森林利用研究会誌
Online ISSN : 2432-5996
Print ISSN : 0912-960X
9 巻, 2 号
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総説
論文
  • 孔 徳剛, 藤井 禧雄
    原稿種別: 論文
    1994 年 9 巻 2 号 p. 19-30
    発行日: 1994/09/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    高把式チェーンソーの振動特性を明らかにするために,中国製高把式2機種と中国製および日本製低把式3機種を取り上げ,ハンドル部位における振動加速度を,作業者がそれを把持した状態で測定し,比較,検討した。その結果,以下の点が明らかになった。高把式の振動加速度は,日本製のみならず,中国製低把式よりも高い値を示した。そして,振動加速度は,エンジン回転数の増加につれてほぼ直線的に増加し,その増加の様子は,振動方向が同じであれば,左・右両ハンドルでほぼ同様の傾向を示した。また,振動スペクトルをみると,振動加速度の最大値は,エンジン回転の基本周波数f。(Hz)ではなく,2f。〜6f。などにある場合が多く,さらに,500Hz前後およびそれ以上の高周波数成分がかなり顕著であり,低把式とはかなり異なる振動特性を示した。これらの特性を示した主な原因は,その防振機構に問題があると考察された。
  • 山田 容三, 豊川 勝生, 今冨 裕樹
    原稿種別: 論文
    1994 年 9 巻 2 号 p. 31-39
    発行日: 1994/09/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    バイオメカニカル(生体力学)モデルを用いたL5/S1椎間板反力とモーメントを指標として,4種類(10度,20度,30度,40度)の傾斜条件下におけるクワによる植栽作業の腰部にかかる負担を評価した。その結果,平均値では植栽作業は「ふつう」あるいは「重い」作業に分類され,椎間板に障害の起きる危険性が少ないと評価された。しかし,植栽作業中で大きな身体の動きを伴うクワの「大振り」と「小振り」では,最大椎間板モーメントが150Nmを越える「非常に重い作業」に評価され,最大椎間板反力がNIOSH(アメリカ国立職業安全・健康研究所)の示す作業限界3.4kNを越えており,瞬間的ではあるが椎間板に障害を与える危険性を含んでいることが明らかになった。また,椎間板反力とモーメントの平均値は,傾斜の増加とともに減少する傾向が確認された。
  • 熊倉 由典, 田坂 聡明, 酒井 秀夫
    原稿種別: 論文
    1994 年 9 巻 2 号 p. 41-51
    発行日: 1994/09/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    林業用大型機械走行が林地土壌へ与える影響や,締固めのメカニズムを調べることを目的として,北海道内の35年生トドマツ人工林で弱湿性褐色森林土(網走)と,31年生カラマツ人工林で適潤性未熟土(恵庭)の2ヶ所で,コーン貫入試験,わだち深さ,土壌採取を実施した。採土は,自然乾燥後,乾燥単位体積重量γ_dを求めた。網走では,未走行地と各機械走行後の土壌締固めを比較すると,機械走行後の土壌層の厚さは,走行後1/2に減少していた。γ_dについては,未走行地の表層土壌に対してハーベスタ走行後は1.50倍,フォワーダ走行後は1.48倍となっていた。恵庭では,コーン指数は表層部が上昇していたが,各作業機械による変化は見られなかった。γ_dについては,未走行地の表層土壌に対してハーベスタとフォワーダの走行後は,各々1.05倍,1.36倍となり,締固めは網走に比べて小さかった。これらのことから,接地圧の大きい作業機械は土壌の締固めも大きく,土質の違いによっても機械走行の影響が異なることが確認できた。また,土壌の締固めは,鉛直下方のみではなく,側方にも応力を受けることが推測された。
  • 清水 裕子, 酒井 秀夫
    原稿種別: 論文
    1994 年 9 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 1994/09/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    わが国の森林作業環境に適した作業服の機能と快適性を追求し,森林作業の生理的負担を軽減する目的で,アンケート調査を行った。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)寒冷時には手足に寒さを感じており,そのための保温が必要である。(2)発汗時に汗の吸収のよい素材についての要望が大きく,素材の検討が急がれる。(3)雨天での作業も行われており,雨具の検討もすべきと考えられる。(4)伸縮性やゆとりのある作業ズボンが作業性と危険防止のために必要である。(5)携帯品が多岐にわたっており,作業服に機能的なポケットを設計することが重要である。(6)作業服の色の好みに関しては,年齢による違いがみられる。明るく斬新なデザインや色について,若い層から要望が出されており,このような点を考慮して作業服を設計する必要がある。これらの結果は,今後機能的で快適な作業服の設計に資することができる。
  • 酒井 秀夫, 清水 裕子, 田坂 聡明, 対馬 俊之, 熊倉 由典, 中村 壮一, 野口 利明
    原稿種別: 論文
    1994 年 9 巻 2 号 p. 61-71
    発行日: 1994/09/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    林業労働の中でも生理的負担が大きい下刈作業時の衣内気候について調査を行った。得られた次の知見は,今後,下刈用作業服の設計に資することができるものと考えられる。(1)個人によって,腹部や背部に汗をかきやすい体質がある。(2)背部は開口部が少なく,さらに刈払機の肩掛バンドによる圧迫により,通気が阻害される。腹部もスボンのベルトや刈払機の肩掛バンドにより通気が悪く,作業停止後の休憩時もしばらくは代謝が活発なので,温度が低下しない。前部をボタン等にするとともに、肩掛バンドの改善が必要である。(3)下刈りは少し前傾して作業するため,胸部は日差しの影響が少ないが,背部は日差しの影響を強く受ける。(4)気化熱による体熱放散は気温,風,湿度,発汗量のバランスの上に成り立っており,衣服の素材や衣内空間の大きさも重要な因子と思われる。(5)休憩は日陰の効果が大きく,特に胸部,背部の温度,湿度が大きく低下する。休憩時の水分摂取により,今回,胸部,腹部の温度,湿度の急下降が見られた。水分補給,休憩場所を上手にとることにより,積極的な疲労回復を図ることが期待できる。
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