日本知的資産経営学会誌
Online ISSN : 2758-7355
Print ISSN : 2758-6936
2018 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 伊藤 嘉博
    2018 年 2018 巻 4 号 p. 11-20
    発行日: 2018/12/15
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
  • インタンジブルズに基づく価値創造プロセスを中心に
    西原 利昭
    2018 年 2018 巻 4 号 p. 21-34
    発行日: 2018/12/15
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本稿は,エーザイ統合報告書のケーススタディをもとに,統合報告におけるインタンジブルズの情報開示と情報利用の展開方向を考察したものである。本稿の発見事項は次の3点である。  第1に,企業の情報開示には,情報開示そのものと,開示情報をもとにした情報利用という2つの目的があることを確認したことである。情報開示は,法令や外部のガイドラインなどに準拠した形での情報開示(アウトサイドイン・アプローチ)と,企業が戦略や計画の実行にあたってどのように経営管理を行って目標を達成したかについての情報開示(イ ンサイドアウト・アプローチ)の2つに分類される。もう1つは,単なる情報開示に止まらず,ステークホルダー・エンゲージメントを通じた戦略策定への情報利用を意図したものである。  第2は,国際統合報告フレームワークの基本概念に基づいた統合報告書は,情報開示だけでなく,戦略策定への情報利用にも役立つことがうかがえたことである。例えばエーザイの統合報告書は,情報開示を目的にしているが,情報利用にも活用できる内容が含まれている。  第3は,統合報告におけるインタンジブルズの情報開示は,企業の戦略と結びつけた形で価値創造プロセスとして開示されることが望ましいということである。具体的には,バランスト・スコアカードの4つの視点による価値創造プロセスの中でインタンジブルズ情報を開示し,さらにそれを戦略マップとして提示することが効果的である。
  • 梅田 充
    2018 年 2018 巻 4 号 p. 35-43
    発行日: 2018/12/15
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     近年,コーポレート・レピュテーションが企業価値に多大な影響を及ぼすようになってきた。そして,コーポレート・レピュテーションを測定するために,RepTrak®,RQ,「世界で最も称賛される企業」といったさまざまな測定システムが構築されてきた。  本稿の目的は,レピュテーション・マネジメントにとって有用なコーポレート・レピュテーションの測定方法を明らかにすることである。検討の結果,3つのことが明らかになった。第1に,レピュテーション・マネジメントのための測定システムは,ドライバーでコーポレート・レピュテーションを測定するRepTrak® が有用である。第2に,レピュテーション・マネジメントのためには,すべてのステークホルダーを対象とすべきである。第3に,測定にあたっては,経営者はステークホルダーに含めるべきではないが,経営者の行動は企業価値に影響を及ぼすため,測定し管理すべきである。
  • A社のケース・スタディ
    梅田 宙, 関谷 浩行, 伊藤 和憲
    2018 年 2018 巻 4 号 p. 44-56
    発行日: 2018/12/15
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー
     本稿の目的は,環境の不確実性に適応するために特徴的な組織観(組織に対する考え方)を有した企業を取り上げ,インタビュー先の組織の意義とインタンジブルズ・マネジメントの関係を明らかにすることである。第1の目的である組織の意義について,本稿では,リサーチサイトの組織観をエマージェント組織と名付け検討を行った。エマージェント組織は,迅速性,創発的,そして職能横断的な連携という3つの特徴を有する。エマージェント組織を運用することで顧客からの要望に迅速に応えるような組織となる。  第2にエマージェント組織とインタンジブルズ・マネジメントの関係について,組織資産,人的資産,イノベーションに分けて明らかにした。組織資産については,第1の目的で示した迅速性,創発的,そして職能横断的な連携という3つの要件がエマージェント組織にとって構築すべきインタンジブルズである。人的資産という側面においては,エマージェント組織であるためスキルの高い特定の人に仕事が集中する可能性がある。そこで,スキルの棚卸による,仕事量の平準化を提案した。  最後にイノベーションについて,エマージェント組織として迅速で創発的な計画を設定する必要があるため,BSC(Balanced score card:バランスト・スコアカード)の考え方による目標設定プロセスを提案した。なお,イノベーションは,従来の延長線上の製品開発にはエマージェント組織が適する。一方,革新的な製品の開発に対しては課題が残ることが明らかとなった。
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