酪農科学・食品の研究
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42 巻, 5 号
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原報
  • 泉本 勝利, 小沢 忍
    1993 年 42 巻 5 号 p. A-157-A-169
    発行日: 1993年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     食肉中には酸素型, 還元型, メト型の3種のミオグロビン誘導形態が存在し, 多様な色調を呈する。酸素型ミオグロビンは鮮紅色で望ましいが, メ卜型ミオグロビンの形成による褐色化は消費者に忌避される。そこで, 食肉の色調評価はメト型ミオグロビンの割合で一般に表現されている。しかし, 還元型ミオグロビンの濃い紫赤色は酸素型ミオグロビンの色調と大きく異なり, 好ましくない。それ故に, 食肉の色調の品質管理および評価のためにはメト型ミオグロビンの唯一の割合では不充分である。そこで, 酸素型, 還元型, メト型ミオグロビンの3種すべての誘導形態の割合を知る必要があるが, 抽出法では誘導形態が変化するので実用的ではなく, 確立されていない。また, 実際的な使用のためには必要な情報の取得はリアルタイムでなければならない。この目的のために, 反射率分光法による直接測定法を試みた。
     牛肉の反射率スペクトルの特性が解析され, ミオグロビン誘導形態の測定のための改良された方法が提案された。新しい関数は吸収係数/散乱係数の比と対応するを基本とするパラメーターから誘導された。得られた関数は食肉の色調現象およびスペクトルのパターンの特性と一致した。反射率スペクトルのデータは測定機と結合したパーソナルコンピューターに転送された。プログラム計算によって, 色調値, ミオグロビン誘導形態の割合はリアルタイムに算出された。この方法は食肉の色調現象の迅速な品質評価・管理および生化学的様相をモニターするために有用と思われる。
  • A. K. Adhikari, O. N. Mathur
    1993 年 42 巻 5 号 p. A-171-A-179
    発行日: 1993年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     沸とう加熱中におけるカゼインミセルの構造変化を調査した。その効果は灰分平衡およびホエータンパク質の熱変性と関連していた。水牛乳中の熱に不安定なホエータンパク質および容易に沈殿するカルシウムは, ミセル表面に速やかに沈着し, それが加熱初期におけるカゼインミセル同士の結合をもたらした。しかしながら, カゼインミセルの熱による変化は同程度の加熱の場合, 水牛乳よりも牛乳の場合において著しかった。カゼインミセルの加熱による融合は水牛乳における方が早くかつ著しく, そのため牛乳にくらべると早い熱凝固を示した。カルシウムとリンは, この現象において重要な役割を果たした。それらが, 加熱によりリン酸カルシウムとしてカゼインミセルの表面に沈着し, pHを低下させることが, 乳の熱安定性に影響したであろう。牛乳よりも明らかに多くのカルシウムとリンを含んでいる水牛乳は, 高いカルシウムイオン活性を示し, 加熱により早く沈殿し, 牛乳よりも低い耐熱性をもたらした。
  • 笹野 貢, 青山 英俊, 荒井 義久
    1993 年 42 巻 5 号 p. A-181-A-189
    発行日: 1993年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     平成2年度から4年度における, 北海道産生乳の一般細菌, 低温細菌, 中温細菌および耐熱性細菌について, 年2回(8月および1月)の頻度で実態調査(n=1,063)を行った。その結果は次のとおりである。
    1. 調査期間中の各種細菌の平均値は, 一般生菌が26.9×103/mℓ, 低温細菌が7.1×103/mℓ, 中温細菌が18.7×103/mℓ, 耐熱性細菌が1.9×103/mℓであった。また, 一般生菌に対する各種細菌の比率をみると, 低温細菌が26.4%, 中温細菌が69.5%, 耐熱性細菌が7.1%であり, 一般生菌の大部分は中温細菌と低温細菌が占めていた。
    2. 調査期間中の各種細菌の度数分布は, 一般生菌が3×104/mℓ以下で72.0%, 1×105/mℓ以下で97.5%であり, 低温細菌が5×103/mℓ以下で67.9%, 1×104/mℓ以下て85.0%であり, 中温細菌が3×104/mℓ以下で83.3%であった。これを1×105/mℓ以下でまとめると98.6%となり, 耐熱性細菌では1×103/mℓ以下で67.3%, 5×103/mℓ以下で91.5%となった。
    3. 一般生菌と低温細菌, 中温細菌および耐熱性細菌との2者間の相関係数は, それぞれ0.469, 0.862, 0.348を示し, 中温細菌との相関が最も高かった。
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