土木学会論文集F2(地下空間研究)
Online ISSN : 2185-6583
ISSN-L : 2185-6583
67 巻, 1 号
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和文論文
  • 馬場 康之, 石垣 泰輔, 戸田 圭一, 中川 一
    2011 年 67 巻 1 号 p. 12-27
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/04/20
    ジャーナル フリー
     人口,資産の集積する都市域において,地下空間は利活用が進む一方,相対的に深い位置にあるために氾濫水が流れ込みやすいという危険性も包含する.近年,地下空間や周囲に比べて相対的に低い土地における浸水の発生,水没事故などの事例が散見されており,水害発生時の迅速な避難行動が人的被害の軽減・抑制に対して重要となる.
     本研究では,実物大スケールの実験装置を用いて体験型の模型実験を行い,浸水時の地下空間からの安全な避難行動に対して避難困難となる指標について検討した.実験の結果,ドアや階段からの避難する場合0.3~0.4m程度,自動車からの避難では地面から0.7~0.8m程度の水深で避難が困難になることが示された.加えて,ドアからの避難行動については被験者の年齢や体重などの個人差を考慮した考察を行った.
  • 吉本 直美, 和氣 典二, 三田 武, 和氣 洋美
    2011 年 67 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,利用者からみた地下鉄構内の快適性についての心理評価法に関するものである.心理評価は,名古屋市営地下鉄の乗り換えのある9駅の構内を研究対象に選び,調査をした.その結果,4つの因子が抽出された.第1因子は,情報の伝達性,第2因子は,快適感,第3因子は,不安感,第4因子は,利便性である.さらに研究参加者の地下鉄利用頻度と年齢が,これらの因子にどのようなかかわり合いがあるか,共分散構造分析を施した.それによると,第1因子は,研究参加者の地下鉄利用頻度と関係し,利用頻度が多ければ情報の伝達性が高い.また加齢の効果は,第1因子と第4因子と関係し,年をとると情報の伝達性が悪くなり,利便性,たとえばエレベーターやエスカレーターに頼ると解された.
和文報告
  • 亀村 勝美, 池尻 健, 串戸 均, 笹尾 春夫, 高橋 晃, 山田 浩幸
    2011 年 67 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
     我が国の社会基盤整備は,既に建設・拡大の時代から維持管理の時代へと軸足を移し始めている.維持管理に対する技術は,その重要性が指摘されて以来,各機関で本格的に研究がなされてきたが,その歴史は浅く,特に既設地下構造物に対する合理的な維持管理手法は確立されたとは言えない.そのような中,より安全・安心な社会の実現などを背景に,地下空間の利用に対する期待はますます高まっており,地下構造物に対する維持管理技術の発展は必要不可欠な課題となっている.
     ここでは,地下構造物の維持管理技術の確立に寄与することを目標に,地下構造物に求められる性能とその劣化特性を評価するための技術についてアセットマネジメントの観点から検討した.
  • 岸井 隆幸
    2011 年 67 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/20
    ジャーナル フリー
     我が国の主要都市では昭和30年代から50年代にかけて数多くの地下街が建設された.こうした地下街の耐震性強化については,一部の先進的な地下街を除いて,従来,殆ど議論されてこなかった.本報告は,こうした状況の中,(財)都市みらい推進機構内に設置された地下街耐震に関する研究会[1](筆者が座長)で調査・整理した内容を報告するものである(なお,本調査研究は国土交通省都市・地域整備局からの依頼を受けて行われたものであり,結果の発表についても同担当課から了解を得ている).
     既設の地下街には「建築基準法に基づいて設計されたもの」と「鉄道施設として土木系の基準によって設計されたもの」とが存在することが明らかとなり,今後ともこの二つの考え方を尊重して取り組むことが必要で,本調査でその際の方法論を整理することができた.
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