地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律の制定・施行をきっかけとして,まちづくりにおける土木遺産の活用に対する要請が急速に高まっている.こうした要請に応えるためには,歴史まちづくりの取組みを進めるうえで土木史研究に期待される役割を明らかにしておくことが重要である.
本論では,国の認定を受けている歴史的風致維持向上計画の記載内容についてレビューするとともに,各認定都市に対するアンケート調査により,歴史まちづくりの取組みの現状と課題を把握・整理した.さらに,現状と課題を踏まえ,歴史まちづくりの取組みを進めるうえで土木史研究に期待される役割を抽出し,特にインフラ整備の視点からの都市構造の総合的な評価や,実践的・実務的な土木遺産の保全・活用技術の構築等の研究が期待されていることを指摘した.
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