森林利用研究会誌
Online ISSN : 2432-5996
Print ISSN : 0912-960X
10 巻, 2 号
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論文
  • 有賀 一広, 岩岡 正博, 酒井 秀夫, 小林 洋司
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 105-115
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    急傾斜地でも移動可能なベースマシンとして,半脚式歩行機械の導入,検討が行われている。本論文では,半脚式歩行機械による列状間伐の作業観測を行い,問題点について考察した。作業功程は31.8m^3/人・日であった。今回の作業ユニットは小形であったが,もし大形化することが可能であれば,作業時間を17.5%程度短縮することができる。平均林内移動速度は481.8m/h,最高速度は1296.0m/hと,現段階で他の半脚式機械より速い結果が得られた。その違いとしてオペレータの技量やベースマシンの移動性能の違いが理由として考えられる。作業ユニット格納,準備時間は移動毎に18.5秒かかり,実質的な移動時間は1回あたり40.9秒であった。仮に平均移動速度が1km/hに向上したとすると,作業功程が1.2倍になると試算される。
  • ガンダスチャ スチャ, 吉村 哲彦, 山本 俊明, 神崎 康一
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    インドネシアの東カリマンタンに位置するバツアンパールのビレッジHTISP1とHTISP3で,産業造林の作業者の疲労調査を,フリッカーテスト,ブロッキングテスト,蓄積的疲労徴候調査によって行った。フリッカーテストの結果,おおむね作業前よりも作業後の方がフリッカー値が低下していた。ブロッキングテストの結果,天然更新の補整植栽作業による阻止現象は認められないという結果になった。蓄積的疲労徴候調査において,応答率を日本における橋梁建設工事作業者と比較したところ,身体的な疲労は,今回の調査結果の方が際だって大きかった。その理由として考えられるのは,赤道直下の過酷な暑さである。作業種,居住地,年齢別にその傾向の違いを調べたところ,作業種による違いはあまり大きくないが,「下刈り」が特性項目全般にわたって高くなっている。居住地による違いを調べたところ,身体的疲労はHTISP1の方が際だって高いという結果になったが,HTISP1はHTISP3よりも居住年数が長いため,疲労が蓄積しているのではないかと考えられる。
  • ガンダスチャ スチャ, 吉村 哲彦, 山本 俊明, 神崎 康一
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    東カリマンタンにおける産業造林の作業環境と作業者の生理負担の調査をバツアンパール村で行った。調査の結果,労働環境は,温熱条件から判断して非常に過酷であった。しかし,午前中の作業は,十分な休憩時間(25%作業-75%休憩)を取ることによってACGIHの規準をほぼ満たしていた。心拍数からみたRMRの推定値は4〜8で,ほとんどの作業が,重労作業,激労作業に分類された。最もRMRの大きい作業は下刈りであった。
  • 井上 公基, 片桐 直人
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 131-137
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    今回の調査は,森林作業における雇用形態の違いにより作業負担や作業者の意識がどのように違うのかを研究対象とし,若い森林作業就業者の確保や育成時の問題点について考究したものである。その結果,森林作業者は林業や森林に対して愛着や自然に接することの喜びなどから職業を選択している。しかし収入面に対し不安感を持っている。作業者は,作業前に慢性的な腰の痛みとか肩こりなど疲労蓄積を有し,作業後においてもストレス感や疲労自覚症状訴えなどの増加が認められた。作業中のヒヤリハットの出現は,休憩時間や作業前の疲労自覚症状訴え率さらに傾斜や足場の状態と高い相関のあることが示された。休憩時間については,任意に休憩時間が取れそうで,取れないこともあり,休むきっかけをつくるための,休憩時間の目安とその合図(指示)を行う役割分担をあらかじめ決めておくことも安全作業を遂行する上で必要であることなどが示唆された。
  • 猪内 正雄, 里村 泰行
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    クローラトラクタによる集材跡地(スギおよびカラマツ植栽地)の約10年間における土壌の物理性と植栽苗木の成長状態を調査し,特に集材路における土壌の締固め,攪乱および苗木成長の回復経過を明らかにした。地表が掘削されることなく地表層がそのまま締固められた集材路では,土壌の物理性および植栽苗木の成長は約10年でほぼ回復されるのに対して,地表が掘削された集材路ではその回復には少なくてもさらに10年以上は必要であろうことが推定された。
  • 尾張 敏章, 仁多見 俊夫, 湊 克之
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    素材生産作業システム機械化の進展方策に関する検討を目的として,システム・ダイナミックス法を適用した「機械化進展モデル」を構築した。本モデルでは,機械化が将来の労働力不足により進展し,また一定以上の生産規模を持つ事業体のみが機械化可能であると仮定した。北海道を対象としてシミュレーションを行った結果,過去における実際の素材生産量をほぼ再現することができた。また,今後作業システムは従来の作業システムから工程の一部を機械により処理する半機械化作業システム,さらに全機械化作業システムへと進展していく過程が予測された。さらに事業体の生産規模拡大のための方策を講じた場合には,機械化がより速やかに進展することが予測された。
  • 里村 泰行, 猪内 正雄
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 153-160
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    モービルタワーヤーダ集材作業の林地に対する影響を表土の除去を中心に評価する目的で,宮城県内に3か所の調査地(大衡村,登米町2か所)を設けて,普通間伐および列状間伐跡地について主に集材攪乱発生範囲面積,表土除去の深さを調査した。調査地はすべてスギ人工林の間伐集材地で林齢は35〜39年である。その結果,集材木による表土除去は集材1回あたりの材積との相関が高く,また地形,架線の設置位置,クリアランス,土壌などの条件によって表土除去の深さおよび攪乱発生範囲に違いが生じた。調査地では表土除去は伐区にたいして0〜20%の範囲で分散して発生し,表土除去の深さは10cm以下のものが多かった。
  • 儲 東生, 神崎 康一, 沼田 邦彦
    原稿種別: 論文
    1995 年 10 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2017/11/17
    ジャーナル フリー
    タワーヤーダ集材作業を行っている作業現場でワイヤロープの使用劣化の状態を検出するために,著者らは永久磁石磁化方式とホールセンサ漏洩磁束検出方式を用いたワイヤロープ探傷器を開発したが,今回,その探傷器を使用して,実際にタワーヤーダ集材作業を行っている現場での性能試験を行った。タワーヤーダシステムは,オーストリア製のコラーK303タワーヤーダとシェルパU型搬器で,そのワイヤロープは,スカイラインがIWRC6×S(19)の15mm,メインラインが6×7の9.5mm,ホールバックラインがIWRC6×S(19)の10mmである。これらのワイヤロープを対象に,おのおの150mにわたって漏洩磁束探傷を行った。その結果,ワイヤロープの外部断線だけでなく,内部断線をも検出することができた。また,スカイラインの損傷箇所の中には,1より長さの中に素線断面積合計で最大21.65%にも達する断線箇所が発見された。
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