酪農科学・食品の研究
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43 巻, 4 号
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総説
原報
  • 農 新介, 長田 貞之, 大橋 登美男, 山内 清, 原田 宏, 江藤 望
    1994 年 43 巻 4 号 p. A-81-A-85
    発行日: 1994年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     UF波縮牛乳を用いて工業的規模でフレッシュチーズを製造し、7、14、21日間それぞれ5℃で冷蔵し、冷蔵後 UF フレッシュチーズの物性、特に硬度、破断エネルギー、弾性率及びシネレシスを測定した。得られた結果から、UF フレッシュチーズの物性は冷蔵中に次第に増加することを認めた。特に、14日または21日間冷蔵したチーズの硬度及びシネレシスは7日間冷蔵したチーズに比較して有意 (P<0.01) に増加した。
  • GoudaチーズとSaint Paulinチーズの熟成中に於ける糖と有機酸の変化
    加藤 勲, 安藤 功一
    1994 年 43 巻 4 号 p. A-87-A-94
    発行日: 1994年
    公開日: 2015/10/31
    ジャーナル フリー
     硬質チーズの Gouda チーズと半硬質チーズのSt. Paulin チーズを試作し、熟成70日間に於ける各種糖、有機酸及び pH の変化を比較することによって以下のことが明らかになった。
    1. 先ず2種類のチース製造に於て製造上の主な相違点は、Gouda チーズのチーズバット内の予備加圧と、St. Paulin チーズの表面熟成菌 (Brev. linens) によるチーズ表面からの熟成である。これらの製造法の違いにより両チーズの味、色、臭い等に決定的な違いが生じた。
    2. 70日間15~16℃で熟成させることによってラクトースが分解を受けて Gouda チーズでは熟成前 (約0.2%) の約半分 (約0.1%) にSt. Paulinチーズでは 約1/4 (0.05%) まで減少した。一方、グルコースとガラクトースの含量は Gouda チーズで熟成一週間後でガラクトースで0.05%、グルコースで0.03%程度を示し、その後、熟成50日頃でガラクトースで0.1%、グルコースで0.04%まで増加した。また、St. Paulin チーズでは熟成一週間にガラクトースが0.33%に増加し、その後は減少した。グルコースは0.1%から徐々に増加し、2週間後には0.18%まで増加したが、その後は減少した。
    3. 両チーズには元々乳中に含まれる有機酸を含めて熟成中に5種類の有機酸 (オロット酸、ピルビン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸) が認められた。Gouda チーズではオロット酸と酢酸は熟成1日目にそれぞれ 20ppm と 100ppm の濃度が熟成の経過と共に減少し、乳酸は1.25%を示していたものがその後1.5%まで増加した。又、プロピオン酸は3日目に、ピルビン酸は5日目に検出されそれぞれ0.01%、8ppm 程度あったのがその後増加した。一方、St. Paulin チーズでは酢酸、乳酸、プロピオン酸そしてピルビン酸が熟成1日目から急増し熟成3~5日頃に最大に達した (酢酸:46ppm、乳酸:1.7%、プロピオン酸:0.18%、ピルビン酸:10ppm)。その後、熟成25日頃から再び酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸が増加し熟成35日頃から徐々に減少した。
    4. 両チーズ共に熟成2~3日でpH5.3前後から4.5位に急に低下しその後上昇した。Gouda チーズは熟成期間の最後までほぼpH5.6位で推移するのに対して、St. Paulin チーズは熟成14日頃に pH6.0 まで上昇してその後、35日頃に pH 5.5 まで低下した。更に熟成の経過と共にpHが再び上昇し最後には pH7.3 までに至った。
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