日本補助犬科学研究
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16 巻, 1 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
大会長講演
基調講演
ショートレクチャー
総説
  • 〜自立と社会参加からみた現状〜
    山本 真理子, 高柳 友子, 渡邊 学
    原稿種別: 総説
    2022 年16 巻1 号 p. 53-59
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー
    身体障害者補助犬(以下、補助犬)の訓練と認定については、基準や指針が示されているものの課題が多く報告されている。補助犬と暮らす障害者の自立と社会参加を促進するという法律の目的を実現するためには、訓練事業者や認定を行う指定法人によるサービスの質の担保は不可欠である。本稿は補助犬使用者(希望者)と補助犬(候補犬)の合同訓練、認定、ならびにフォローアップの現状や課題をまとめるとともに、身体障害者補助犬法の核である身体障害者の自立と社会参加の促進が、合同訓練、認定、フォローアップにおいてどのように評価されているかを分析するものである。これまで示されてきた課題はいずれも補助犬の貸与により期待される補助犬使用者のさらなる自立や社会参加を制限しかねないものである。使用者の適性評価やフォローアップにおける社会参加の評価は不十分であり、補助犬により使用者の自立と社会参加がどのように促進されうるか(促進されたか)という観点で訓練、認定、フォローアップが十分に行われていないことが示唆されている。特に「社会参加」の捉え方が訓練事業者、指定法人によって異なるという指摘がなされている。また2022年に認定審査にかかる申請書類の統一化が図られたが、その申請書をどのように運用するかは十分に議論されていない。認定基準の透明化と指定法人間(内)のばらつきの解消のためには、申請書の運用と審査に関わる専門職の役割を明確にすることは不可避である。
原著論文
  • 水越 美奈, 小野沢 栄里, 沼田 芽久, 藤野 琴子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年16 巻1 号 p. 60-66
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー
    【目的】補助犬の受け入れ拒否事例はいまだに多く報告され、特に飲食店での事例は数多い。飲食店はアルバイトなどの非正規雇用者が圧倒的に多いことが特徴的であることから、これらに対して補助犬受け入れについての意識調査を行った。 【方法】2020年10月に飲食店のアルバイト学生対象に無記名式のアンケート調査を行った。 【結果】回答者は212名で、補助犬法の認知度は46.7%、補助犬の接客を経験したものや対応についての教育を受けたものはごく少数であったが、79.7%が補助犬を受け入れると回答した。受け入れるか否かに関わらず、「お客様の理解」と「補助犬の衛生面」などの不安が多く挙げられた。 【考察】補助犬法の認知度に関係なく、受け入れたいと答えたものが多かったが、受け入れ拒否事例をなくしていくためには、非正規雇用者に対して受け入れに対する不安の解消や正しい対応についての知識を身につける教育が重要であると考えられた。
  • 竹田 彩乃, 倉澤 悠維, 三浦 靖史
    原稿種別: 原著論文
    2022 年16 巻1 号 p. 67-73
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー
    【目的】私たちは社会福祉系学生の身体障害者補助犬(以下、補助犬)への認知度について2016年に調査し報告しているが、その後の変化は明らかでない。そこで、前回調査から2年半を経ての認知度の変化を明らかにして、認知度向上方法を検討する目的で、社会福祉系学生の補助犬に対する意識調査を実施した。 【方法】2018年10月に前回の調査と同じ大学の社会福祉系学生を対象に無記名式のアンケート調査を行った。 【結果】269名から回答を得た(回収率 81.3%)。2016年の調査と比較して、聴導犬の認知度48.7%(p<0.001)、補助犬法の認知度34.9%(p<0.01)、補助犬を実際に見た経験88.1%(p<0.01)が、各々有意に上昇していた。補助犬を初めて認知した時期は、小学生54.9%、中学生26.1%、高校生12.1%、大学生6.4%であり、義務教育期間中が81.0%を占めた。 【考察】2年半の間に社会福祉系学生の補助犬への認知度の向上が認められたことから、補助犬に関する啓発や教育を継続的に行うこと、また、教育は義務教育期間中に行うことが有用であると考えられた。 【結論】社会福祉系学生の補助犬への認知度は向上しており、補助犬に関する教育や啓発を実践することは、社会福祉系学生のみならず社会全体の補助犬への理解促進に繋がる。
  • 三浦 靖史, 田内 璃子, 森戸 茉莉菜, 西尾 尚也, 嶋田 良介, 倉澤 悠維
    原稿種別: 原著論文
    2022 年16 巻1 号 p. 74-81
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー
    【背景】我々は、医療機関における補助犬の受け入れ状況を、2008年から3年毎に調査している。2020年に5回目の調査を実施して、補助犬の受け入れ状況の12年間での変化について検討した。 【方法】2020年10-11月に、兵庫県の212病院と福岡県の205病院の看護部長を対象に、過去4回と同様の補助犬に関するアンケート調査を実施した。依頼は郵送で行ったが、新型コロナウイルス感染症対策として、ウェブで回答を得た。 【結果】回答率は16.1%で、2017年の44.7%より大きく低下していた。補助犬の来院経験がある施設は、兵庫県では2008年の18.5%、2011年の31.9%、2014年の34.4%、2017年の19.3%と比較して、2020年では34.0%であり、 2014年と同程度であった。福岡県においても、2011年の17.9%、2014年の19.2%、2017年の9.7%と比較して、2020年では15.0%であり、2014年と同程度であった。また、兵庫県での補助犬同伴可標識の掲示率は、2008年の8.3%、2011年の12.4%、2014年の18.3%、2017年の22.9%と比較して、2020年では14.9%と過去2回の調査時より減少していたが、啓発ポスターの掲示率は、2011年の8.0%、2014年の10.8%、2017年の12.8%と比較して、2020年では23.4%で、漸増していた。 【考察】新型コロナウイルス感染症の流行と、医療機関の多忙な状況から回答率が低かったことが影響した可能性があるが、 医療機関における補助犬の受け入れや啓発の状況は、2014年以降、大きな変化はなかったと考えられた。 【結論】新型コロナウイルス感染症の流行下であっても医療機関での補助犬の受け入れが進むように、医療機関の内外での継続的な啓発活動が必要である。
事例研究
  • 水越 美奈, 小野沢 栄里, 江島 まどか, 渡邊 和希
    原稿種別: 事例研究
    2022 年16 巻1 号 p. 82-86
    発行日: 2022/12/05
    公開日: 2023/01/08
    ジャーナル フリー
    身体障害者補助犬法は 2002年10月に施行され、20年が経過しようとしているが、いまだに受け入れ拒否の事例は数多く報告されている。受け入れ拒否の原因は補助犬法についての知識や教育不足が大きいが、その理由は衛生面の不安であることが多い。補助犬の衛生管理の中で、物理的な被毛の飛散や臭い対策、犬アレルギー対策として被毛の手入れは有効なものとなるが、これらは補助犬使用者が容易に実施できることが必要かつ重要である。これらのことから今回、受け入れ拒否の要因の1つになる「被毛の飛散」に着目し、ラバーブラシ、ボディシート、マイクロファイバー製タオルで清拭した後の抜け落ちた毛の量を比較したところ、有意差はみられなかったが、ラバーブラシに比較してボディシートとフェイスタオルでは床面に抜け落ちる量が少ない傾向がみられた。
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