日本災害医学会雑誌
Online ISSN : 2434-4214
Print ISSN : 2189-4035
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調査報告
  • 木下 恭子, 石井 美恵子, 内海 清乃
    2024 年 29 巻 2 号 p. 95-103
    発行日: 2024/05/16
    公開日: 2024/05/16
    ジャーナル フリー

    【背景】災害時に災害拠点病院の事務職員が従事した業務に関する詳細な資料は見当たらない。【目的】東日本大震災時に災害拠点病院の事務職員が従事した業務を明らかにする。【方法】質問紙調査(横断研究)ならびに面接調査。【対象】岩手県・宮城県・福島県にある災害拠点病院の事務職員。【結果】平常時には従事しない65項目の災害時の業務が認められた。また、平常業務は全体の30%程度に縮小され、段階的に平常業務を復旧させていた。【考察】65項目の業務には、外部資源の活用、事前計画や教育の必要性が確認された。平常業務では、経営や労務管理など中断すべきではない業務が確認され事前計画の重要性が示唆された。【結語】本調査結果を現実的かつ実効性のあるBCP改訂の基礎資料とするとともに、医療機関の事務職員対象を対象とした災害時の平常業務のあり方や災害時の業務の遂行力強化を目的とした教育プログラム開発と教育機会が必要である。

事例報告
  • 大黒 英貴
    2024 年 29 巻 2 号 p. 89-94
    発行日: 2024/05/08
    公開日: 2024/05/08
    ジャーナル フリー

    平時の「生活を守り支える医療」を担う歯科医師の多くは、地域の歯科医師会に所属し、平常時から多職種と連携して地域包括ケアの一役を担っている。災害が発生すれば、自治体・歯学部と連携して、JDATを派遣し、多職種と連携しながら支援活動をおこなう。2011年に発生した東日本大震災における岩手県歯科医師会の対応は、平常時から連携協力していた関係職種と一緒になって、歯科所見による身元確認や避難所・高齢者施設などの被災者に対して、応急歯科治療や歯科技工士と協力して義歯の作製、歯科衛生士と協力して口腔衛生管理指導など歯科保健医療の提供を長期的におこなった。このように、日常から歯科専門職は、口腔内の感染症予防のみならず、口腔健康管理を通じて呼吸器感染症予防やオーラルフレイル予防にも関与しており、災害歯科支援活動はその延長線上にある。今後も養成校の人材育成と合わせて若手歯科医師会会員への周知は重要である。

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