土木学会論文集D1(景観・デザイン)
Online ISSN : 2185-6524
ISSN-L : 2185-6524
68 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 松井 哲平, 佐々木 葉
    2012 年 68 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/01/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,新機能主義と呼ばれる形態的に特徴のある橋梁の外観に対して人々がどのような形態に注目し,また評価を行うのかを明らかとすることを最終目標とし,その第一段階として橋梁形式を下路アーチ形式に限定し,その評価構造を実験心理学的に明らかにすることを目的としている.そこで,この橋梁デザインを特徴づける力の流れや動きの印象を動的イメージと定義し,それにかかわる部材形状を変化させたCGを用いて感性評価実験を行い,ラフ集合理論を用いて分析し,橋梁の形態的特徴の組みあわせと印象の関係を把握した.その結果,橋梁観察者の知識背景と関連した複数の評価傾向を見出すとともに,各々の評価傾向の具体的な特徴を示すことが出来た.
  • 福山 祥代, 羽藤 英二
    2012 年 68 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,歩行者の行動圏域ごとのリンク媒介中心性という指標を新たに設定し,バルセロナ旧市街の街路ネットワーク及び広場立地の特性を,歴史的形成過程と指標値の関係から分析した.結果として,250m,500m,1kmという3つの圏域ごとに異なる中心性の分布が街路の歴史的形成過程と整合性のある形で得られ,指標が有効性を持ち得ることがわかった.また,バルセロナ旧市街の街路,広場のネットワーク特性として,18世紀以前に自然発生的に形成された市街が,骨格街路,骨格街路と近隣地区を結ぶ街路,近隣地区内をつなぐ街路という階層構成をもち,街路の主要な結節点に広場が立地していること,また1980年代以降の都市再生戦略で整備された広場は,媒介中心性の低い場所に配置されていることが明らかになった.
  • 服部 周平, 二井 昭佳
    2012 年 68 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
     本稿は,微地形レベルでみた扇状地散村集落の立地特性を明らかにすることを目指し,微地形を把握できる資料を用いて本家・神社の立地微地形と敷地構成の対応関係について考察したものである.その結果,本家は尾根筋と谷筋に同程度の割合で立地し,谷筋では谷頭部を選ぶ傾向があること,また立地微地形と敷地構成に対応関係がみられることから扇状地では谷筋・尾根筋という捉え方が有効であること,本家は水防上有利な地形に立地する傾向があり,特に周辺より低い土地ではあるが洪水の被害を受けにくい谷筋谷頭部を選択していることが扇状地散村集落における大きな特徴だと指摘した.また神社の立地地形や集落との位置関係,神社の伝説から,神社が洪水から集落を守るような位置に設けられた可能性を示唆した.
  • 秋山 岳, 岩倉 成志
    2012 年 68 巻 1 号 p. 45-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/19
    ジャーナル フリー
     近年,わが国ではプロのデザイナーによって鉄道車両が設計され,旅行の付加価値を向上させる事例がみられるが,全国的な展開には至っていない.その理由のひとつに,車両デザインと需要増との関係性が明らかではないため,事業者が鉄道車両のデザイン化に消極的であることがあげられる.本論文では,小田急ロマンスカーを対象とし,鉄道車両の車内デザインを考慮した需要予測モデルの構築を目指す.そのために,1)車内色彩デザインの計測手法,2)色彩快適度関数の構築,3)車内デザインの評価手法,4)需要予測モデルの構築,以上4点を検討する.本論文で構築したモデルを用いた分析の結果,車両をデザインすることで,他交通機関からの利用者の転換が望め,一定の収入増加が見込めることを確認した.
  • 大庭 哲治, 松中 亮治, 中川 大, 山根 和人
    2012 年 68 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,屋外広告物の規制強化が設置状況に及ぼす影響とその因果構造を明らかにするため,2007年9月に改正された京都市屋外広告物条例を対象に,現地調査に基づいて,その改正前後における主要幹線街路沿いの屋外広告物の設置状況に関するGISデータベースを構築した.その上で,このデータを用いて,設置状況変化の因果構造を共分散構造分析により検証した.その結果,規制強化が改正条例の目的に沿って広告景観の改善に正の影響を及ぼしている一方,規制強化の意図しない負の影響も存在していることを明らかにした.また,被規制者の簡易屋外広告物に対する撤去志向が,ひいては,大型の固定型屋外広告物の面積・色彩・設置高さ・設置位置の改善に影響を及ぼす可能性があることを明らかにした.
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