科学基礎論研究
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27 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 山本 隆
    1999 年 27 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    食物を食べておいしいと思ったりまずいと思うことは日常誰もが経験する.本稿では, おいしさ発現にもっとも重要な感覚要素である味覚に焦点をしぼり, 末梢受容機構から中枢での情報処理様式を概説したあと, どのような脳内プロセスを経ておいしい・まずいといった感情を生むのかを最近の神経科学的実験結果をもとに考えてみたい.
  • 金森 修
    1999 年 27 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
  • 竹内 敬人
    1999 年 27 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
  • 自然科学と文芸批評の間
    山脇 直司
    1999 年 27 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    本稿は, 自然科学とも文芸批評とも異なる社会科学の学問的特徴 (=学問性) を, 学問史的考察と基礎的諸概念をもとに浮き彫りにする試みである。
  • 松王 政浩
    1999 年 27 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    時間に関する哲学的議論の一つの大きな焦点は, 果たして時間に関する「事実」がテンスを含んでいるのか, 含んでいないのかという問題にある。(これはマクタガートが時間の非実在性を証明する上で用いたA系列の時間とB系列の時間の区分注1において, いずれが時間にとってより本質的であるか, と問うことに相当する。) この問題についてA.N.プライアはかつて, 以下に述べるような, テンス論を擁護するある有名な主張を述べた。その後, この主張をめぐってテンス論者, 非テンス論者の間で賛否の議論が展開されたが, これまでの議論を見る限りでは, テンス論者の提示した擁護論にはどれも非テンス論者の議論を退けるほど強力なものはなく, 非テンス論者の議論によってほぼプライアの示した問題には決着がつけられたような感がある。この非テンス論の核になる議論は, D.H.メラーが後にM.マクベスの批判を受けて修正を加えた議論である。本稿では, いかにも決定的解答を与えたかのように見えるこのメラーの議論の中で見落とされていると思われる点を明らかにし, この議論によっては非テンス論者は, いまだプライアの問題への十分な解答を与えることができないことを示し出したいと思う。
  • フッサールとハイデガーにおける心の哲学の展開
    原 塑
    1999 年 27 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    日常生活で出会う個々の人々に対して本当は心を持つ者ではないのではないかと疑うことは困難である。人は, 他者から話しかけられれば, たとえそれが未知の人であっても, その人が心を持っていることを疑うことなく返答するだろう。しかし, 他者が日常生活で示す姿は決して一様ではない。親しく思っていた友人が, 理解を越えた言動を唐突にし始めることもある。この場合, 他者の心についての知は脅かされる。自分の心についてはよく知っているが, 他者の心について知っていることは少なく, 不確実であると感じられるのである。
    自分の心の知と他者の心の知の間に認められる非対称性は, 次のように考えればうまく説明できるかもしれない。人は自分の心と外界の事物は直接見て取ることができる。しかし, 他者の心は, 間接的に, つまりその人の表情や振る舞いを媒介としてのみ知りうる (これを物と心の認識論的構図と呼ぼう)。しかし, この見方では, 他者の心が存在することの疑い難さを適切に捉えることは困難である。物と心の認識論的構図は, むしろ, 現われている他者身体の背後に心が隠れ潜んでいるのは本当だろうかという疑問, つまり他者の心についての懐疑と親和的である。
    したがって, 物と心の認識論的構図を前提とする場合, 他者の心についての懐疑論を導かないように, 人が他者の心を知る仕組みを説明することが重要である。類推説やリップスの自己投入論はこのことを試みた。しかし, 周知のように, 両者とも理論的困難と直面したのであり, 受け入れ可能ではない。フッサールとハイデガーは, これらの先行研究を批判することで, 物と心の認識論的構図を導く伝統的意識概念を清算しようとした。物と心の認識論的構図はフッサールにおいて心の理論を作る場面に限定して採用されるが, ハイデガーによって最終的に廃棄される。この歴史的経緯を踏まえ, 本稿は, フッサールの他我構成論とハイデガーの共同現存在論を検討する。両者の試みから, 心とは何か, また他者とは何かという問いに答えを得ることが目標となる。
  • 石垣 壽郎
    1999 年 27 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    量子力学的系に関する観測命題全体の集合LがBoole束を構成せず(orthomodular束),したがって,Lの命題すべてに同時に真偽を,束(以下「束」は可補束を意味する)の関係を保持するように,決定することができないことは,よく知られている。しかしまた,任意の1つのオブザーバブルRに注目するならば,このオブザーバブルに関する観測命題全体の集合はBoole束を構成し,これらの命題全体には,同時に真偽を割り振る(2値準同形写像)ことができることも,よく知られている。したがって,系の任意の(純粋)状態eに対して,あるオブザーバブルR(preferred observable)を指定するならば,Rに関する観測命題は真偽が確定していると見なすことができ,これらの観測命題に対するeによる確率は,古典的確率として扱うことができ,したがって無知解釈を与えることができるようになると考えられている。
    しかし,真偽確定とみなしうる命題の集合は,eRとの関係によっては,もっと大きくとることができる。こうした状況の下で,BubとCliftonは次の条件を満たすように真理値を与えることのできるLの極大部分束D(e,R)は何か? という問題を設定した。
    各真理値の付値はD(e,R)上の2値準同形写像で定義され,かつ,D(e,R)の互いに両立可能な命題の集合に対してeによって定義される確率はD(e,R)に対する互いに異なる可能な真理値付値の上の測度として表現できる。
    このような問題設定のもとで,彼らはUniqueness Theoremを証明した(Bub and Clifton (1996))。この証明はBub(1997),4.3にもほとんどそのままの形で採録されている。
    しかし,この証明において具体的なD(e,R)の形を導くために設定された条件は,必要十分な条件にはなっておらず,また証明およびその結果を利用した解説は有限次元ヒルベルト空間を用いており,無限次元ヒルベルト空間におけるオブザーバブルについては,スペクトルを有限個の区間に分割して有限次元と同じように扱い,その後に区間の個数を無限大にする極限として処理されている。そのため,無限次元に特有に現れる状況は考慮されていない。したがって,(1)D(e,R)を導くための必要十分条件を設定し,(2)この条件を無限次元ヒルベルト空間に適用したときにどのような状況が生じるかを数学的に厳密に調べることが望まれる。本稿では,このうち(2)に関連して,無限次元ヒルベルト空間において,オブザーバブルQが可算無限個の点スペクトルをもつ場合と,実数全体Rを連続スペクトルとしてもつ場合について,量子力学的状態が与える確率をQの観測命題に対する真理値付値の上の測度として解釈しようとするときの問題点を検討する。以下において利用する数学の結果の多くは,数学者にとってよく知られている事柄なので,それらの証明は参考文献の該当個所を参照されたい。
  • 菅野 礼司
    1999 年 27 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    自然科学の発展過程における科学活動のダイナミックな機構とその構造を解明することは, 科学論として重要かつ興味あるテーマであろう。特に科学革命は旧理論が脱皮して, 自らとは異質の新理論を生み出すことであるから, 「自己否定的発展」である。それがいかにして可能かという課題は, 共約不可能性や理論負荷性という観点からは説明できないばかりか問題にすらなりにくい。このような理論転換が可能であるのは, 科学のサイバネティクス構造にあると思う。それについて前論文(1)で簡単に言及したが, 本稿で改めて詳しく論ずることにする。
  • 難波 完爾
    1999 年 27 巻 1 号 p. 53
    発行日: 1999/12/25
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
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