内観研究
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巻頭言
大会長講演
特集
  • 千石 真理
    2020 年 26 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
  • 夏 寒松
    2020 年 26 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     日本から伝って来た内観療法は、二十一世紀の現代中国で、一種の独特な心理療法として、一般市民に社会ストレス解消、薬物依存症のリハビリテーションなど、多様の形で受け入れられた。理屈よりも、とにかく修行が大切という内観の印象があるが、インタネットとビッグデーターに慣れた次の世代に、内観の真意を伝えるためには、現代脳科学の理論で分かりやすいエビデンスを探求し、客観的な指標でアドバイスするアプローチが必要はないかと考えた。

  • :バイオマーカーを用いた日本と中国の共同研究プロトコール論文
    河合 啓介, 夏 寒松, 真栄城 輝明
    2020 年 26 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     仏教一派の修行法として日本で生まれた内観は、自己修養法から始まり、心理学・医学領域の治療法へと展開した。中国・韓国・欧米でも、各国の事情に合わせ発展している。内観療法の治療機序の解明と国際的な発展を進める上で、国際共同研究は有用である。また、内観療法の中でも、集中内観はその治療期間が一週間と他の心理療法に比べて極めて短く、その治療構造は、精神療法の作用機序の研究に有用である。そこで今回、我々は、上海中国上海市浦南医院とともに、バイオマーカーによる内観療法の作用機序を解明する共同研究をデザインした。

     

    目的:当院と上海中国上海市浦南医院で、内観療法中のうつ病、摂食障害患者等のストレス関連ペプチドを測定し、内観療法の治療メカニズムの解明につなげる。さらに文化的社会的背景の異なる日本と中国における内観療法の発展の相違点を評価する。

    方法:愛情や信頼感に関係のあるオキシトシンや抑うつ不安に関連するストレス関連ホルモン(セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン)の血中および尿中の濃度を集中内観前、中期、終了時に測定し、内観による認知や情動の変化とバイオマーカー値の変動を対照群(支持的精神療法)と比較検討する。さらに日本と中国間での内観群間で比較する。

    期待される成果:内観による心理的変化とオキシトシン値やセロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミン値の変動の関連が明らかになる。同時に、両国間の内観療法の相違点が明らかになる。内観の有効性に関する分かり易い客観的指標の確立は、メンタルヘルスマネジメントへの内観療法の適応を国際的に進める可能性がある。

原著論文
  • -教育プログラム開発のために−
    高橋 美保, 李 暁茹
    2020 年 26 巻 1 号 p. 33-45
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     内観面接者の資格制度の確立を受け、内観面接者が学ぶべき教育プログラムを検討する必要がある。本研究では、面接経験10年以内の中堅面接者5名を対象に半構造化面接を行い、若手内観面接者としてどのような困難を体験しそれに対処してきたかを尋ね、分析を行った。その結果、「面接者になる」「内観の構造」「面接者としてのあり方」「面接者自身の体験」「心理職としての体験」「内観者への対応」の6つのカテゴリが抽出された。その内容から、内観面接者としての適性とその判断の仕方を明確にすること、内観の構造が持つ援助的意味を明確にすること、内観の本質を改めて明確にして一定の共通理解を提示すること、面接の恐さやリスクの認識を持ち不断の自己省察に努めること、臨機応変な柔軟な対応も含め内観者に対する具体的な対応の方法を提示することの重要性が示唆された。これらが初心者向けの教育に取り入れられるとともに、継続的支援として面接者間のスーパービジョン・コンサルテーションシステムの構築が有効と考えられた。

  • 原田 勁吾, 竹元 隆洋
    2020 年 26 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     指宿竹元病院では、1975年よりアルコール使用障害の治療プログラムに1回の集中内観を適用していたが、2004年よりギャンブル障害の治療プログラムに2回の集中内観を導入し有効だったため、2007年より全ての依存症入院治療プログラムで2回の集中内観を実施してきた。集中内観を行うことで内観が深まることや、ギャンブル障害では6か月から30か月で治療効果があることが示されてきたが、2年から5年の予後については明らかにされていなかったため、273人を対象に電話調査を行った。その結果、アルコール使用障害の回復状況は、完全回復が26.4%から43.3%、部分回復が5.8%から9.4%、再発が47.2%から67.8%だった。ギャンブル障害では、完全回復が36.4%から59.3%、部分回復が6.8%から11.1%、再発が29.6%から56.8%だった。どちらも良好な治療成績であると推察され内観療法の有効性が示唆された。また、アルコール使用障害で回復している者は、初回入院、就労、通院、同居と関連しており、社会的な関わりが良好に保たれている者だった。2回集中内観を実施したことでの効果は不明だが、内観療法を通して依存症者の心理的特徴である自己中心性や否認が改善することで、社会的な関わりを良好にするのではないかと推察された。

  • -インターネットを活用した試み-
    李 暁茹, 高橋 美保, 呉 国宏, 羅 ウチ
    2020 年 26 巻 1 号 p. 61-76
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     近年、中国では内観療法の実践及び効果研究が主に精神疾患を持つ臨床群を対象とする医療領域で盛んに行われており、その有効性が確かめられている。本研究は非臨床群の中国人大学生を対象に内観をベースとした実践方法を開発・実践すると共に、その効果評価を行った。その際、抑うつなどの精神健康指標に加え、幸福感、気分などの心理指標、自尊心、対人関係などの認知指標を測定し、内観の効果とそのメカニズムを検討した。実験群には連続で14日間、1日1時間の内観を行い、インターネットで面接を行った。介入前後の変化を確認したところ、⑴幸福感総得点、感情得点は有意差が見られた、⑵対人関係総得点及び下位尺度の得点では有意差が見られなかった、⑶ポジティブ気分において有意差が見られ、ネガティブ気分に有意差はみられなかった、⑷抑うつ総得点、及び弛緩と苛立ち有意差が見られた、⑸自尊指標は有意差が見られた。

     中国では研修所が普及していないために、内観は臨床群を対象とした活用が中心的であるが、今後は非臨床群を対象とした活用が期待される。本研究では、非臨床群を対象に開発したインターネットを活用した内観の実践方法はその有効性が示唆された。このような試みは内観の普及と発展や内観の国際化に貢献できると思われる。今後、地域や対象を広げることでその有効性を検証し、必要に応じて方法を精緻化する必要があるであろう。

論点
  • 鈴木 康広
    2020 年 26 巻 1 号 p. 77-85
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     ユング派分析家である筆者が集中内観を体験したことにより、ユング心理学からみた内観について考察した。分析室と内観室の構造の違いから、分析と内観が、治療構造上の枠の外でなされるのか、枠の内(なか)でなされるのかを論じた。ユング派の分析のありようと枠を「物いわぬ書」(1667)で説明した。これに対し内観の枠は、内観室や内観研修所全体を包み込む大きな枠であり、そこには宗教性があることを指摘した。次に、こうした構造と相俟って、この枠の内(なか)で行われることが「当事者性」を有効にし、内観が「自助グループ」の機能をもつことを指摘した。当事者性が内観の治癒機序のひとつであると考えられる。次に、内観中の「夢」と内観後の「調和」について、ユング派の立場から「膠州の雨乞い師」で拡充し、内観が家族の布置にコミットする「家族療法」の機能をもつことを論じた。

短報
  • 〜TAEによる内観体験の意味解明の試み〜
    仁田 公子
    2020 年 26 巻 1 号 p. 87-93
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     本論は、自己を見つめる方法として「内観法」を大切にしてきた心理療法家にとって、その体験の意味が何であるかについて考察したものである。考察に際しては、「一人称の科学」の提唱者である哲学者で、同時に優れたサイコセラピストでもあったE.T.ジェンドリンのTAE(Thinking At the Edge)の方法を用いた。TAEは、体験により「からだ」がすでにわかっていることを「フェルトセンス」と触れながら新しいことばで表現しようとする作業である。その結果、内観で自分を深く知ろうとすることは、通常の意味での「自分」や「自我」を無に帰し、「自分」を開き、より大きないのちの根源へと向かわせるということが表現できた。自分を開くことは、また喜びを伴う「お返し」の実践につながり、そのことがサイコセラピストとクライエントの関係性を支えてきたことが明確になった。

  • 〜プロセスレコードからの省察を通して〜
    黒岩 晴子, 真栄城 輝明
    2020 年 26 巻 1 号 p. 95-104
    発行日: 2020/09/01
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー

     本論は大和内観研修所の内観面接者養成研修に関わる研究の続報である。第一報では、ブラインド面接や陪席面接におけるスーパーバイザーの指導内容や研修生の気づきに焦点を当て質的研究を行った。その結果、対人援助職の専門性を涵養していることが明らかになった。第二報では、単独面接における研修生の気づきや思いを振り返る過程に焦点を当てた。プロセスレコードを用いた研修生の省察を通して内観面接者の育成について考察した。その結果、研修は内観者が内観に集中できる環境を整える面接者の態度を育成していた。

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