日本獣医がん学会雑誌
Online ISSN : 1884-3352
Print ISSN : 1884-3344
ISSN-L : 1884-3344
1 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
原著
短報
  • 古川 敬之, 林 佐知, 福田 真平, 細川 昭雄, 圓尾 拓也, 杉浦 久裕, 信田 卓男
    2010 年 1 巻 2 号 p. 33-38
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    ビーグル犬、未避妊雌、15歳が、皮膚扁平上皮癌の検診で来院した。空腹時低血糖を認めたため、各種検査を行い、インスリノーマと診断し、膵臓部分切除を行った。術前に右甲状腺に1.8×1.8cmの腫瘤を認めたため、細胞診を行い、甲状腺腫瘍の併発と診断した。術中胃幽門部小弯側の小腫瘤を同時に認めたために切除した。病理検査結果は、膵臓はインスリノーマ(中悪性度)で、胃は消化器型リンパ腫であった。術後、高インスリン血症による低血糖が持続していたため、プレドニゾロンを使用した。消化器型リンパ腫に対する化学療法としてアドリアマイシンを選択した。リンパ腫は完全寛解が維持されており、甲状腺腫瘍はN/C であり第231病日、計7回にてアドリアマイシンを終了した。総投与量は151 mg/m2であった。第255病日、呼吸状態の悪化にて来院し、心機能の低下および肺水腫が認められたため入院治療を行ったが、第262病日に斃死した。本症例は術前に綿密な全身スクリーニング検査を行うことにより、重複癌を発見することができた。重複癌に遭遇した場合、各腫瘍の進行度、挙動、全身状態を考慮し、治療法を決定する必要がある。インスリノーマ、消化器型リンパ腫の重複癌および甲状腺腫瘍を併発した稀な症例であったが、斃死までの約9ヶ月間、非常に良好なQOLを維持することができた。
技術講座
第2回 日本獣医がん学会報告
目次
表紙
奥付
feedback
Top