獣医整形外科学領域で、種々の股関節疾患の結果⽣ずる重度な関節症や恒久的な股関節脱⾅等の終末的な状態に対する股関節全置換術は、治療選択の一つだが、小型犬での使用報告は少ない。今回、我々は、Zürich Cementless Hip Replacement Mini Systemを適応した小型犬の股関節疾患6例の短期成績を報告する。術中合併症が1例、再手術症例が1例含まれたが、全例で術後15.33±6.31日で跛行スコア0が得られ、術後3ヶ月時点の検診で異常を認めなかった。小型犬における股関節全置換術は、小型犬において執刀医の高い習熟度が求められるものの、X線画像を用いた手術計画や手術評価にアプリケーションソフトを利用することで、再現性のある手術の実施が容易となると考えられた。今後、執刀医のさらなる習熟と、評価方法の検討、症例数蓄積、中長期成績の蓄積が必要であると考えられた。