外見健康なWistar-Imamichi SPFラット14週齢♂23匹について, 35種類の血液学的検査および血液生化学的検査を行った。これらの原データから検査項目ごとに平均値と標準偏差を求め, 原データを標準化した。いっぽう, パソコンのスクリーン上のある点を中心にして等角度間隔で等長の35本の座標軸を描き, これらを各検査項目に対応させた。また, 座標軸の中点を標準化したデータの原点0とし, その外側と内側に3シグマ法または2シグマ法の上部および下部管理限界点をとった。
すべての座標軸上の対応する管理限界点を結ぐと, ふたつの正多角型ができる。このふたつの正多角型に挟まれる部分を「管理ドーナツ」, 全体の図を「レーダー管理図」と呼ぶことにした。またこの管理図上に, 標準化した個体ごとの多項目のデータを打点し, それらの点を結んでできる多角型を「個体パターン」と呼ぶことにした。個体パターンは, 個体ごとの特徴を直感的に把握するのに便利である。したがって, レーダー管理図上に個体パターンを作成する方法は, 総合的なしかも直感的に利用できる個体管理または個体診断の方法として有用と思われた。すなわちレーダー管理図は, 作図が容易であり, 図形パターンとして直感的に把握できるため, 簡易な多変量管理図として利用できるものと思われた。
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