酪農科学・食品の研究
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45 巻, 2 号
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総説
原報
  • 中村 昇二, 荒木 美和, 宮本 拓, 片岡 啓, M. J. Maina
    1996 年 45 巻 2 号 p. A-35-A-42
    発行日: 1996年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     ケニアの発酵乳製品16品から発酵に寄与していると思われる乳酸菌を分離・同定し, 微生物学的見地から製品特性を調べた。同定試験に供したのは分離乳酸菌90株のうち44株である。結果は以下のとおりである。
    1) 発酵乳8品のうち, 6品 (Lala Lite, Bio Yoghurt, Fresh Natural Yoghurt, Low Fat Yoghurt, Natural Yoghurt, Plain Yoghurt) には Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus または Streptococcus thermophilus が優勢に存在していた。特に, Plain Yoghurtのスターターにはこれら高温性乳酸菌の混合カルチャーが用いられていた。
    2) Leuconostoc属の乳酸菌は, 発酵乳2品 (Lala Lite, Maziwa E'Lala) とチーズ 5品 (FETA, Cream Cheese, Dessert Fromage Frais, Highland Cottage Cheese, Quark) から分離された。
    3) 発酵クリーム2品 (Cultured Cream (1), Cultured Cream (2)) には, Streptococcus thermophilus が優勢に存在していた。
    4) Fresh Natural Yoghurt, Maziwa D'Lala, Cream Cheeseならびに Cultured Cream (1)からは Enterococcus属細菌も分離された。
  • 河合 恒彦, 山田 正子, 中澤 勇ニ
    1996 年 45 巻 2 号 p. A-43-A-50
    発行日: 1996年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     既報で単離した酵母M7と酵母C1を添加したスターターを用いてチーズを製造し,21日間の熟成中における官能的特性に及ぼす影響について検討を加え,得られた結果を要約すると次の通りである。
     1. 熟成率については,対照区の方が試験区よりも大きく,増加率ではチーズ表面は12%, 内部で8%であった。全アミノ酸生成量/蛋白質量の比率は,対照区よりも試験区の方が3.3%大きく,熟成率とは逆の傾向を示した。
     2. テクスチャー特性については,t-検定の5%有意水準で検定した。脆さ (Brittleness) は対照区で増加したが,試験区では増加が少なく,酵母C1添加によって脆さの抑制が可能と考えられた。柔らかさ (Softness) は,対照区の方が試験区よりも増加が大きく,試験区では増加を抑制していた。歯切れの良さ (Crispness) は,熟成の時期により異った値を示したが,熟成末期に減少した。試験区では増加を抑制し柔らかさ (Softness) と同様の傾向を示した。硬さ (Hardness) は対照区,試験区ともにほぼ同じ挙動を示し一定の比率で減少した。
     3. 以上を総括して,酵母M7と酵母C1とでは熟成中の作用機作に差があり,酵母C1は力マンベールチーズの官能的特性のいくつかに好ましい影響を及ぼしていることが明らかにされた。とくに物性的な知見がこれを裏付けている。酵母M7については積極的には認められなかった。
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