わせたインタンジブルズのマネジメント手法が提案されている。  次に、インタンジブルズの負の側面を検討する。インタンジブルズの負の側面には、企業価値を毀損するものと、リスクないし非金銭的な責任という2 つの考えが存在することを明らかにする。次にインタンジブルズの負の側面の事例を検討する。本事例には、リスクマネジメントを通じて管理が可能なものと管理が困難なものがあることを明らかにす る。  最後に、リスクマネジメントで管理が困難な負の側面にいかに対応すべきかを検討する。最初に、先行研究で提案された負の側面のマネジメントの方法として、多角化を推進する見解を検討する。次に、負の側面への対応を3 つ提案する。すなわち、環境適応できるような戦略テーマを複数用意する、外部環境を取り入れた迅速な戦略策定をする、インターラクティブな内部環境を構築して創発戦略を生み出すである。
  • 付 馨
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 123-139
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    本論文は、日本における統合報告書の開示実態を明らかにし、開示企業の業種特性と統合報告書の内容の特徴を明らかにすることを目的としている。近年、企業の価値創造プロセスにおける知的資産ないし無形資産の重要性がますます認識されるようになり、従来の財務情報を中心とした報告制度はこのような知的資産ないし無形資産の価値を報告するのに限界がきた。また、世界的な金融危機をきっかけに、投資意思決定、企業行為および企業報告をより良く連携して財務の健全性および持続可能な発展を促進するニーズがグローバル的なものになった。そこで、企業とその利害関係者はともに財務情報と非財務情報を統合して開示し、企業価値をより正しく評価できる新たな報告書を求め、その結果、統合報告書を作成・公表する企業が増えつつある。国際統合報告評議会(IIRC)が発足し、統合報告書のフレームワークを提示したことと同時に、南アフリカでは統合報告書の発行を企業の上場要件として義務付け、世界主要各国においても統合報告書を開示する企業の数は増えつつある。日本においても、2014 年までに142 社の企業が統合報告書を開示するようになった。上場企業全体数に照らして、依然として開示企業数が少ないが、統合報告 書の開示現状を明らかにすることで、今後の統合報告の理論と実践に資したい。本研究は統合報告書を開示する日本企業の業種分布や、報告書の内容等について分析し、その特徴を浮き彫りにし、特に開示意欲の高い業種を明らかにする。また、統合報告書を開示する際に、非財務情報について保証を行う組織の現状や存在する問題について指摘する。さらに、統合報告書の開示目的はステークホルダーとのコミュニケーション等を視野に入れる企業が増える一方で、投資家中心の報告書も依然として存在していること、IIRC の内容要素と指導原則を適用する企業の増加に伴い、統合報告書の比較可能性を図ることが期待できることも示したい。
  • コーポレートガバナンスの視点からの考察
    玉 越豪
    2016 年 2016 巻 2 号 p. 140-154
    発行日: 2016/10/20
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
    先進諸国において、国際的な税制度の抜け穴を利用した多国籍企業の税負担削減行動に対して、税源確保の観点から批判が強まっている。それに伴い、適切な租税支払いは企業の果たすべき社会的責任の一部ではないかという切り口から、企業の税負担削減行動とCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)との関係について規範的に論じる研究、および両者の関係を実証的に分析する研究が増加している。しかし、シェアホルダー理論とステークホルダー理論という対照的な企業観を持つ両理論のいずれかを基にした既存研究は、多国籍企業の租税回避という現実の課題に対して、政策形成に資するような実践的な含意を必ずしも提示できてはいない。本稿は、英国のコーポレートガバナンス改革の嚆矢となったESV(Enlightened Shareholder Value:啓発的株主価値)論に基づき、企業の税負担削減行動とCSR との関係に関する規範理論の導出を行った。その規範理論は、株主の利益を一義的には追求しながらも他のステークホルダーの利益を考慮した上で、CSR の観点から租税回避行為に自ら一定の制限を課す倫理感を持つことを、経営者の義務としてコーポレートガバナンスの制度上で明確に位置付ける必要性を掲げている。その上で、企業統治のあり方を規定するコーポレートガバナンス・コードの中に、経営者が税支払いに関して負うべき責任についての原則と具体的行動を記載するというソフトローによる政策アプローチを提案している。
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